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リーダーが考える「組織で働く意味」。クラシエ薬品株式会社 関西第一医薬支店長・木村真理子さんの素顔

#リーダーの素顔

ミクニシオリ

経営者やいわゆる「リーダー」って、どうしても私たちとは違う世界の人……と思ってしまいがち。でも、リーダーたちも毎日寝て、起きて、ご飯を食べて……そして仕事をしている普通の人。そんなリーダーの素顔を探るべく、「子どもの頃はどんな子だった?」「毎日どれくらい働いている?」「やっぱりタワマン住みですか?」など、素朴な疑問をぶつけます。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:洞澤佐智子
編集:松岡紘子/マイナビウーマン編集部

「これからは、個の時代だ」。

自分のキャリアは自分で考えて決める時代を迎え、働き方は自由になった一方で「自分はどうするべきか」迷走してしまう人もいるでしょう。

「今の子は大変だよね」と割り切るのではなく、会社に所属する社員の存在意義を考え続ける女性リーダーがいます。

新卒でカネボウ薬品株式会社(現クラシエ薬品株式会社)に入社し、MRとしてキャリアをスタートさせた木村真理子さん。「何も考えていなかったからこそ、若い頃はただがむしゃらだった」と話してくれましたが、入社から6年で課長に昇進、10年目からは支店長として20名以上の営業チームを束ねる女性リーダーとして活躍しています。

木村さんの「素顔」から考えさせられたのは、この時代に私たちが会社に所属し続ける意味。組織やチームというものを常に意識してきた木村さんの素顔を覗いてみると、リーダーが意識しているコミュニケーションや、役職者ならではのポジティブなマインドセットなど、アラサー会社員も参考にしたい「リーダーの工夫」も見えてきました。

木村真理子さん

2005年に新卒でカネボウ薬品株式会社(現クラシエ薬品株式会社)に入社。医療機関で処方される医療用漢方薬の品質、有効性、安全性に関する情報提供を行うMR(医療情報担当)として現在まで関西地域で活躍中。2011年より課長職、2015年より現職。

会社選びは、なんとなくだった。「チームに貢献したい」という思いが評価につながった

Q.1 幼少期はどんな性格でしたか?

親からは「一回出ていったら帰ってこない」とよく言われていました。身体を動かすのが好きで、歳の離れた兄に遊んでもらうことも多かったので、外で男の子と遊ぶのが好きでしたね。習い事も特にしていなかったので、常に遊んでくれる人を探していたんです。いつも外にいるので肌も焼けていたし、自由な子どもでしたね。

Q.2 思春期は学校でどんな存在でしたか?

特に目立つ生徒ではなかったと思います。気の合う友達と一緒にいることが多かったですが、自分の好きなものややりたいこと、嫌なことなど、学年が上がるにつれて意見をはっきり言うようになっていきましたね。中学校では吹奏楽部に入っていましたが「音楽は向いていない」と考えて高校は帰宅部に。しかし、先生から「女性の会長が今までいなかったから」という理由で推薦され、生徒会長を依頼されたこともありました。その頃は、自分にリーダーシップがあるとは感じていませんでした。

Q.3 学生時代に注力したことはなんですか。

外国語に興味があったので、大学では学べる機会が少なそうなロシア語を専攻し、短期留学に行きました。海外旅行も趣味になり、アジアやヨーロッパ、アメリカなどさまざまな国に行きましたが、その資金づくりのために大学時代はたくさんアルバイトをしていましたね。時給の高さに惹かれて家庭教師や塾講師をしていましたが、自分の指導次第で生徒の成績が上がることにやりがいを感じていました。コミュニケーションを工夫するだけで子どものやる気も変わりますし、生徒との交流から教わることも多かったです。

Q.4 これまでのキャリア変遷を教えて下さい。

アルバイトや海外旅行は楽しんでいましたが、先のことを考えて行動していたわけではなかったので、のらりくらりと就職活動をはじめ、当時漢方を飲んでいた経験があったこともあり、「カネボウ(現クラシエ)」に興味を持ち、縁あって入社することができました。新卒で営業として配属されて以来18年間、営業として働いていますが、最初はMRの特殊な営業活動に面食らいましたね。ドクターはお忙しい方が多いので、営業トークの時間は3分しかもらえないことも。資格を取って漢方の知識をつけながら、若い頃は特に、がむしゃらに働きました。

Q.5 リーダー職に就いた時の心境を教えてください。

がむしゃらに過ごしてきた毎日の中でも、私はチームを重んじてきました。営業はどうしても個人プレーになりがちですが、新卒当時の先輩たちが私に優しくしてくれたように、私もチームや後輩、周りの社員に貢献したいという気持ちを持っていたんです。

課長になった時は、これまでどおりチームビルディングを頑張ろうという気持ちでしたが、支店長になってからは、広い視野を持つことを意識するようになりましたね。MRはフリーランス化が進んでいるので、組織として働くことの意味や、チームへの仕事の伝え方などを考えることが多くなったように思います。重責は感じますが、辞令に関しては自然と受け入れることができました。

「リーダーだから」とかっこつけない。ダメな自分もさらけ出して、メンバーと一緒に歩む

Q.6 リーダー職についてから大変だったことは?

変革を求められているものの、組織を変えることも人の考え方を変えることも簡単なことではないので、日々思い悩んでいます。チームメンバーには納得感を持って働いてほしいので、腹落ちしてもらえるまで話したり、間違いを指摘する時も言葉に気をつけたりと、コミュニケーションに関しては未だに毎日、学ぶことがありますね。

Q.7 リーダー職として気をつけていることはありますか。

年次や役職が上がるたびに、コミュニケーションに関しては色々と悩んできました。けれど最近は、“作った自分”で接しすぎるのもよくないと考えるようになりました。営業職ですから、相手によって接し方を変える習慣が染み付いていましたが、場面は選びながらもなるべく「私らしさ」が伝わるようにしています。逆に部下たちも、上司である私に対してもなるべく自分らしく話せるように、時にダメな自分も見せながら、一緒に成長させてもらっています。

Q.8 仕事でやりがいを感じるのはどんな時ですか?

チームのメンバーたちと同じ目標に向かって切磋琢磨する日々の中で、自分のチームや支店の業績が上がった時はやっぱり嬉しいですね。そういう時にはいつも、私たちの成果はチームのみんなで作り上げたものなのだということを実感します。私にとってはこの喜びこそが、組織や会社に所属する意義でもあります。普段はみんなバラバラに営業活動しているので、会議や納会などで久々に顔を合わせて、お互いを労い合えた時にも、この会社で働いていてよかったなと感じます。

若い頃は忙しくて気づかなかったけど、営業職はどうしても孤独になりやすいです。1人で行って、1人で売っていると、ぶつかった課題も1人で解決しないといけないように感じてしまう。だけど私は、そんな時に思い出してもらえる上司でありたいです。働いていれば、課題は降って湧いてくるものですが、1人では解決できない壁も、チームでなら解決できるかもしれない。だからこそチームは強いし、組織で働くのだと思います。

Q.9 仕事終わりやお休みの日は何をされていますか?

毎日のスケジュールは得意先の都合で決まることが多いので、毎日違った動きをしていることも多いのですが、子どもと過ごす時間を確保したいので、朝は早く起きます。夜も、昔より早く終わらせることを意識するようになりました。パートナーと協力して保育園に送り迎えに行ったり、家事をしたり……。自分だけの時間はあまりありませんが、子どもと過ごす時間が私にとっての癒やしのひとときです。

変化の時代だからこそ。会社に所属する意味、営業の存在価値を考え続ける

Q.10 ストレス発散の方法を教えてください。

ストレスは「自分がどう受け取るか」が大切なので、大変なことがあっても「大変だ!」と焦りすぎないのがコツだと思っています。そのため私は、単純ですが日々前向きであることをモットーにしています。料理がおいしく作れたこと、子どもが笑ってくれたことなど、日常の中にある小さな幸せを大切にしていて、嫌だったことについてはあまり深く考えません。

Q.11 プライベートや仕事の悩みはありますか?

たとえば、妊娠した時も、フルタイムで働くかどうか悩んだのですが……。最終的には「一旦やってみよう」と気軽に考え、なんとか続けることができました。大変かもしれないけれど、無理だったらやめればいい。そんなふうに考えているので、自分の中で悩みはない、ということにしています(笑)。

忙しさを感じることはありますが、コツは完璧を求めすぎないこと。パートナーや子どもに理想を求めすぎず、自分の手が回らない時は優秀な家電に家事を手伝ってもらいます。家庭の中では「みんなで仲良く幸せに過ごすこと」がミッションだと思うので、そこに向かって全員が頑張れればいいと思っています。

Q.12 体調管理のコツはありますか?

私の場合は、身体の不調には漢方で対処をする習慣がつきました。年齢を重ねるたび、気力以上に体力が重要と思い知ります。私は体調が悪い時だけでなく、ホルモン周期や気圧などを参考にしながら、その日の自分に合うものを選ぶことが多いです。クラシエの漢方はドラッグストアでも売っているので、みなさんにも手に取ってもらいやすいと思います。

Q.13 今後の展望を教えてください。

変化の激しい時代の中で、人間が営業活動をすることそのものの意味についても、考えさせられています。社会に適合する方法を探らなければ、自分が関わる仕事は今後、世の中に残らないかもしれない。答えはないのかもしれませんが、考えることをやめてはいけないと感じています。

「自分には関係ない」「自分には考えられない」、そう決めつけてしまうのは簡単なことです。私だって小さいことが気になったりするし、大変なことは嫌です。だからこそ「この人にしかできない」ことって、ないと思います。考えることは、私だからできることじゃない。だからこそ考え続けて、チームと会社のよりよい未来を、みんなで見つけていきたいです。

※この記事は2024年01月24日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

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