むくみを解消するお茶とは? 本当に効くお茶とその効果を専門家が解説
この記事では「むくみに効くお茶」についてご紹介します。
むくみにお茶が効くことを知っていますか? お茶に含まれるどんな成分がむくみに効果的なのか、普段飲むお茶をどんなものに変えればいいのかを料理家の倉田沙也加先生に教えていただきました。
なぜ、お茶はむくみに効くの?
ミネラル・カリウムの効能とむくみの関係
私たちの体はナトリウムとカリウムで調節されていて、カリウムは細胞内液に多く存在し、ナトリウムは細胞外液に多く存在しています。この2つのミネラルは一定の濃度を保ちながら体の生理機能を調整し、体内に吸収された後、全身の細胞に運ばれます。ナトリウムを必要以上に摂取した場合、体はナトリウムを体外に排出しようとしますが、その時一緒にカリウムも排出されてしまうため、カリウム不足になることがあります。カリウム不足になると、ナトリウムの作用により必要以上に水分をため込み、むくみが起こるのです。塩分を取りすぎてむくみが起こるのは、このようなメカニズムがあるからです。
お茶による利尿作用とむくみの関係
お茶には利尿作用に関わる栄養素が含まれています。お茶の種類にもよりますが、代表的なものとしては、カリウムとカフェインです。カリウムは不必要なナトリウムを水分と一緒に尿として排出します。カフェインは交感神経を刺激する作用があります。交感神経が活発になると腎臓の血管が広がり、血流量が増えるため尿の量が増えます。コーヒーを飲むと、トイレが近くなる現象にはこれが関係しています。どちらも体内に余分にため込んでしまった水分を取り除いてくれるので、むくみの解消につながることが期待されます。
むくみに効果的なお茶の成分とは?
お茶に含まれる、どんな成分がむくみに効くのでしょう? 代表的な4つの成分を紹介します。
カリウム
ミネラルの一種であるカリウムは、また、ナトリウムを排出し体内の水分量を調整しています。必要以上に水分や塩分を摂取した場合にそれらを排出して、むくみの原因を取り除きます。
イヌリン
水溶性の食物繊維の一種で、ごぼうに多く含まれています。腎臓の働きを助ける働きがあり、体に不必要な水分や老廃物をスムーズに排出します。
亜鉛
ミネラルのひとつで、貝類に多く含まれています。代表的なものはカキ。細胞の成長や修復などに必須の栄養素です。むくみとの関係は、ホルモンバランスにあります。女性は、ホルモンバランスが乱れると、体に水分を過剰にため込んでしまいます。亜鉛は女性ホルモンの分泌を促し、ホルモンバランスを整える働きがあるため、体に余分な水分をため込まないようになり、むくみの予防・改善に効果が期待できます。
ヨクイニン
はと麦の果肉に含まれている成分です。漢方の素材としてよく用いられ、日本にも古くから渡来していました。このヨクイニンは、利尿効果を高め、体にたまっている毒素を排出する働きがあると言われています。なお、妊娠中は子宮収縮の作用が認められているので避けたほうがよいでしょう。
むくみに効くオススメのお茶と、そのメリット・デメリット
お茶に含まれるどんな成分がむくみに効果的か、ということがよくわかりました。では、それ以外にはどんな種類のお茶がよいのか、飲み方の注意点も合わせて聞いてみました。
ドクダミ茶
強い利尿作用を持っているので、体に水分をため込みがちの方にはオススメです。飲みすぎると下痢を起こすことがあるので気をつけましょう。腎機能が低下している場合はカリウムがきちんと処理されず、高カリウム血症を引き起こすことがあります。
杜仲茶
高い利尿作用を持っています。デトックス作用もあると言われており、体にたまった毒素を排出し、むくみ改善に効果が期待できます。飲みすぎると高カリウム血症を引き起こす恐れがあります。
緑茶
緑茶に含まれるカフェインに、高い利尿作用があります。また、カリウムも含まれているので、体にたまった水分の排出が期待できます。デメリットとしては、腎臓に血液を集中させてしまうため、冷え性などにつながる恐れがあります。
コーンシルク茶
とうもろこしのヒゲを煮出したお茶のことで、ヒゲ茶とも呼ばれています。カリウムが豊富に含まれており、高い利尿作用が期待できます。その量はカリウムの多さで有名なスイカの、およそ50倍にもなります。飲みすぎによる高カリウム血症には注意です。
とうもろこし茶
高い利尿作用があります。また食物繊維も多く含んでいるため、体にたまった余分なものの排出が期待できます。飲みすぎにより、頻尿になることもあるので、トイレを控えたい場合は注意です。
ウーロン茶
ポリフェノールが血液をサラサラにし、カフェインによる利尿作用があります。ビタミンやミネラルはほぼ入っていません。飲みすぎるとカフェインにより、血のめぐりが悪くなり代謝を低下させる恐れがあります。
ノンカフェインでむくみに効くお茶
最近、取り扱う飲食店も増えて、ますます人気上昇中のノンカフェインドリンク。夜や就寝前に飲んでも眠りを妨げないので、生活にうまく取り入れたいですね。
ルイボス茶
アフリカ原産のマメ科の葉を使って作られたお茶。ノンカフェインなので、妊娠中の方でも安心して飲むことができます。ミネラルを多く含み、リンパや血の流れを改善するため体にたまった毒素が排出されやすくなり、むくみ改善につながります。マグネシウムが多く含まれていることから飲みすぎによる下痢が引き起こされる可能性もあり注意が必要です。
タンポポ茶
タンポポ茶とは、タンポポの根を焙煎(ばいせん)したお茶のことです。タンポポコーヒーと似たようなもので、タンポポ茶には葉や茎の部分が含まれていることもあるようです。ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、香ばしい香りがするのが特徴。カリウムが多く含まれているほか、利尿作用があるとも言われています。
黒豆茶
黒豆茶とは、黒豆を原料としたお茶のことです。黒豆にはカリウムが多く含まれているので、むくみには効果的だと考えられます。また、黒豆の色素はアントシアニンと呼ばれるもので、さまざまな効能が報告されています。血流を促進させ、抗酸化作用が期待できるためアンチエイジングにもぴったりなお茶です。
お茶を飲む際のポイントと注意点
がぶ飲みをしないこと
お茶はこまめに飲んだほうが効果的です。一度に大量の水分を取ると、一時的に血液中の水分量が増加します。その場合、腎臓で余分な水分を処理しきれず、体内の水分量が増加してしまいむくみにつながります。
なるべく常温もしくは温かくして飲むこと
温かい飲み物はゆっくりと体に吸収され、胃腸に負担をかけることなく体が温まります。血の巡りがよくなるので、胃腸の調子が整います。常温の飲み物も胃腸に負担が少ないのが特徴です。
キンキンに冷えたお茶を飲むと体を内部から冷やしてしまい、血液循環が悪くなりむくみを引き起こす原因になります。その半面、すぐに吸収されるというメリットもあるので、脱水症状などの場合は、冷たいほうがよいでしょう。
寝る直前に大量に水分を取らないこと
水分調節は腎臓で行われていますが、就寝時、腎臓の働きは低下します。そのため、寝る前に水分を取りすぎると処理されず、翌朝むくみが出ることがあるので注意してください。
まとめ
むくみを解消するために効果的な成分や、たくさんのお茶の種類や飲み方がわかりました。むくみ以外にも体や肌にさまざまな効果がある半面、飲み方を間違えると内臓に負担をかけるので、注意して選ぶことが大切ですね。自分の体調や気温などによって、飲み分けるのもよいでしょう。
(文:倉田沙也加、構成:マイナビウーマン編集部)
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※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.17)
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