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独身女性が必要な老後資金はいくら? FPが教える貯蓄プラン

藤井宏枝(FP)

「このまま一生独身だったら……?」と、不安に襲われることはありませんか? もし本当に独身だった場合、今から老後のお金の準備をすることが大切になってきます。この記事では、マイライフエフピーに所属するFPの藤井宏枝さんに「独身女性が老後に必要なお金と準備方法」を解説してもらいました。

「このまま一生独身かも!?」と急に不安に駆られることはありませんか?

その不安の正体が、老後のお金の心配という方も多いと思います。今から準備をして老後に備えることができれば、不安は薄らいでいくことでしょう。

ここでは、「独身のまま老後を迎えた場合は経済面が不安なのでは?」と漠然と考える方のために、独身女性の老後に必要なお金と、老後の資金を確保する方法をお伝えします。

独身女性の老後に必要なお金は4,500万円!?

苦手な方も多いかと思いますが、まずは数字で老後のお金の現実を見ていきましょう。

具体的な金額を把握することで、ご自身の老後資金の目標額が明確になります。

(1)老後の生活費支出は月額15万円

 

そして、厚生労働省の2017年の「簡易生命表」では、30歳女性の平均余命は57.7 年、つまり87.7歳まで過ごせる計算です。たとえば、65歳~90歳まで25年間の生活費の総額を計算すると、

★約15万円×12カ月×25年=約4,500万円

あくまで平均なので、お住まいの地域や賃貸住宅か持ち家か、さらにどんな老後を過ごしたいかによって金額は異なってきます。ご自身の老後の生活費はどれぐらいか、考えてみてくださいね。

(2)年金は年額135万円

次に、老後の主な収入として、受け取れる老齢年金の金額を計算してみましょう。

たとえば、現在30歳の女性が22歳~65歳まで会社員として勤務して、ボーナスを含めた平均の給与が月額20万円 の場合に受け取れる老齢厚生年金を試算してみると、老齢厚生年金は年額約135万円 になります。65~90歳まで25年間受け取るとすると、

★約135万円×25年=約3,375万円

他方、自営業の方で老齢基礎年金のみを受け取る場合ですと、満額で年額779,300円(2018年度の金額) ですから、25年間で約1,950万円です。より具体的に自分が受け取れる年金の見込み額を知りたい場合は、「ねんきんネット」を利用すれば試算ができます 。

(3)老後に備えて準備すべきお金は?

老後の支出と収入を比較すると、支出が収入を上回っていますね。

つまり、収入の不足分が老後のために準備しておきたい金額になります。

先述の30歳の会社員の女性の場合、65歳以降は平均的な1カ月の生活費の15万円で暮らせそうならば、不足分は約1,125万円です。

生活費支出約4,500万円-年金収入約3,375万円=約1,125万円

★の部分に、ご自身の想定する金額を入れて上記の手順で計算し直した金額に、それぞれ現在の貯蓄額や退職金など年金以外の収入も加味すると、現実的な金額が見えてきます。さっそくシミュレーションしてみて、ご自身の目標金額を計算してみましょう。

老後の資金を確保するためにすべきこと

計算した金額を準備しようと考えたとき、まず貯蓄を思い浮かべるでしょう。貯蓄は、収入よりも支出が下回っていれば増えていくはずです。

思うように増えていないということは、まずは今の生活を見直す必要がありそうです。

支出を減らして貯蓄を増やし、資産運用をはじめるなど、少しずつステップアップしていきましょう。

次に、具体的にどう改善していけばよいのか、比較的取り入れやすいオススメの方法を4つお伝えします。

(1)固定費を見直して支出を抑える

支出を抑えるには、まず毎月決まって出ていくお金(固定費)を見直してみましょう。

家賃・住宅ローン・光熱費などの住居費と、携帯電話・ネット接続料などの通信費は、ほとんどの方に関わってくる項目なので必須項目です。

住居費は金額が大きいので見直しの効果は大きいですが、まずは携帯電話料金など簡単なものからはじめてみましょう。

ほかにも、生命保険などにご加入中の方なら、保障が重複しているものはないか、必要以上の保障をつけていないかなどを確認してみましょう。

また、車をお持ちの方なら、車にかかる維持費の総額を把握し、使用頻度が低い場合は思い切って手放してみてもいいかもしれません。

(2)先取り貯金でコツコツ増やす

お金を持つと使いたくなるタイプの方には、お給料が入ると同時に貯蓄分を別口座に移す先取り貯金をオススメします。

自動積立で毎月定額を定期預金口座に預け替える方法 にすれば、自分で移し替える手間が省ける上に、簡単に引き出せないので確実に貯蓄ができます。しかも、定期預金は普通預金よりも若干金利が高い(年利0.01~0.3%程度。金融機関や預け入れの金額や期間によって異なります )です。

また、普通預金や定期預金は、銀行が破綻しても元本1,000万円までと破綻日までの利息などが保護される制度もあります。

(3)貯蓄型の保険を活用する

老後資金のための貯蓄型の保険として、個人年金保険も選択肢のひとつです。

個人年金保険 は、支払った保険料を積立金として保険会社が運用する貯蓄性の高い保険です。

契約時に設定した時期から年金として受け取れます。

たとえば、現在30歳の女性が月額3万円の保険料を35年間払い込んで、65歳から年金を10年間受け取れる個人年金保険の場合、年金の受取累計額は約1,324万円 (一括受取は約1,305万円)です。

払込保険料累計額が1,260万円なので、年金受取率が105.1%となり約64万円増やせることになります。

(4)資産運用にチャレンジしてみよう

投資信託 は、多数の投資家が預けたお金を運用の専門家が株や債権などに分散して投資して運用してくれ、運用利益を投資額に応じて受け取れる仕組みの金融商品です。

少額からはじめられること、分散投資でリスクの軽減が図られていることが特長です。

ただし、運用の専門家が運用していても損失が出ることもあり、元本保証がないことに注意が必要です。

投資信託を少額でもコツコツと毎月定額購入するなど、積立投資からはじめてみましょう。

たとえば、毎月3万円を年率3% で30年積み立てた場合 、約1,750万円にもなります。

1,080万円(元本)+ 668.2万円(運用収益)=1,748.2万円※手数料、税金等は考慮していないため、計算上の値です。

老後資金を準備するための資産運用としては、「iDeco(個人型確定拠出年金)」の制度を活用するのがオススメです。

積み立てたお金が全額所得控除されるなど、税制面での大きなメリットを受けながら、積立投資を実践できます。

ただし、60歳まで原則として引き出しができないようになっていることには注意が必要です。

iDecoは毎月の積立額に上限があるため、余裕があれば「つみたてNISA」についても検討するといいでしょう。

時は金なり! 1日も早いスタートを

長生きすれば、誰にでも老後は訪れます。

そのときにどんな生活が送れるかは、今、若いうちにどれだけ準備しておけるかで決まると言っても過言ではありません。

将来への不安に向かい合ったなら、自分がすべきことが見えてきたはず。

時は金なり!

早めのスタートで豊かな老後が近づいてきます。

老後資金の準備を、今この瞬間からはじめましょう。

(文:藤井 宏枝、監修:加藤 葉子)

※画像はイメージです

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