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「ご健勝」の意味や使い方は? 「ご清祥」「ご多幸」との違いや例文を解説

直井みずほ

ビジネスシーンなどで、一度は「ご健勝」という言葉を見聞きしたことがあると思います。「ご健勝」は、相手の健康を喜んだり、願ったりする気持ちを表す言葉です。今回は国際おもてなし協会代表理事・直井みずほさんに、そんな「ご健勝」の意味や使い方、言い換え表現などを紹介してもらいました。

仕事上でやりとりするメールや文書、スピーチなどで「ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」という一文を見聞きされたことはないでしょうか。

さまざまな場面のあいさつで使われる「ご健勝」という言葉ですが、どのような意味を持つのでしょうか? また、使う時の注意点は?

今回は「ご健勝」の正しい使い方を解説します。

「ご健勝」の意味とは?

「ご健勝」は「ごけんしょう」と読み、「健勝」に「ご」という接頭語が付いた言葉です。

「健勝」を辞書で引くと次のように書かれています。

けんしょう【健勝】
(相手の)健康がすぐれてすこやかなこと。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

接頭語の「ご」は、相手に対する話し手の敬意を表現する丁寧語ですので、「ご健勝」とは「(相手の)体に悪いところがなく心身が丈夫でいらっしゃる」という意味になります。

「ご健勝」の使い方

相手の健康を喜ぶあいさつ言葉である「ご健勝」は、個人やその身内・家族の健康について言及する場合に使いましょう。

丁寧語ですので、目上の方にはもちろん、同僚や後輩に対しても使うことができます。

また、その喜びを未来に向けて願う場合、例えば自分が退職する時などに、お世話になった方々の今後の健康を気遣うあいさつとして使うこともできます。

「皆さまのさらなるご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます」といったように、相手の健康や活躍を願う気持ちを謹んで伝える、「申し上げます」という謙譲語と共に使うと良いでしょう。

「ご健勝」を使う上での注意点

「ご健勝」は、心身が健やかであることを喜ぶ言葉ですので、相手が健康を損ねていたり、元気であるかどうか分からなかったりする時は、使用を控えた方が良いでしょう。

また、「ご健勝」は企業や組織に対して使うには適していません。

企業や組織に向けてのあいさつの場合は、「清く栄える」という意味を持つ「ご清栄」を使うのが良いでしょう。

「ご清栄」は、けがれがない・気持ちが良い・繁栄するといった状態を表すため、組織が健全であることを喜ぶあいさつ言葉として、相手方への敬意を表することができます。

「ご健勝」はどんな場面で使えるのか?(例文付き)

次に「ご健勝」を使うことのできる場面を、例文と共に見ていきましょう。

新年のあいさつメールや文書を送る時

例文

「昨年は何かとお世話になり、ありがとうございました。
おかげさまで良き新年を迎えることができました。

本年も昨年同様、よろしくお願い申し上げます。

皆さまのご健勝とご多幸を心よりお祈りいたします」

案内状や招待状・祝賀状の書き出しとして

例文

「拝啓 時下、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」

「拝啓 ○○の候、皆さまにはご健勝のこととお慶び申し上げます」

「謹啓 ○○の候、皆さまにおかれましてはますますご健勝のことと心よりお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」

転勤や部署異動の報告をする時

例文

「拝啓 ○○の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、私儀○月○日をもって○○勤務を命ぜられ、過日着任いたしました。……」

退職のあいさつをする時

例文

「○○様

いつもお世話になっております。○○です。
このたび、一身上の都合により○月で退社することとなりました。
在職中は大変お世話になり本当にありがとうございました。
(中略)
末筆ではございますが、○○様のさらなるご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます」

忘年会や新年会・結婚式などのスピーチで

例文

「ご指名にあずかりました○○でございます。僭越ながら、乾杯の音頭をとらせていただきます。
(中略)
皆さまのご健勝を祈念しまして、乾杯!」

「ご健勝」と「ご清祥」「ご多幸」の違い

「ご健勝」と同じように使われる言葉として「ご清祥」や「ご多幸」という言葉がありますが、「ご健勝」とはどのように違うのでしょうか?

それぞれ辞書には次のようにあります。

せいしょう【清祥】
手紙文で、相手が元気でめでたく暮らしていることを祝っていう語。

たこう【多幸】
(1)しあわせの多いこと。多福。
(2)[心]身体の軽さなどの体感を含む、快を伴う気分。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

手紙以外にもメールやスピーチなどいろいろな場面で使われる「ご健勝」と違って、辞書の意味にもあるように、「ご清祥」は手紙の中で使います。

「めでたく暮らしていることを祝う」という意味ですので、相手が喪中の際は控えた方が良いでしょう。

一方、「ご多幸」は、文書以外にもスピーチの結びのあいさつとしても使えます。

「ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます」というふうに、健康と共に幸せを願って「ご健勝」とセットで使われることが多いのが「ご多幸」です。

「ご健勝」の言い換え表現

次に「ご健勝」と似た意味合いで使われる言葉を見ていきましょう。

「ご壮健」

「ご壮健」は「元気盛んで丈夫」という意味です。

相手の健康状態をおもんばかるという意味で「ご健勝」と似ており、主に目上の人の元気な様子を表す際に使われます。

例文

「拝啓 ○○の候、○○様にはますますご壮健のことと拝察いたします」

「ご自愛ください」「お労りください」

「ご健勝」と同じように、相手の健康を気遣う結びの言葉として「ご自愛ください」「お労りください」があります。

どちらも「ご健勝」と同じように目上の人に対しても使うことができますが、その際には「どうぞ」「何卒」「くれぐれも」と言った言葉を頭に付けたり、語尾を「〜ませ」としたりするとより丁重な表現になります。

例文

「寒さ厳しき折、どうぞご自愛ください
「お疲れが出ませぬよう、お体をお労りくださいませ」

「ご健勝」を正しく使い、相手のことを思う気持ちを伝えよう

さて、今回は「ご健勝」の正しい使い方を解説いたしました。

ビジネスのさまざまなシーンや日常でのあいさつとして、相手の健康状態をおもんばかり、喜びや願う気持ちを伝える意味を持つ「ご健勝」。

「ご健勝」の正しい使い方をマスターし、相手を大切に思う気持ちを伝えてみましょう。

(直井みずほ)

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