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学生時代に経験したスタートアップの「熱狂」に惹かれて。トリコ代表・花房香那さんの素顔

#リーダーの素顔

ミクニシオリ

経営者やいわゆる「リーダー」って、どうしても私たちとは違う世界の人……と思ってしまいがち。でも、リーダーたちも毎日寝て、起きて、ご飯を食べて……そして仕事をしている普通の人。そんなリーダーの素顔を探るべく、「子どもの頃はどんな子だった?」「毎日どれくらい働いている?」「やっぱりタワマン住みですか?」など、素朴な疑問をぶつけます。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:大嶋千尋
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部

経営者やいわゆる「リーダー」って、どうしても私たちとは違う世界の人……と思ってしまいがち。でもリーダーたちも私たちと同じように生活を送る、ビジネスパーソンの一人でもあります。

そんなリーダーたちの素顔や、これまでを探る本企画。第4回の「リーダー」は、独自のパーソナライズ製法でサプリメントやフェイスマスク、プロテインなどを提供するパーソナライズビューティケアブランド「FUJIMI」を展開する、トリコ株式会社の代表・花房香那さん

昨年出産も経験し、今はワーママとして忙しい日々を送っている彼女。FUJIMIは今注目のパーソナライズビューティケアブランドの一つですが、花房さんの幼少期の夢は「起業家」ではありませんでした。

「普通の女の子だった」と本人が語る花房さんの青春時代と、現在子育てをしながら働く彼女の「仕事と子育ての両立のコツ」まで、色々掘り下げちゃいました。

花房香那さん

横浜国立大学卒業後、ユナイテッドの子会社である(株)ミワクを設立し、アプリ運営に従事。2018年4月よりトリコ(株)を立ち上げ、2019年2月よりFUJIMIブランドを展開する。2021年にポーラ・オルビスホールディングスにグループ入り。現在は1児の母として育児と仕事を両立しながら活躍中。

東京出身のシティガール。でも「なんでもない女の子」だった

Q.1 幼少期はどんな性格でしたか?

常にみんなの中心にいたいタイプではなかったと思います。出身は中目黒ですが、当時は今ほど「おしゃれな大都会」という印象もなく、東京で生まれ育っているというのに、刺激が無いというか……。

「人生、こんなもんなのかあ」という寂しさを感じるほどでした。とにかくおもしろいことはないかと、なんでも楽しもうとする好奇心は持っていたように思います。

Q.2 どのようなご家庭で育ちましたか?

父はグラフィックデザイナーで、母はアパレルデザイナーだったので、私も小さい頃はデザイナーになることが夢でした。一人っ子だったこともあり父は厳しく、生活はきっちりしている家庭だったように思います。

スリッパがリビング用とお風呂上がり用で別だったり、部屋着とパジャマも別だったり……今思うとかなり几帳面な家庭だったと思うのですが、当時は当たり前のように受け入れていました。

Q.3 思春期は学校でどんな存在でしたか?

中学校受験のために通った塾が、有名な進学塾でした。地元では頭がいい方と自分では思っていたので、塾の成績が下から数えた方が早かったことで初めて挫折を経験しましたね。

最終的には、志望校だった中高一貫の女子校に通うことができました。女子校ならではの平和な環境の中では、目立つということもなく普通だったかな(笑)。周りにエリートは多かったので、そこで相対評価されることは心地良く感じていました。

Q.4 大学はどんな理由で選びましたか?

両親とも専門学校出身だったからか、幼い頃から「国立の大学に行きなさい」と言われていたので、自分も疑いなくその道を目指しました。なんとなく経済学部を選んだあの頃は、自分が起業するなんて夢にも思っていなかったんです。

正直、女子高出身で世間知らずだったこともあり、入学直後は周りに流されまくりでした。いつの間にかサークルに入っていて、なぜか飲み会に参加していて、二日酔いで時間が溶けて……でも、そんな生活を楽しめていない自分もいました。

ベンチャー企業のインターン先での「熱中」が人生を変えた

Q.5 大学時代は何に注力していましたか?

サークルの先輩が起業した会社でのインターンが、私の学生生活のほぼ全てです。ファッションサービスを事業としたスタートアップで、ヒアリングを頼まれてオフィスに遊びに行きました。

そこでは自分と同じ年代の人が、一致団結して働き、事業を伸ばす目標に向かって熱狂していて。人生で経験したことのない興奮を感じ、インターン生として挙手しました。それからは授業よりもインターンの方が楽しくなり、寝る間も惜しんで働きました。

Q.6 学生時代、アルバイトはしていましたか?

インターンの合間を縫って、結婚式場のホールスタッフやジムの受付、アパレル店員などをしていました。でも、インターンに比べてアルバイトは時間で感じる濃度も薄かったので、上手にサボる方法ばかり考えていました(笑)。

自分が人生で刺激的で楽しい時間を過ごせているかが、私にとっては重要だったんです。

Q.7 なぜ起業しようと思ったのですか?

きっかけは、インターンしていた会社が大手企業にM&Aされたことです。それまで自分の手元に入った給料は多くなかったのですが、会社の価値は数十億になっていたと思うと、自分のやってきたことに価値を感じました。

卒業間近だったので内定も決まっていたのですが、その話を聞いて「やっぱり自分でもやってみたい」と、起業を決意して内定をお断りしました。

経営者の美容のコツとモチベーションの保ち方

Q.8 創業当初、大変だったエピソードがあれば教えてください。

実はFUJIMIというプロダクトに辿りつく前に、いくつかの事業での失敗経験もありました。当初はインターン先を買収した企業の子会社の代表として、チャットアプリの運営をしていたのですが、うまく黒字化できず親会社のお金をたくさん溶かしてしまって、精神的に苦しんでいました。

その頃は家賃激安のシェアハウスで暮らし、寝る暇もなく働いていましたね。精神だけでなくお肌もボロボロで、自己肯定感が下がっていた時期でもありました。

Q.9 忙しい日々を送る中で働くコツを教えてください。

インナーケアをしっかりすることですね。肌がボロボロになると、なぜか自分に自信が無くなるので、かなり真剣にスキンケアについて勉強しました。でも、どんなに高い美容液を塗っても、睡眠の質が良くない時期は、余計なニキビを作る原因になることもありました。

事業が伸びず悩んでいたその頃に、サプリメントでのインナーケアにたどり着きました。肌質も落ち着き、その成功体験からFUJIMIの「パーソナライズビューティーケア」を思いついたんです。

Q.10 毎日のタイムスケジュールを教えてください。

朝は夫が子どもを保育園に連れて行ってくれるので、出社する日はひたすらミーティングをこなします。保育園へのお迎えは私が行くので、昼はお迎え時間に向けて作業効率を高めていますが、意外と良心的な時間に退社できてるんじゃないかな?

夜は子どもをお風呂にいれたりご飯をあげたりと子育ての時間がメインで、息抜きは子どもを寝かせてからの晩酌タイムです。早朝にミルクの時間もあるので、ほろ酔いになったら早めに寝ちゃいます。

Q.11 趣味はありますか?

以前はスキンケアが大好きだったのですが、子育てを始めてからはゆっくりお風呂に浸かるのも難しくなったので、自社のプロダクトに頼りっぱなしです。サブスクで届くので、デパートでゆっくり美容液を吟味する時間がなくても安心です。

今は夫と二人で行く、2カ月に1回の旅行が日々のモチベーションです。あとは、毎日の飲酒で小回復していく感じ(笑)。

子育ても仕事も両立して、社員に背中を見せていきたい

Q.12 どんなところに住んでいますか? やっぱり港区のタワマンだったりするのでしょうか?(笑)

そうですね……というと、キラキラしているように感じられるかもしれないのですが、単純に実家から近い場所を選びました。土日もポップアップやイベントがあれば出社する日もありますし、いざという時に両親に頼れるのが本当にありがたいです。

Q.13 プライベートでのお悩みを教えてください。

子育てが始まってからは、本当に悩みが増えました。隣の芝を見て、働きながら子育てをしているママは全員すごいと思うようになり……。パートナーと二人でいた時より課題が増えたので、モヤモヤしながら寝ることもあります。

でも私が子育てと仕事を両立することで、人生の選択肢を増やせる社員もいると思うので、頑張りたい気持ちが大きいです。自分はママとしてはまだ新米なので、2年、3年と子育てするうちに慣れてくる部分もあるのかな、とポジティブに考えるようにしています。

Q.14 子育てと仕事の両立のコツを教えてください。

子育てに関して、あまり完璧にこなそうとしすぎないことでしょうか。SNSを見ていると、ハーフバースデーや休日のお出かけなど、うちより多くのことを子どもに経験させてあげられる家庭もたくさんあるので、たまにヘコむこともあるのですが……。

仕事も子育ても自分にできることはしっかりしながら、いい意味で他の家庭や他のママと比べすぎないようにしています。

Q.15 何歳まで働きたいですか?

私にとって仕事は趣味に近いので、できることがあるうちはずっと働きたいです。今は縁あって子育てしていますが、子どもの人生は私が主導権を握るものではないので、仕事と子育ては自分にとって「がんばり方の異なるもの」として楽しみたいと思っています。

でも仕事は、自分でハンドリングして上を目指していけるし、自分次第で社会を変えるきっかけをつくれるもの。人生という長い時間を使って楽しむものとしては、一番おもしろいものなんじゃないかと思っています。

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