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会社にお中元が届いたらどうする? お返しの基本マナー

松本繁美(マナーアドバイザー)

おぜきめぐみ

夏のご挨拶である「お中元」。季節のご挨拶をいただいたら、社会人としてスマートにお返しをしたいものですよね。これからの季節に向けて、知っておくべきお中元のお返しマナーについて、マナー講師の松本繁美さんにお聞きしました。

会社でお中元をもらったら

会社宛てのお中元ならともかく、自分個人宛てにもらったらどうしたらいいのでしょうか。いつ自分あてに届くともわかりません、マナーを心得ておきましょう。

お中元のお返しは必要か

まずは上司に報告を

会社にお中元(自分個人宛て)が贈られてきた場合、まずは贈られてきたことを上司に報告することが大切。個人名宛てで贈られてきたものでも、会社に届いた時点で、会社全体の責任下になります。また、上司も部下がもらったことを知らないでいるのは相手先の会社に失礼にあたります。 報告と相談をしておけば、その後のつながりもスムーズにいくでしょう。

贈答品が禁止の場合

会社によってはお中元のみならず、贈答品全般の授受を禁じているところも。その場合ももちろん、上司に報告と相談をするべきです。ひとりで悩んだりせず、適切な処置を指示してもらいましょう。お中元ひとつにしても問題は共有しておくべきです。会社で禁じられている場合、「お断りの書状」と共に、品物を送り返すよう手配するしかありません。その際は「お気持ちは嬉しいのですが、会社の規則で……」というような素直な書状を添えれば良いと思います。禁じられていない場合は上司に相談して、お礼状だけで済ませるのか、お返しをするべきなのかの判断を仰ぎましょう。

おすそ分け

贈られてきた品物は部署内でおすそ分けをして、ひとり占めしないようにしましょう。あなた宛てに品物が届いていることは誰もが目ざとくチェックしています。お中元の品が小分けにするのが難しければ、無理に分ける必要はないでしょう。

お返しをどうするか

お返しに関しては上司の判断を仰ぐと前文で述べましたが、上司に「もらっておきなさい。お返しの判断も任せるよ」などと言われた場合はどうしたらよいのか判断に困るところ。お中元は原則、「お返し」しなくてもよいと言われていましたが、最近ではビジネスのつながりも考えてお返しをする人が増えてきました。悩むのであれば後悔しないように「お返し」することをおすすめします。

お中元を贈る側が気をつけること

逆に贈る側の気遣いも必要。私は「お返し」の負担を相手にかけたくないとき、悩ませたくないときは「お中元」とせず、リボン掛けなどのギフト包装にして「シーズナル・ギフト」と称して贈ったりしています。「お歳暮」も同様にクリスマス包装にするなどの工夫をしてお贈りしています。どちらも同じギフトには違いないのですが、気持ちの負担は不思議と軽くなるようですよ。「お中元」に限らず、「お歳暮」などの習わしは全般に減ってきている傾向がありますが、1年に2回の季節のご挨拶です。日本人独自のコミュニケーションの取り方だと考え、相手のことを想いながら品物選びをしたり、のしを選んだり、楽しみたいものですね。

お中元をいただいた際のマナーの基本

お中元をいただいてお返しをする際、また、お礼状を送る際はどんなことに気を付けたらいいのでしょうか。

お中元はいつまでに返すべき?

いただいてすぐにお返しするのも品のないことです。お礼状はすぐにお送りすべきですが、お返しは少し時間をあけて贈るのがよいでしょう。そのため、お中元(関東では「7月初旬から7月15日頃まで)ではなく、それ以降の「暑中お見舞い」(8月6日まで)、あるいは「残暑見舞い」(8月7日から8月中)として贈ってもよいでしょう。目上の人にお返しする場合は、「暑中御伺」「残暑御伺」にすると感じが良いですね。

のしの選び方

のし

贈り方として、手渡しの場合は外のし、宅配便などで送る場合は内のしにします。デパートなどでは外のしを選んでもさらに上から包装して送ってくれます。しかしエコを唱える世の中、簡易包装が推奨されている中で、あまりに余計な紙を使うのも考えどころですよね。

水引

水引は紅白の5本の蝶結びの物をつけますが、最近ではほとんどが印刷。水引のプリントだけでなく、季節のきれいな絵ののし紙も見かけます。お店あるいはデパートで既に印刷の物が用意されていますので、品物に合わせて選んでもらえばよいでしょう。

名前の書き方

個人名で贈る場合はフルネームで「○○(名字)△△(名前)」というように書きます。連名で贈る場合は右側が目上、左側に目下の名前を。連名は3名までで、それ以上になる場合は代表者名を中央に、「他(外)一同」を左下にやや小さく書きます。会社名を入れる場合は名前の右側上部に小さく書きましょう。

礼状の書き方

お中元をいただいたら、お返しする・しないは別として、まずはお礼状を書きましょう。封書でなく、はがきでも大丈夫。また、Thank You Cardでもいいかもしれません。お礼状は無事届いたことを知らせる役割もあるので大切です。

(例文)

拝啓

日に日に厚さが厳しくなってまいりました。○○様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

この度は(注1)素晴らしいお品をいただきまして、誠にありがとうございました。

早速、○○課全員で休み時間に頂戴しました。とても美味しく、皆の顔がほころんでおりました。

まだまだ、暑い日が続きます。(注2)くれぐれもご自愛ください。

取り急ぎ、書中にて御礼申し上げます。
敬具

注1:「素晴らしいお品」部分を具体的に書いてもよい。例えば「見事な桃を」など。
注2:「最後になりましたが、貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。」などとしてもよい。

お中元のお返しには心のこもったご挨拶を

さまざまな注意点があるお中元のお返しマナーですが、相手からいただいたご厚意にふさわしい、心のこもったお返しを心がけたいもの。上記を参考にしながら、お中元のお返しで自分なりの感謝の気持ちを伝える方法をぜひ見つけてみてくださいね。

(文:松本繁美、構成:おぜきめぐみ)

※画像はイメージです

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