お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

仕事でメリハリをつける意味とは? メリハリをつけるコツ5つ

笹氣健治(心理カウンセラー)

こんにちは、心理カウンセラーの笹氣健治です。あなたは、上司や同僚から「メリハリがない」「もっとメリハリをつけて仕事をしなさい」と言われたことはありませんか? もしあるとしたら、そういった声に対して謙虚に耳を傾け、いまの仕事のやり方や生活パターンを見直したほうがいいかもしれません。というのも、メリハリがないことに無自覚でいる人は、貴重な人生の時間をムダにしてしまっている可能性が高いからです。

メリハリをつける、ってどういうこと?

そもそも「メリハリ」とはいったい何か、から説明しましょう。「メリハリ」を漢字で書くと「減り張り」となります。この言葉は、もともと尺八などの邦楽で使われた用語。「減り」は低い音、「張り」は高い音のことをいいます。つまり「メリハリをつける」とは、演奏のときに音の高低(強弱)をハッキリさせるということであり、転じて、仕事や生活において「力を入れるべきところはしっかり集中して力を入れ、抜くところはしっかり抜いている」「ON(活動)とOFF(休息)がハッキリしている」状態を「メリハリがついている」と表現しています。逆に、「いつもダラダラと行動していて、ONとOFFの区別があいまいになっている」「常にがんばり続けていて休むことをしない」状態は、「メリハリがない」ということになります。

メリハリがある人、ない人の特徴

メリハリがある人とは?

(1)自分に厳しい

メリハリがある人は、自己管理力が高く、自制心の強さがあります。目標や行動計画を決め、その通りにきっちり行動します。人間ですから、ときにはサボりたいとか怠けたいと思うこともありますが、そんなときでも「その前にやるべきことを終わらせてから休もう」と自己抑制して行動できるのです。

(2)周囲への気配りができる

周囲の人に迷惑をかけない、周囲の人のためになるような行動をする、といった意識があるのも、メリハリがある人の特徴です。約束を守る、期限を守る、会議のスタート時間や待ち合わせ時間に正確。もし、なんらかの都合により遅れそうなときは、前もって連絡を入れる。自分の時間だけでなく、他人の時間も大切に扱うという態度が染みついているのです。

(3)人生設計がある生き方

キャリアアップしたい、将来マイホームを持ちたい、といったように、自分の将来ビジョンに沿って、今どう生きるべきかを考えて行動しています。あるいは、そこまで明確に考えていなくても、今の行動が将来の自分に影響を及ぼすことを知った上で、「いま」を生きている人だといえます。

メリハリがない人とは?

(1)自分に甘い

メリハリがない人は、一度立てた計画を簡単に変更します。そもそも明確な計画を立てない人が多いです。集中力が続かずに、ついゲームをするためにスマホに手を延ばしたり、なかなかやる気のスイッチが入らずにネットニュースやSNSをチェックしてしまったりと、本来やるべきことにすぐ手をつけず、ダラダラと時間を浪費してしまうので自分を律する精神力が低いといえます。

(2)周囲より自分を優先

マイペースで、自分の行動が周囲へどのような影響を与えるかに無頓着です。もちろん自分のせいで仕事が遅れたときは、迷惑をかけた関係者に申し訳ないと感じます。しかし、心のどこかで「仕方ないものは仕方ない」と反省していない部分があるので、一向に態度が改まることはありません。

(3)刹那的な生き方

今が楽であればいい、できるだけ苦しいことは先延ばしにしたい(運がよければ、それをやらなくてよくなるかもしれないから)、といったように、将来のことは考えず、いまだけを考えて生きている人だといえます。イソップ童話『アリとキリギリス』に出てくるキリギリスのような刹那的な快楽を求める生き方であり、メリハリなどどうでもよく、いざとなったらなんとかなる、とお気楽な考え方を持っているのかもしれません。

メリハリの重要性とつけるコツ

日々の生活にメリハリはつけたほうがいいの?

まずメリハリをつけないとどうなるか、ということを理解しましょう。仕事や生活にメリハリをつけず、ダラダラと過ごしていると能率は一向に上がりません。やるべき仕事にかける時間がほかの人よりも多くなり、いわゆる「生産性の低い人」と見られてしまいます。そうやって「仕事ができない人」というレッテルが貼られてしまったら、それを覆すことはなかなかできません。信用を失ってしまうと、重要な仕事は任せてもらえず、昇給も期待できなくなります。現実にそうなってからでは「ちゃんとやっておけばよかった」と悔やんでも遅いのです。

また、メリハリなく休まず働き続けている場合も問題があります。集中力が落ちてケアレスミスをするほか、疲れて仕事がはかどらなくなる、という事態につながるからです。

一方、メリハリをつけると、常に体調やモチベーションが高い状態を維持しやすくなります。すると、仕事の能率も高まり、精力的で快活な印象を周囲に与えることに繋がります。「仕事ができる人」「頼りになる人」という評判を得ることができるでしょう。

メリハリをつけるコツ

心理カウンセラーの私からは、メリハリをつけるためのハウツーではなく、心理的側面を中心にした「確実に自分を変えるためのコツ」を5つ紹介したいと思います。

(1)メリハリをつける生き方を選択する

メリハリがない人は刹那的な快楽を求めている、と前述しました。それはつまり、メリハリがないことは自分にとってメリットがあるという考え方。これでは、なかなかメリハリをつけることができません。そこで、メリハリのある生き方のほうが自分にとってプラスが大きいと自覚するようにしましょう。その上で、自分はいまの生き方を抜け出してメリハリのある生き方を選択する、と決意すること。まずは、このように意識を変えていくのが第一歩となります。

(2)自分の傾向を把握する

自分がどういう部分でメリハリがないのかを自覚することが次に重要です。自分の問題に気づいていないと、それを修正することはできないからです。しかし、自分ではなかなか自分のことに気づけないもの。周囲にいる上司や同僚、家族などに「私のどういうところが、メリハリがないと思う?」と尋ねてみるといいでしょう。そして、それを自分の傾向として把握しておくこと。そのような状況になったときに対処できるようになります。

(3)スマホを使う時間に制限を設ける

メリハリがない人の多くは、ついスマホを操作してしまって、気づいたら随分と時間が経っていた、というケースを経験したことがあるはず。そこで、スマホを使う時間に制限を設けることをおすすめします。たとえば、スマホは通勤電車のなかだけにする、家に帰ってから食後の1時間だけにする、といった具合で時間を決めておくと、ダラダラと時間を浪費することが少なくなるでしょう。

さらにいえば、夜寝る前に布団のなかでスマホを見るのもやめたほうがいいです。目が冴えてしまって寝つきが悪くなり、睡眠不足に。その結果、日中の疲労を感じる原因になるからです。就寝1時間前にはスマホを見ないようにするだけでも、翌日の仕事や活動へのプラス面が大きくなります。

(4)身近にモデルを探す

あなたの職場や知人のなかで、「この人はメリハリがあるな」と思える人が必ずいると思います。その人がどういうふうに行動しているかを参考にして、自分も取り入れてみるといいでしょう。可能であれば、その人と直接話をして「仕事をこなす上で、どういう考え方をしているか」「どんな段取りをしているか」を聞き出すと◎。スキルアップの秘訣として、「理想(モデル)を真似る」ということがあります。自己流で遠回りの努力をするよりは、モデルを真似ることが成功への近道となるのです。

(5)いつも一緒にいる人を選ぶ

類は友を呼ぶ、ということわざがあります。もしかすると、メリハリのないあなたのまわりには、同じようにメリハリのない人がいっぱい集まっているかもしれません。一方で、朱に交われば赤くなる、ということわざも。つまり、メリハリのある人たちとなるべく一緒にいることで(仲良しになる必要はありません、ただ近くにいればいいのです)、自然と影響を受け、メリハリをつける習慣が身につく可能性があります。小手先の時間短縮術や段取り術を学ぶよりも、体質改善に取り組んだほうが効果は高いといえるでしょう。

メリハリの有無は、人生で重要なポイント

自分は変われないのではない、意思次第で自分は変われるものだ、と自覚することによって新しい可能性がひらけていきます。なんとなく「メリハリをつけたほうがいいのかもしれない」と思ってこの記事を読んだあなたは、実は重要な選択をすでにしたことになります。そういった選択の繰り返しで人生は大きく変わっていくもの。習慣はすぐには変わりません。一気に変えようとするのではなく、ちょっとずつ変えていく、くらい気軽に考えたほうがうまくいくはず。着実にひとつずつ実行し、自分の人生をよい方向に変えていってくださいね。

(笹氣健治)

SHARE