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女性がオナニーをする平均頻度とは? 正しいやり方も解説

宋美玄(産婦人科医・医学博士)

性に関する話題は、周りの人にはなかなか聞きにくいもの。今回は産婦人科医・医学博士の宋美玄先生に、女性のオナニー事情について伺ってみました。平均頻度や気持ちいいオナニーのやり方など、気になっていたけれど誰にも相談できなかった情報が盛りだくさんです。

オナニー(マスターベーション・セルフプレジャー)というと「男性がするもの」というイメージがあるかもしれませんが、それは勘違い。女性がしてはいけないものではありません。

ただ女性の場合、男性と比べて性についてオープンに話す機会が少なく、情報もあまり多くないため、マスターベーションのスタンダードな頻度や方法がわからなくて不安になることもあるでしょう。

女性のみなさんは、どんなふうにマスターベーションをしているのでしょうか。

女性のオナニー、平均頻度は?

まずは、女性のマスターベーションの頻度について見てみましょう。20~69歳の男女を対象としたセックスに関する大規模な調査『ジェクス ジャパン・セックスサーベイ2020』に、女性の自慰(マスターベーション)の頻度を尋ねる質問があります。その結果は上のグラフの通りでした [*1]。

全年齢で見ると、マスターベーションをしている人のなかでは、その頻度として「年数回程度」と答えた人が12.2%で、割合としては最多でした [*1]。2番目には「月2~3日」が6.5%で続いています。

同じ質問に対する男性の回答で最も多かったのは「週2~3日」の21.3%でした。全年齢で男女比を見ると、女性のほうが、マスターベーションの回数が少ないことがわかります [*1]。

若い女性のオナニー頻度、最多層は「週2~3日」

ただし、マスターベーションの頻度は年齢によって差があります。上のグラフにも示されているように、20代・30代の女性と全年齢の女性とでは、マスターベーションの頻度の傾向が異なっています[*1]。特徴的な点をあげてみました。

・週1回以上マスターベーションしている女性が、20代では23.3%、30代では22.1%。「5人に1人以上が毎週している」といえます。

・マスターベーションの回数として「週2~3日」と答えた女性が最も多く、20代では10.0%、30代では9.2%。「約10人に1人が週2~3回している」といえます。

平均値ではありませんが、若い女性ほどマスターベーションをしている傾向にあることがわかります。

適切な頻度とは

こういったデータを見ると「それよりも頻度の高い私はやりすぎ? もしかしておかしいのかな……」と思う人もいるのではないでしょうか。

「マスターベーションをしすぎると病気になる」などといわれることもあり、マスターベーションの頻度を気にしている人もいるかもしれません。しかし実際には、「マスターベーションをしすぎると病気になる」ということはありません。

マスターベーションは誰も傷つけず、妊娠や性感染症の心配もなく、自分1人で自らを癒やすことのできる手段のひとつです。手や性器を清潔にして、性器を傷つけないようにして行うことが前提ですが、週に何回、日に何回などの制限があるわけではないのです。

むしろ女性がマスターベーションをすることは、普段はあまり触れたり見たりする機会の少ない性器に注目し、自分の体への理解を深めるきっかけにもなります。

また、マスターベーションをすることで、オーガズムに達する=イクという感覚を得やすくなり、パートナーとのセックスをよりよいものにできるケースもあります。マスターベーションは決して恥ずべきこと、いけないことではないのです。

オナニーの種類

より心地良さを得るために、マスターベーションへの理解をさらに深めてみるのもよいでしょう。女性が性的快感を覚える主な部位は、以下の通りです。

クリトリス

クリトリスは、男性でいえばペニスにあたる器官です。ペニスとクリトリスは、受精卵からヒトになるとき、その後の性別によって発生が分かれたものであり、元は同じもの。そのため、構造や刺激に対する反応は非常によく似ています。

私たちが実際に目にしているのは、クリトリスのごく一部の陰核亀頭(いんかくきとう)という部分のみで、じつはクリトリスは、目に見えているよりもずっと大きな器官なのです。

クリトリスは女性の体の中で最も敏感かつ快感を得やすい場所です。マスターベーションのときも、ここを刺激すると多くの女性が性的快感を覚えます。

なぜならば、クリトリスの長い脚(2対4本)のようなものが、腟を挟み込むように存在しているからです。

性的興奮を感じると、腟の内壁からは潤滑液が染み出し、いわゆる「濡れた」状態になります。興奮が高まってくると腟を含めた外陰部全体が充血して赤く色づくと同時に、ぷっくりと膨らみ、腟口がペニスを受け入れるように広がり始めます。
このとき、左右に伸びたクリトリスの脚も充血し、太さを増していきます。これによって腟の神経が反応し、性的快感を覚えるのです。

腟がこの状態になったら、指やバイブレーターなどのセックストイを挿入してマスターベーションを行うと、快感を得ることができるでしょう。ただし、マスターベーションのとき、腟を刺激しても快感を得られないという女性もいるようですので、個人差のある部分です。

Gスポット

Gスポットは、クリトリスの陰核亀頭を裏側から触るような部分と考えるとわかりやすいでしょう。クリトリスの一部と考えられ、刺激することで性的快感を得ることができます。

手のひらを上に向けて腟に中指を挿入し、第一関節を軽く曲げたところがGスポットです。腟内のヒダのなかでその部分だけがざらざらしていたり、ちょっとだけくぼんでいたりする人もいるようです。女性が自分の指で刺激するのは少し難しいかもしれませんので、バイブレーターなどを使ってもよいでしょう。

このほか、神経が多く通っている乳首も性的刺激を感じやすい部位といえます。

一般的なオナニーの方法

マスターベーションは、気持ちのよい部位を好きなように刺激し、自由に行ってよいものです。とはいえ、敏感な部分を刺激することになるので、どのような方法が一般的なのかを知っておくのも大切です。ここでは、基本的なマスターベーションの方法を紹介しましょう。

クリトリスを刺激する方法

まずは清潔な手でクリトリスを上下にさすったり、円を描いたりしながら、やさしく刺激します。性的興奮を感じ、腟から潤滑液が分泌されてきたら、それをクリトリスにこすりつけながら、さらに刺激していきましょう。

気持ちよければ指の動きを早めてもいいですが、ソフトな刺激を一定のリズムで、淡々と行うほうが、女性は絶頂に達しやすくなります。 場合によってはローターなどのセックストイを使いながら刺激をしてもよいでしょう。

腟(Gスポット)を刺激する方法

腟を刺激する場合、あお向けになると全身の力が抜けて、指やバイブレーターをスムーズに挿入することができます。

片方の手で、小陰唇(腟口をふさいでいるヒダ)を開き、もう片方の手の中指を挿入して刺激していきます。ある程度、性的興奮を感じ、腟口が開いてから挿入を試みるとスムーズにいくはずです。先ほど紹介したGスポットをはじめ、自分が気持ちいいと感じる場所を刺激していきましょう。

ポルチオに快感を覚える人も

ポルチオと呼ばれる、腟奥のコリコリとした部分(イラスト参照)に性的快感を覚える人もいます。バイブレーターなどを無理のない範囲で奥まで挿入し、ポルチオを刺激するのも、人によってはおすすめです。

オナニーをするときに気を付けること

最後に、マスターベーションをする際の注意点をお伝えします。

まず大切なのは、「人に見られる心配のない、プライベートの保てる空間でリラックスして行う」こと。それによって感度が高まり、オーガズムに達しやすくなると考えられます。そのほか、以下のようなことに注意して行いましょう。

(1)清潔な手で触る

性器を触る手を清潔にしておくことは基本中の基本です。特に女性は尿道口と腟や肛門との距離が近いため、汚い手で性器を触ると大腸菌などの雑菌が尿道から入り込み、膀胱炎になることもあります。手を洗ってから、マスターベーションを行いましょう。

(2)セックストイも清潔にする

バイブレーターやローターといったセックストイを使用する場合は、それらもきちんと洗って清潔にしておきましょう。バイブレーターの場合はコンドームをかぶせて使用するのも一つの方法です。

(3)強すぎる刺激や、長時間の刺激を与えない

性器はデリケートな部位です。刺激が強すぎたり、長い時間触りすぎたりすると、性器が傷ついてしまうことや摩擦で性器に痛みが生じたりすることがあります。なるべくソフトに、長時間になりすぎないよう注意しましょう。

女性は、ソフトな刺激を一定のリズムで、淡々と与えるほうが絶頂に達しやすくなります。クリトリスや腟が傷つくほどの強い刺激を加えなければ気持ちよさを感じないという場合、陰核包茎などの可能性もあります。心配な場合は婦人科を受診し、相談してみるのもよいでしょう。

ルールに縛られすぎず、自由なスタイルで楽しんで

今回はマスターベーションの一般的な頻度や基本的な方法などを紹介しましたが、ここで紹介したものがすべてではありません。マスターベーションは各自が、自由なスタイルで楽しんでよいものです。体に影響のない範囲でさまざまな方法を試し、快感を追求してみましょう。女性ももっと、自分の性的欲求に素直になってよいのです。

(監修:宋美玄、取材・文:山本尚恵)

※画像はイメージです

参考文献

[*1] ジェクス ジャパンセックスサーベイ2020 調査結果報告書 p24
https://www.jfpa.or.jp/pdf/sexservey2020/report.pdf

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