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結婚願望がない男を変えるには? 結婚に対する男性の心理と対処法

荒川和久

結婚願望がない男性の割合は増加している? そんな相手を好きになった場合、あなたが変えていくしかありません。そんな時の対処法を独身研究家の荒川和久さんがデータと共に解説します。

最近の男から結婚願望が消えつつある?

そんな話も耳にします。確かに、急激な勢いで未婚化・非婚化は進行し、若者の「恋愛離れ」や「草食化」などという言説も盛んです。

今回は、男性の結婚願望がなくなってしまったのは本当なのか、また、結婚願望のない男性と結婚するにはどうしたらいいのかについて、いろいろなデータを用いて考えてみたいと思います。

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結婚願望がない男性が増えているのはウソ

男性に結婚願望が消えつつある。恋愛離れしている。草食化している。

はたしてこれって、今にはじまったことなんでしょうか? 昔の男たちは結婚願望が旺盛だったのでしょうか?

ちがいます。いつの時代も結婚願望のある男の比率は変わっていません。

まずはその話からしたいと思います。

「結婚したい人9割説」のからくり

若者の結婚願望の低下を耳にする一方で、「独身者の9割は結婚したいと思っている! というニュースを見たよ」という方もいらっしゃるでしょう。

それ自体は本当です。

このデータは、「出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)」の独身者調査結果に基づくもので、未婚化や少子化のニュースの際には、必ずといっていいほど使われます。

詳しくいうと、直近の2015年の調査結果では、未婚男性の85.7%、未婚女性の89.3%が「いずれ結婚するつもり」と回答しています(対象は18~34歳未婚者)。

だから、「9割が結婚したがっている」という理屈につながるんでしょうが、それは正確性を欠きます。

実は、この設問には、選択肢が「いずれ結婚するつもり」か「一生結婚するつもりはない」の2つしかないのです。二者択一なんです。

どちらかを選べと迫られたら、現段階で「一生結婚するつもりはない」という強い意志を持つ人以外は、「いずれ結婚するつもり」を選ぶしかなくなりますよね?

このひとつの設問の回答結果だけで「結婚したい人が9割もいる」と断じるのはかなり乱暴です。

にもかかわらず、この「結婚したい人9割説」はメディアも一部の専門家もなんの疑いもなく使用しているどころか、むしろ進んで使っています。

結婚願望のある男性は約4割

実は、この出生動向基本調査ではこのあとに続く質問があります。

「いずれ結婚するつもり」を選んだ人に対して、「1年以内に結婚したい」「理想の相手ならしてもよい」「まだ結婚するつもりはない」のいずれかを回答させています。

この回答と、最初の設問の「一生結婚するつもりはない」を合わせて、結婚前向き派と結婚後ろ向き派がどれくらいいるか、その経年推移を見てみましょう。

赤系=結婚前向き、青系=結婚後ろ向き、灰系=不詳とします。

独身者・結婚の意思長期推移

これによれば、ここ30年間、男女とも結婚前向き派はほぼ同レベルで変わりません。

直近の2015年でも、結婚に前向きなのは、男性39%、女性47%です。とても9割には届きません。

ざっくり言えば、本当の意味で「結婚したい」という人は、18~34歳の男性の4割、女性の5割しかいないということです。

男性の結婚願望は30年間ほぼ変化なし

ちなみに、グラフの最初のほうにある1980年代の日本は、ほぼ全員が結婚する皆婚時代でしたが、当時でさえ個人の意識としては、全員が結婚に前向きだったわけではないことがわかります。現代とさほど変わってはいないのです。

80年代まで皆婚できたのは、男に結婚願望があったからではなく、社会的な結婚システムのおかげです。

わかりやすくいうと、お見合い結婚と職場結婚というお膳立てがあったからこそ、かつて全員が結婚できていたのです。

未婚率の上昇は結婚システムの変化が原因

日本でもっとも婚姻数が多かったのは1972年です。年間110万組が結婚しました。対して、2015年の婚姻数は64万組と約半分に減少しています。

減った分の46万組というのは、奇しくも、お見合い結婚と職場結婚というお膳立て婚の減少数とほぼ一致します。

つまり婚姻数の減少はこれら2つの社会的お膳立てシステムの崩壊に起因しているのであって、決して個人の結婚願望の変化などではありません。

結婚願望がない彼氏に結婚を考えさせるには?

「長年付き合っている彼氏が全然プロポーズしてくれない……。どうすればいいですか?」

アラサー独身女性からこういう相談を受けることがあります。

自分からプロポーズできる男性は3割

大前提からお話しすると、そもそも、自分からプロポーズなり能動的にアクションをおこせる男なんてたった3割しかいません。あとの7割は受け身です。

2015年内閣府「少子化社会に関する国際意識調査報告書」によれば、「気になる相手には自分から積極的にアプローチをする」と回答した男性はたった26.8%でした。一方、女性に至っては14.6%です。

男も女も受け身なのであって、お互い待っているだけで一向に進展しないのです。

男性は古来より受け身である

結婚において男は受け身であるという事象は今にはじまったことではなく、『古事記』にも書かれています。

『古事記』

日本最初の夫婦といわれるイザナギノミコトとイザナミノミコトですが、プロポーズをしたのは女のほうであるイザナミのほうです。

本来、男のイザナギから言うべきだったのに、照れてモジモジしてしまったので、しびれを切らしたイザナミから切り出しました。

晴れて結婚した2人ですが、どうしても子宝に恵まれません。困り果てたイザナギとイザナミは、天界の神様に相談しに行きます。

そのときの神様のアドバイスを現代風にいうとこうなります。

「もしかして、ナミちゃんのほうからプロポーズしたんじゃね? それじゃダメだよ。プロポーズは男のナギくんからちゃんと言わなきゃ」

その後、2人は再度男のイザナギのほうから声をかけるプロポーズシーンを律儀にやり直しました。

すると、無事に健康な子どもが生まれます。それが最初の国土である今の淡路島になった……ということらしいのです。

つまり『古事記』の時代から、「日本の男は自分からプロポーズすらできなかった」わけです。

実は、これはわざわざ「プロポーズは男からすべし」と『古事記』に明記しなければいけないくらい、古代より女性のほうが積極的だったという証拠かもしれません。

だからこそ、「女からするとよいことにならない」という警告の形にもなっているのでしょう。

結婚願望がありプロポーズできる男性は1割

内に秘めた結婚願望がたとえあったとしても、男はそれを相手に伝えることができないものです。

だからこそ、かつてのお見合いや職場の縁というお膳立てが必要だったのです。

まとめると、結婚願望のある男は4割しかいないし、いたとしてもその内の3割しか自分からアプローチできません。

結婚願望のある男を見つけて、さらに相手からプロポーズしてくれる男を探し出すとすると、対象はたったの1割しかいないことになります。

僕が主宰するラボで、2018年に全国20~50代の有業の既婚女性に対して行った調査では、「自分(女)からプロポーズした」という既婚女性は31%もいます。

現在有配偶率は6割です。3割の能動的な男と3割の能動的な女が受け身の相手とマッチングした結果だと見ることもできます。

結婚願望の有無より「お膳立て」の有無が大事

だからといって、女性から積極的にプロポーズをすれば解決か、というとそう単純な話ではありません。

7割の受け身男たちは、自分から行く度胸はないくせに、逆に女性からガンガン来られるとうるさく感じたり、心を閉ざしたりしてしまいます。

では、一体どうすればいいんでしょうか。

自ら直接的に攻めるのではなく、友だちなど周囲の人たちに協力してもらい、「あなたに好意がある」ということをさりげなく伝えてもらうことが大事です。同時に「逃げるなよ」という包囲網にもなります。

かつてのお見合いにおける仲人がしたように、「あとは自分で言うだけ」というお膳立てをしてあげるのが近道です。

相手に結婚願望があるかないか、ではなく、お膳立てがあるかないかのほうが重要なのです。

(荒川和久)

※写真はイメージです

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