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働きすぎ問題。長時間労働してしまう原因と解決策

小野勝弘(キャリアコンサルタント)

なんだかいつも疲れている。仕事のことがずっと頭から離れない。それ、働きすぎかもしれません。今回は、そんな働きすぎから抜け出す方法をキャリアコンサルタントの小野勝弘さんに教えてもいました。体を壊してしまう前に、できることをしましょう。

「最近働きすぎじゃない?」

家族や友人から言われて、気になったことありませんか? 同僚たちと比べていると「働きすぎ」だとは感じていなくとも、もしかすると世間的に見ると頑張りすぎているのかもしれません。

本当に働きすぎなのかしっかりとチェックし、ライフワークバランスを大切にした働き方を見つける方法を一緒に探しましょう。

そもそも「働きすぎ」ってどのくらい?

日本人の平均残業時間は?

日本人の平均残業時間は、令和2年6月時点で11.4時間となっています(参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和2年6月分」)。一方で、コロナ前の令和元年10月の平均を見ると、14.8時間が平均となっていますから、残業時間は社会情勢に大きく影響しているといえるでしょう(参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和元年10月分」)。

しかし、これはあくまで業種で見た平均値。毎月30〜40時間残業している人もいれば、全く残業が無い人もいるでしょう。もしあなたが80時間以上残業をしていたとしても、所定時間内で収まっている人が業界内に多ければ多いほど、平均残業時間はデータ上減っていきます。

残業は、数字の平均を見るのではなく、実際に職場で行われている残業時間を把握し、自分にとってどの程度負荷があるのか考えることが大切です。体を壊してから悔やむのでは、元も子もありません。

働きすぎかどうかチェックする方法

働きすぎかどうかの判断には個人差があると考えます。そこで、自分が働きすぎているのか、残業時間以外から判断する方法をいくつか紹介します。

(1)休日でも仕事のことが頭から離れない

休日に、ふと仕事のことが思い浮かぶことがある人は要注意。思い浮かぶだけに留めておけばいいのですが、少しだけでも手を付けておこうと考えてしまうと「働きすぎ」に近づきます。

(2)深夜にPCを開いてしまうことがある

マネジメント職やフリーランス、時短勤務をしている人にありがちです。寝る前にメールの確認だけでも……なんて思っていると、思わぬトラブルに出くわして寝る時間を奪われることも。

あまりにプライベートより仕事を優先してしまうような状態は、働きすぎと判断できるでしょう。

(3)常にスマホをチェックしてしまう

テレワークの方に多い現象です。「いつ連絡が来るか分からない」のでスマートフォンの着信を意識しておく心掛けは良いのですが、トイレに持っていったり、お風呂にも持って入ったりしていませんか?

リラックスする時間と仕事の時間が常に同じだと、働いているのか気を抜いているか分からなくなり、「働きすぎ」の危険があります。

(4)依頼された仕事を断らない

転職したり、再就職したりしたばかりの人にありがちな傾向です。仕事を覚えたくて頑張る時期なのはとても分かるのですが、何でも頼みやすい人になってしまうのは良いこととはいえません。

自分のキャパシティーを超える量の業務を請け負っていませんか?

(5)提出締め切りギリギリに仕事を終える

仕事を追い込む際にパフォーマンスが上がるという人に当てはまります。

いつもギリギリにでもできてしまうからこそ、締め切りを抱えてしまう。結果、毎日が締め切りとなってしまって、「働きすぎ」まっしぐらという人も実際にいます。

私たちが働きすぎてしまう原因

では、私たちはどうして働きすぎでしまうのでしょう? 原因を5つ紹介します。

(1)働くことが生活の中心になっているから

テレワークが盛んになっている今、よく聞く傾向です。生活の中心に「仕事」がある状態なので、境目を見失ってしまって働きすぎとなっています。

(2)仕事が好きだから

仕事が好きだといえる人、いるんじゃないでしょうか。私の経験上、趣味が仕事だという人もいるくらいです。

自分としては働いているというような認識は無いけれど、知らぬ間に働きすぎてしまうのです。

(3)責任感が強いから

「より良いものを!」「締め切りは絶対守ろう!」「リーダーだから!」など、自分の仕事に責任を持っているからこそ、仕事を抱えてしまうこともあります。

(4)役職と仕事の内容が合っていないから

「プレイングマネージャー」という言葉を聞いたことがある方は多いかもしれません。現場の仕事をこなしながら、管理職としての仕事も行う人をそういいますが、単純に仕事が増えただけのケースも。

有限の時間で全部やり切ろうとするからこそ、働きすぎとなってしまいます。

(5)名ばかり管理職であるから

管理職になると裁量が増えるために、時間外の認識が一般の社員と比べて甘くなりがちです。

むしろ一般の社員の時間外労働をチェックするために、管理職が身を削っているという状況もあり得ます。

働きすぎから抜け出す方法

さまざまな原因から引き起こる「働きすぎ」。どうすればそのような状況から抜け出せるのでしょうか? 自力で抜け出す方法と、誰かの力を借りて抜け出す方法を紹介します。

自分の力で改善する方法

(1)業務前に1日のスケジュールを立てる

今日1日の業務時間の中で、何を優先して行う必要があるのかを考えましょう。

優先順位が決まると、おのずとスケジュールも決まってきますから、突発的な案件をどのタイミングで受け取ると良いのかといったことも考えられるようになりますし、業務が立て込んでいる場合は断ることもできるでしょう。

(2)断り方を身に付ける

できないことをできないと言うこと自体は、悪いことではありません。仕事が詰まっているのであれば、引き受けたい意思を示しながら今の状況を説明し、どの程度なら引き受けられるといった交渉を行うことも有効です。

(3)生活サイクルを定義する

最低でもこの時間には帰宅し、ご飯を食べて、就寝するという生活のサイクルを定めましょう。

生活より仕事の方に重みが置かれる時に働きすぎとなりますから、生活上譲れないラインを作ることも大切です。

誰かの力を借りて改善する方法

(1)転職を考える

そもそも、職場自体が過重労働になっている可能性があります。安易な決断はできませんが、転職して職場を変えるというのは1つの試みといえます。

(2)友達の力を借りる

「働きすぎじゃない?」と言ってくれた、家族や友達の力を借りましょう。

具体的には、夜連絡を取る時間を設けるなどどうでしょうか。その予定を優先事項として1日のスケジュールを立てることになりますので、働きすぎを回避することにつながります。

(3)キャリアコンサルタントに相談する

私たちキャリアコンサルタントの元には、「働きすぎ」で悩んで来られる方も大勢いらっしゃいます。

働きすぎという状態は、仕事と生活のバランスが崩れているという状態ですから、仕事と生活両面からしっかりアドバイスできるキャリアコンサルタントへの相談がとても有効だと思いますし、実際私の元では9割程度の人がスッキリされて帰られます。

気軽に相談してみるのをおすすめします。

自分の働き方を見直そう

「働きすぎ」は、意外と身近にあります。テレワークも普及してきており、仕事と生活の境目はますます無くなってきていますよね。

今からでも、自分の生活と仕事の境目をしっかりと考えて、仕事もライフスタイルもどちらも両立させられるような働き方を目指してくださいね!

(小野勝弘)

※画像はイメージです

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