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「女は顔がすべて」って本当? 背景にある男性特有のバイアスとは

仁科友里

「女は顔」や「女は顔じゃない」なんて聞いたことはないですか? なぜ「女」と「顔」はセットで語られてしまうのでしょうか。ライターの仁科友里さんに教えてもらいました。

こんにちは、ライターの仁科友里です。

「オンナは顔か性格か」という問題は、昔から論じられている普遍的なテーマでもあります。

今日はこのテーマで一緒に考えていきましょう。

「オンナは顔」といわれる理由

「オンナは顔か性格か」という問題は、「人を判断するときに、顔と性格(言動)どちらですべきか」の言い換えだと思います。「顔か性格か」というように二択でとらえている人は、外見(顔)と内面(言動)を切り離せると思っている人でしょう。

しかし、私たちが実際に人を見るときに、「ここまで外見」「ここからが内面」というふうにきっちりわけて考えられるものでしょうか。

私たちは無意識にバイアスをかけている

たとえば、ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が「5時に夢中!」(MXテレビ)で「高校に行く必要はない」と発言していたことがあります。これからはAIの時代が来て、人間の仕事が奪われることになる、学歴のために高校に行く必要はないと説明していました。

ホリエモンの説明は筋が通っている、そのとおりだと思う人もいるでしょうが、中には「ホリエモンが言っているから」、この意見を支持する人もいるでしょう。ホリエモンは実業家として大成功を収めています。「成功者であるホリエモンが言うのだから、まちがいない」というふうに、実績にひきずられて人を判断するということは、よくあることです。

次は、みなさんに質問です。

年収3000万の男性に「人生で大切なのは、お金じゃないよ」と言われたらどう思いますか?お金を稼ぐ能力に富んだ上に、お金にこだわらない高潔な人格だと思いませんか?

それでは、お金に困っている男性がまったく同じことを言ったらどうでしょう。稼いでから言えよと思うのではないでしょうか。まったく同じ発言でも、その人の境遇によって印象は変わってきてしまうのものなのです。

このように、私たちは、人を見るときに無意識にバイアスをかけています。その人の内面だけで、人を判断することは不可能ではないでしょうか。

年収や学歴、家庭環境(親がお金持ちか、実力者か)などバイアスはいろいろありますが、そのうちのひとつが外見です。

美人は得をする現実

ルックスのいい女性が社会的に恩恵を受けるということは、数々のデータが証明しています。

たとえば、アメリカのテキサス大学オースティン校の教授、ダニエル・S・ハマーメッシュ氏の調査では、見た目がいい人はそうでない人より年収が高く、その現象を“ビューティー・プレミアム”という言葉で解説しています。同じ調査結果が、オーストラリア、カナダ、中国、イギリスでも出ているそうです。アメリカ・コーネル大学の調査によると、軽犯罪の場合、美男美女のほうが罪が軽いという結果も出ています。

日本ではどうでしょうか。作家・橘玲氏の『言ってはいけない』(新潮社)には、美人はそうでない人より、生涯年収が3600万高いと書かれています。きれいな人がミスコンテストの覇者となり、女子アナや芸能人となって知名度を高め、政治家に転身するといった具合に、美を原資にしてカネと権力をモノにするケースもパターン化してきました。小池百合子都知事は元ニュースキャスター、自民党の丸川珠代議員は元テレビ朝日の女子アナ、立憲民主党の蓮舫副代表もクラリオンガール出身です。

「メラビアンの法則(※)」によると、第一印象が決まるのは3~5秒だそうですから、たとえば面接の場合、椅子に座るまでが勝負と見ることもできるでしょう。※1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した概念。

これらのケースを「やっぱり美人はトクだ」ですませてひねくれるのは、ティーンの発想です。みなさんはもうオトナですから、現実を知った上で、どう対処すべきかを考えることができるはずです。

「美人が得をする」背景には男性特有のバイアスがある

なぜ見た目のいい人は年収が高くなり、罪を犯しても刑が軽くなるのか。

その理由について、私はこんな仮説を立てました。

「男性は外見がよいと、女性の内面までよく見えるから」
「男性の判断には、無意識に性的メリットがからむから」

採用試験のように、「会社に有効な人材か」「一緒に働きたい人物か」という能力や内面を見るつもりでも、男性が女性(女子学生)を前にすると、つい「外見がよいと、内面までよく見える」、つまり「優秀な人材だろう」というバイアスがかかってしまうのです。

特に容姿が関係ない職種でも、女性の外見が判断要素になったり、女性から見て性悪な女子が男性に「いい子」と呼ばれるのは、男性ならではのバイアスの結果といえるのではないでしょうか。

一方で「オンナは顔じゃない」といわれるワケ

たとえば、女子アナのみなさんは、ミスコンテストの覇者であることが多いわけですが、ミスコンの女王が集まれば「それがフツウ」であり、武器になりません。みんながきれいなのは当たり前なわけですから、美ではない何かで勝負しなければ、人気は出ないでしょう。

婚活も「顔じゃない」理由

婚活の場合も同様です。

最初は「外見がいいと内面もいい」バイアスがかかっていますから、男性は美人に好意的でしょう。しかし、この関係がずっと続くとは限りません。

「男性の判断には、無意識に性的メリットがからむ」が仁科仮説ですが、男性の性的メリットの最たるものは、セックスです。セックスをするまでは女性の言うことを聞いてくれますが、たやすくセックスできる関係になると、急に女性のアラが目についてきたり、すれちがいが起こるのです。

つまり、仕事でも婚活でも、外見が物を言うのは、最初だけです。

婚活が一番難航するのは美人

世の中というのは案外平等だと思うのが、誰にでも得手不得手があること。

たとえば、美人は男性に言い寄られる数は確かに多いのですが、その中には、遊び目的だったり、きれいな女性を連れて歩きたいだけの見栄っ張りもいますから、確かな目を養わなければなりません。彼氏は簡単にできる分、関係性を長続きさせることは苦手な傾向があります。

拙著『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)にも書きましたが、婚活が一番難航するのは、美人です。一方の美人でない人は、美人と比べたら、彼氏ができるのに時間がかかるかもしれませんが、彼氏ができればすんなり結婚に進むことはよくあります。

「オンナは顔か性格か」なんて考えちゃダメ

ですから、「顔か性格か」について考えるよりも、自分の得意な部分をいかに活かすかを考えたほうが建設的なのです。

たとえば、美人だけど騙されやすい自覚がある人は、共通の知人がいるなど、身元がしっかりしている男性と出会うようにするといいですし、美人でない人は同期人気ナンバー1の子と行動しない、合コンのように第一印象が重要な場よりも、じっくりお互いを知り合える出会いを求めるというように、「自分に合う方法」を見つければいいのです。

「顔採用」はおかしい。解決策は?

美に関係ない職種の就職にまで、外見が影響を与える社会はおかしいと私は思います。

なぜこのようなことが起きてしまうかというと、人事部や採用関係者のほとんどが男性だからでしょう。

それを正すには、みなさんが会社で採用などに関わるような重要なポストにつくのが一番簡単な解決策です。

プレッシャーをかけるつもりはありませんが、みなさんひとりひとりのがんばりが、世の中を変える力を秘めていることも、忘れないでください。

(仁科友里)

※画像はイメージです

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