「ご検討」はどう使う? 意味や使い方、言い換え表現を解説
「ご検討いただければ幸いです」「ご検討いただきありがとうございます」など、ビジネスシーンでよく使う「ご検討」というフレーズ。使い方に自信はありますか? 今回は改めて「ご検討」の意味や使い方をおさらいし、正しく使えるようマスターしましょう。
「ご検討」はビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、言葉は知っていても使い方はよく分からないという方も多いのではないでしょうか?
自信を持って使えるように、今回は「ご検討」の意味や使い方、言い換え表現などを紹介します。
「ご検討」とは?
ここではまず、「ご確認」の意味を紹介します。
「検討」の意味は「詳しく調べて、良いかどうか考えること」
けんとう【検討】
調べたずねること。詳しく調べ当否を考えること。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
「当否」には、「あたりはずれ、良し悪し」という意味があります。
このように「検討」には、そのことについてただ何かを考えるというより、「それで良いかどうか熟考する」というニュアンスがあります。
相手の動作に「ご」を付けて敬意を表した「ご検討」
ビジネスメールなどでよく使う「ご検討ください」「ご検討のほど」などの「ご検討」は、「検討する」という相手の動作に対して「ご」を付け、敬意を表しています。
相手に対して、こちらが提案した内容についてよく考えてほしい時などに使用します。「よく考えてください」よりも「ご検討ください」の方が、より丁寧に伝わりますよね。
「ご検討」は自分に対しては使えない
自分が検討することを伝える時は「ご」を付けません。
なぜなら「検討」の丁寧語である「ご検討」は、相手に対して使う言葉だからです。
自分が検討することを丁寧に伝えるなら、「検討させていただきます」「検討いたします」が正しい表現です。
言い回し別:「ご検討」の使い方(例文付き)
「ご検討」は主にビジネスシーンにおいて、社内の目上の人や取引先に対して使用する言葉です。
基本的に「ご検討」だけで使用することはなく、「~のほどよろしくお願いいたします」や「〜いただけると幸いです」といった言葉を組み合わせて使います。
ここでは、「ご検討」の使い方を例文と一緒に確認していきましょう。
「ご検討ください」
「ご検討ください」は、相手に「よく考えて判断してほしい」と伝える際に使用します。
敬語として誤った表現ではありませんが、「ください」は、受け取る相手によっては命令口調のように感じられてしまうこともあります。
より丁寧さを強めたいなら、次の「ご検討くださいませ」や「ご検討のほど」を使用すると良いでしょう。
例文
・メールに詳細資料を添付いたしましたので、ぜひご検討ください。
「ご検討くださいませ」
「ご検討くださいませ」は、「ご検討ください」と同様に、相手によく考えてほしいと依頼する際に使います。
「ませ」と語尾を和らげることで、「ご検討ください」よりも丁寧な印象を与えられます。
例文
・ぜひご検討くださいませ。
「ご検討のほど」
前述の通り、「ご検討ください」の場合、中には強制的な響きを感じたり、命令口調のように感じたりする人もいます。
「ご検討」に「~のほど」を付け加えることで、柔らかい印象を与えられます。
強制的な言い回しではない表現をしたい場合に使うと良いでしょう。
例文
・お手数ですが、ご検討のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
「ご検討いただけますと幸いです」
「検討してほしい」という気持ちをより丁寧に、かつ柔らかく伝えたい時に重宝する表現です。
例文
・今回限りのキャンペーンとなっておりますので、ご検討いただけますと幸いです。
「ご検討」の間違った使い方・正しい使い方
ここでは「ご検討」の間違った使い方、正しい使い方を紹介します。
間違った使い方例
まずは、間違った使い方の例文を紹介します。
丁寧さを込めようとするあまり、誤った使い方をしないように注意しましょう。
・ご検討になられる
・ご検討してくださる
・ご検討していただく
正しい使い方例
続いて、正しい使い方例を見ていきましょう。
・ご検討なさる
・ご検討くださる
・ご検討いただく
「ご検討」の言い換え表現
「ご検討」には似ている言葉がいくつかあります。
最後に、「ご検討」の言い換え表現を押さえて、表現のバリエーションを増やしましょう。
「ご一考」
「ご一考」は「ご検討」の類語で、どちらも相手に考えることを促す表現です。
「一考」には「一度考えてみる」という意味があります。目上の人に伝える場合は「ご一考ください」「ご一考のほどお願いいたします」などが適切です。
どちらを使用するか迷った時は、言葉が持つ意味から考えてみましょう。
「ご検討」は「調査する」という意味合いも含むため、よく調べて判断してほしい場合に用います。
一方、「ご一考」は「考えておいてください」といった、「検討」よりも軽い意味合いとして使うことができます。
ただ、「もう一度考えてください」という意味にもなるので、場合によっては相手の意見を否定しているような印象を与えてしまう可能性もあります。そのため、以下の例文のように「~のほど」など、上から目線だと受け取られないような言い回しに気を配りましょう。
例文
・お忙しいところ恐れ入りますが、ご一考のほど、よろしくお願いいたします。
「ご考慮」
「ご検討」に似ているものに「ご考慮」という言葉があります。
主に、相手に何か考慮してほしいと依頼する言葉として、文末の締めに使用します。
「ご検討」との違いは、「考慮」は「いろいろな要素から物事をよく考える」という意味を持っていること。
また、単に考えるという意味の「ご一考」よりも、さまざまことに対して考えを巡らせるニュアンスがあります。
例文
・誠に勝手なお願い事ではございますが、ご考慮いただければ幸いです。
「ご検討」の正しい使い方を知ってビジネスに役立てよう
いかがでしたか?
「ご検討」は、自分の提案を相手によく考えてもらいたい時などに重宝するフレーズです。
「ご検討」の正しい使い方や言い換え表現をマスターして、ビジネスシーンで役立ててくださいね。
(山本茉莉)
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