プライドを捨てて楽になる方法~捨てるべきプライドとは?
「プライドが邪魔をして素直になれない」「恥をかきたくない」……など、あなたはプライドのせいで生きづらさを感じていませんか? 今回はプライドを捨てて楽になる方法について、ゆうメンタルクリニック総院長・ゆうきゆう先生の解説を紹介します。
<目次>
プライドが高い人の特徴&原因
まずはじめに、プライドが高い人にはどういった特徴があるのか、またプライドが高くなってしまう原因について見ていきましょう。
プライドが高い人の特徴6つ
(1)自分の非をなかなか認めない
自分の非を認める=自分の立場が弱くなる、と感じるため、自己保身から反発しやすいのが彼らの特徴です。人によっては「責任転嫁」をすることで、自分の非を回避するケースも見られます。他人に指摘されること自体、自分への否定や批判と捉えてしまう傾向もあります。
(2)負けず嫌い
プライドが高い人は、つねに相手よりも優位に立ちたい(立っていないと不安な)気持ちがあります。とくに、「特定の分野について評価されたい」、「特定の相手に評価されたい」と思っています。また、絶対にかないそうもない相手には目もくれず、自分と同レベルか少し上、あるいは少し下のレベルの相手に対して張り合う気持ちを抱きやすい傾向があります。
(3)常に主導権を握りたがる・他人に決断を任せられない
他人に仕事や決断を「任せる」ことも嫌います。任す=主導権を握られて自分の立場が弱くなる、と考えるからです。また、「他者に任せることで失敗したくない」という不安もあります。基本的に、「他者の決断は自分より劣る」「自分の考えるような結果にならないだろう」と、他者に対して不信感があるため「うまくいかないのではないか(自分の希望どおりにならないのではないか)」という不安感が強いです。
(4)臨機応変な対応が苦手
自分の想定が一番正しいと感じるゆえ、計画どおりに物事が進まなかったり、計画自体が上手くいかないとパニックになりやすい面もあります。ミスや想定外の出来事に弱く、たった1つ上手くいかないだけで「すべてがダメになる」と臨機応変な対応が苦手です。
(5)こだわりが強く頑固
自分は相手よりも優れていると思い込んでいるために、他者の意見や考えを軽んじる傾向が強くあります。なかには、他者の意見を聞き入れること=自分を否定すること、自分の負けだと、飛躍して捉えてしまう人もいます。
(6)人に頼るのが苦手
他者に弱みを見せたり、他者への強い不信感から人に頼るのが苦手です。そのため「すべてを自分で仕切り、すべてを自分でこなそうとする」傾向があります。
プライドが高くなる原因
続いて、プライドが高くなる原因について見ていきましょう。
(1)自分は「優れていなくてはいけない」という危機感
子どものころに自分の優れている部分・いい部分だけを親や先生などに評価されるという経験が重なると、「優れていなくては自分に価値がない・認めてもらえない」といった思い込みを持つことがあります。
このように、「他者評価」によって得られる自尊感情は、「他者よりも優れていなくてはならない」ということを自分に課してしまう原因に。結果、他者よりもつねに優位であることを望み、自分を守りたい気持ちから他者に対して攻撃的になったり威圧的な態度をとってしまいやすくなります。
(2)自分のネガティブな部分を受け入れられない
自分のネガティブな部分を認めるのは誰でも勇気のいることです。しかし、プライドの高い人はそれによって自己評価が下がる・自分の価値が失われるのでは、と恐怖心を抱いています。また、自分自身が他人のネガティブな部分を激しく批判・嫌悪しているため、自分に似た部分があることを認めることができません。
(3)根本的に自信がない
「“ありのままの自分”には価値がない」「このままの自分では他者に認められないのではないか」……など、彼らは根本的に自信がありません。そのため、「周囲に自分を認めさせたい」「自分の弱みを見せたくない」といった思いから、自分を大きく見せようとプライドが高くなります。
プライドが高いことが及ぼすメリット&デメリット
プライドを高くもつことは、悪いことばかりじゃないですよね。そこで次に、プライドが高いとどんなメリットとデメリットがあるのか見ていきましょう。メリット、デメリットをきちんと把握したうえで、捨てるべきプライドとそうでないプライドのちがいが見えてくるかもしれません。
メリット
(1)コミット力がある
プライドが高い人は目標を達成することでプライドを保とうとするため、コミット力があります。また、目標を高く設定する積極性もあり、かつきちんと結果を出すので、仕事相手として信頼されます。
(2)向上心がある
プライドを保つため、「このままでいい」「このくらいでいいや」と妥協しません。つねに高みを目指して行動するため、自分を高めることに成功している人も多くいます。
(3)責任感が強い
失敗したら自分の評価(価値)が変わると考えるため、自分が引き受けたことや、任されたことに対してきちんと結果を出す責任感の強い面があります。最後までしっかり責任を果たすため、とくにビジネス面で信頼を得やすいです。
デメリット
(1)終わることのない欠乏感
プライドが高い=「このくらいでいい」と妥協できない側面があるため、つねに高みを目指していないと気がすまず、いつまでも満足できない状態に陥ってしまいます。
(2)安らぎのない人生
(1)の状態になってしまうのは、そもそもいまの自分に自信がない、いまの自分を認めることができないから。そのためどこにいても誰といても「第三者の評価」が気になり、安らぎとは無縁の生活を過ごすことになります。
(3)親友や愛する人ができない
プライドが高すぎて本音で他人とかかわれないため、なかなか気の許せる人ができないデメリットもあります。また、せっかく愛する人ができても、愛しているからこそ素直になれず、本心を伝えられなかったり相手を信頼できなかったりして、関係をうまく築けないことも多々。
「本当の自分を知られたくない(知られると嫌われてしまうから)」と苦しみつつ、“本当の自分は誰にも受け入れられないのだ”と自己暗示をかけてしまい、孤独感も強くなってしまいます。
プライドを捨てて楽になる方法
プライドが高いことは、自己を高めたり人からの信頼を得たりする一方、他人とうまく人間関係を築けないデメリットがあるとわかりましたね。では、捨ててもいいプライド、または捨てるべきプライドとはどんなものでしょうか? 最後に、プライドを捨てて楽になる方法について見ていきましょう。
捨てるべきプライドとは
プライドを守るために周囲に対して攻撃的になったり、他者を犠牲にするようであれば、そのプライドは自分を苦しめています。捨てても問題ないプライドといえるでしょう。
また、一時的にプライドが満たされても「つねに不安(根本的に自信がない)」な状態が続いているようなら、うつや社会不安障害など、精神疾患への注意が必要です。プライドのせいで人間関係に支障をきたしたり、自分がつらいと感じるようなら、そのプライドは不要だと考えましょう。
プライドの捨て方
ここまでお話ししたのは、実は「見せかけのプライド」とされるものです。本当の意味で自分にプライドを持てると、他者と比較した際の優劣やそれによって生じる不安感といったものはそれほど強くはありません。傷ついたことや他者の評価によって「自分の価値が揺らぐ」ということがないためです。
この見せかけのプライドは、本物のプライド=自尊感情をきちんと育てていくことで自然に不要となっていくものです。ですので、(1)自分のダメな部分を認める、(2)チャレンジする、といった行動を通して、本物のプライドを手に入れましょう。以下にくわしい方法を記載します。
自分のダメな部分を認める
プライドの高い人は「ダメな部分があってはいけない」と感じやすいものですが、それはダメな部分・ネガティブな部分によって自分の価値が失われてしまうといった「誤った認識」があるからです。そこで、まずは自分のダメだと思う部分を認識して、「私は自分を認めてもいいんだ」「完璧じゃなくてもいいんだ」と自分にいってあげましょう。
チャレンジする
プライドが高いことのメリットとして、コミット力や責任感・向上心があると紹介しました。そのためプライドの高い人は「行動力がある」と思われがちですが、彼らの多くは「自分がやりたいこと」ではなく「周囲に評価されること」や「自分のできそうな範囲」に、とどまって行動していることがよくあります。
そのため好きな人にアプローチしたり自分が本当にやりたいことには積極的になれないということが少なくありません。自分が本当にやりたいことに失敗してしまうと、受けるダメージが大きすぎるためです。見せかけのプライドでは「自分が本当にやりたいこと」へのチャレンジはできないのです。
そこで失敗を恐れず、たとえ失敗しても過剰に自分を責めたりしないようにしてチャレンジを続けていく必要があります。本物の自尊感情を育てる上では、チャレンジが成功するか失敗するかよりも、「本当にやりたいことにチャレンジできた」ということが大切だからです。他人の目を気にせず自分が本当にやりたいことに積極的にチャレンジしましょう。そうすることで、本物のプライドが持てるようになるでしょう。
まとめ
プライドが高くなってしまう原因やプライドを捨てて楽になる方法について紹介してきました。いかがでしたか? 見せかけのプライドのせいで生きづらさを感じていた人は、ぜひアドバイスを実践して不要なプライドを捨ててみては? 何かに追われる人生から、「安らぎと愛のある人生」が手に入るかもしれませんよ。
(文:ゆうきゆう、構成:マイナビウーマン編集部)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください