有酸素運動と無酸素運動の違いは? 効果と目的別トレーニングメニュー
有酸素運動と無酸素運動には、トレーニング方法や得られる効果にどのような違いがあるのでしょうか? この記事ではトレーナーの山内佑太郎さんに、それぞれの特徴と方法、目的別のトレーニングメニューを教えてもらいます。
運動には「有酸素運動」と「無酸素運動」の2種類があります。どのような違いがあるかご存知でしょうか?
それぞれの特性を正しく理解し、うまく組み合わせることで、トレーニングの効果を高めることができます。
今回は有酸素運動と無酸素運動の特徴を解説し、目的に合ったトレーニングメニューを紹介します。
自分に合ったトレーニングで理想の体を目指しましょう。
有酸素運動と無酸素運動の違いについて
有酸素運動や無酸素運動という名前を聞いたことはあっても、違いまでは分からないという人もいるでしょう。
まずは、それぞれのトレーニングの特徴や違い、得られる効果について解説します。
有酸素運動の効果とは?
有酸素運動とは、ジョギングやウォーキング、水泳など、比較的負荷の軽い運動です。
酸素を使いながら体内の糖質や脂肪をエネルギー源として、筋肉を動かすエネルギーを生み出しています。
エネルギーをつくる時に酸素を使うため、「有酸素」と呼ばれているのです。
有酸素運動は脂肪をエネルギー源とするので、血中のLDLコレステロールや中性脂肪の減少、高血圧など生活習慣病の予防に期待できます。蓄積した体脂肪を燃焼する効果も期待できるため、ダイエットにも最適です。
さらに有酸素運動は、筋トレ(=無酸素運動)の効果を高める働きがあります。
ウォーキングやジョギングなど有酸素運動のリズミカルな動きは血液循環を促します。血の巡りが良くなることで体へ栄養が行き渡り、筋肉が育ちやすくなるというわけです。
そのため、有酸素運動はダイエットだけでなく、筋肉をつけたい人にとっても効果的なトレーニングといえます。
無酸素運動の効果とは?
無酸素運動とは、短距離走や筋トレ、ウエイトリフティングのように短時間で大きな負荷をかける強度の高い運動です。
無酸素運動においてエネルギーを生み出す時、筋肉に貯めてある糖質(グリコーゲン)を使います。酸素を使わないため「無酸素運動」と呼ばれ、筋肉を大きくする効果があります。
なお、無酸素運動によって筋肉が鍛えられると、基礎代謝が上がります。そして代謝が上がると活動の消費カロリーが上がるため、太りにくく痩せやすい体づくりにつながるのです。
また、無酸素運動のように大きな負荷がかかる運動を行うと、筋肉に乳酸が蓄積し、それによって成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンは疲労回復を助ける働きがあり、さらに、脂肪の分解を促す働きも期待できます。
筋トレを行った状態で有酸素運動を行うと脂肪燃焼効果がより高まるため、無酸素運動はダイエットしたい人にとっても必要なトレーニングといえます。
自宅でできる有酸素運動
有酸素運動は、運動強度が低〜中程度で、長時間無理なく続けられるという特徴が挙げられます。
代表的な運動は、ジョギング、ウォーキング、水泳、サイクリング、エアロビクスなどですが、これらがなかなか続かない人は、自宅でできる簡単なトレーニングから始めてみましょう。
(1)踏み台運動
踏み台運動は、踏み台の昇り降りを繰り返す有酸素運動です。
消費カロリーは高くありませんが、自宅でテレビを見ながらでもできるので、手軽にトレーニングしたい人におすすめです。
自宅の階段などでもできるため、天候に左右されることなく日常的に続けやすいというメリットもあります。
(2)飛ばないバーピー
飛ばないバーピーは、ジャンプする動作を含むバーピーをアレンジした全身トレーニングです。
まずは直立の状態から、両手を床につき、足は片足ずつ後ろへ伸ばします。
腕立て伏せのような状態になったら、また片足ずつ足を手元に引き寄せましょう。
立つ姿勢に戻ると同時に、かかとが少し上がるくらい背伸びをします。ジャンプをしないので、トレーニング強度を抑えたい人におすすめです。
自宅でできる無酸素運動
無酸素運動は、運動強度が高く短時間で集中的に行います。
代表的なものに、筋力トレーニング、短距離走、ウエイトリフティングなどが挙げられます。
まずは自宅でできるトレーニングで、筋トレの習慣をつくりましょう。
(1)スクワット
スクワットは器具やスペースを必要としないため、自宅で手軽に取り組める筋トレです。
お尻や太ももといった大きな筋肉を鍛えることができるので、消費カロリーが高いことが特徴。
下半身の筋トレとしてだけでなく、基礎代謝アップとしても効果的です。
(2)プランク
プランクは、腹筋はもちろん体幹を鍛えることができるトレーニングです。
腰が曲がったり反ったりしないよう、正しい姿勢で行うことを意識しましょう。
目的別トレーニングメニュー
トレーニングは、ただがむしゃらに行っても思うような成果は得られません。
ここからは、目的別で効果的なトレーニングメニューを紹介します。
ダイエット(脂肪燃焼)したい人向けメニュー
筋トレを行うと脂肪を分解する作用がある成長ホルモンが分泌されます。
そのため、脂肪燃焼を目的とする場合は、有酸素運動の前に筋トレを行いましょう。
また、筋肉が落ちると基礎代謝が下がってしまいます。痩せやすく太りにくい体づくりをするためにも、筋トレをすることが必要でしょう。
目標時間
30〜60分以内(筋トレ・有酸素運動を合わせて)
トレーニング内容
(1)ストレッチ
(2)筋トレ
→スクワットやプランクなど
(3)有酸素運動
→キックボクシングなど
→またはランニング、ウォーキングなど
筋肉をつけたい(筋肥大)人向けメニュー
有酸素運動は、血液の循環を促し体に栄養を運ぶ働きがあるため、筋トレと組み合わせて行うことで効果を高めることができます。
しかし有酸素運動を長時間しすぎると、筋肉をつくるためのエネルギーが不足してしまうため注意が必要です。
そしてトレーニング後に筋肉痛が出たら、48〜72時間程度は休むようにしましょう。
筋肉痛は筋繊維が回復しているサインで、これを繰り返すことで筋肉がさらに育っていくと考えられています。
目安の時間
筋力アップがメインであれば、強度の高いトレーニングが効果的。
トレーニング時間は30〜60分程度で、次のセットへのインターバルの時間を1分程度にしてみましょう。
トレーニング内容
(1)ストレッチ
(2)筋トレ
→高重量のフリーウエイトトレーニング
→以下、筋肉をつけたい部位の集中トレーニング
・プッシュアップ(腕・胸)
・クランチ(腹筋上部)
・プランク(お腹)
・スクワット(臀部・太もも)
(3)有酸素運動(10分程度)
→踏み台運動や飛ばないバーピーなど
健康維持を目指す人向けメニュー
年齢と共に低下する基礎代謝の維持や健康を維持するためには、長く続けられる全身運動がおすすめです。
目安の時間
30分程度(筋トレ・有酸素運動を合わせて)
トレーニング内容
(1)ストレッチ
(2)筋トレ
→スクワットやプランク
(3)有酸素運動
→軽めのキックボクシング
→またはランニング、踏み台運動など
トレーニングの特性を理解して効果を高めよう
有酸素運動は脂肪燃焼の効果があり、無酸素運動は筋肉を鍛え、基礎代謝を上げる効果を期待できます。
それぞれの特徴を生かして組み合わせることで、相乗効果が生まれます。
目的に合わせて有酸素運動と無酸素運動をうまく取り入れ、理想の体づくりをしてくださいね。
(監修:山内佑太郎、取材・文:#TOKYOWORKOUT)
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