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【妊娠出産のウソ&ホント】妊娠したら歯が抜けやすくなるってホント?

尾西芳子(産婦人科専門医)

ヨダヒロコ/六識

将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!

妊婦への歯科健康診査を無料で実施している自治体が多いのは、妊娠をすると口の中のトラブルが増えるから。中には、「妊娠をすると赤ちゃんに栄養を取られて歯が抜けてしまう」という話を聞くこともありますが、実際にはどうなのでしょうか? 今回は、そんな妊娠中の歯にまつわるウソ&ホントに迫りました!

本日の「ソボクな疑問」

Q.妊娠したら歯が抜けやすくなるってホント?

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<読者の声>

・カルシウムを子どもに取られると聞いたんですが、本当なのでしょうか。(23歳/小売店/販売職・サービス系)
・歯が抜けるとか怖いです。(29歳/医薬品・化粧品/秘書・アシスタント職)
・カルシウムはしっかり摂らないといけないと思うけど、歯が抜けるのは歯周病だと思う。(30歳/マスコミ・広告/クリエイティブ職)
・ホルモンバランスで体質が変化すると聞いたことがあるので、あり得ると思う。(33歳/食品・飲料/事務系専門職)

尾西先生のアンサーは!?

答えは……
ホントです!

ただし、妊娠したからといって健康な歯が突然、抜けてしまうわけではありませんので、ご安心ください。正しくは、妊娠によって口内環境が悪くなった結果、抜歯せざるを得ない状況になりやすいのです。そのため、産婦人科によっては歯科と提携して、妊婦さんに最初に必ず口内チェックをしてもらう病院もあるほどです。

口内環境が悪化する理由として、みなさんが一番考えているのは、「赤ちゃんに栄養が取られてしまうから」だと思いますが、実はそうではありません。ひとつは、虫歯や歯周病の悪化が原因です。妊娠中は免疫力が低下してしまうため、虫歯や歯周病を引き起こす細菌と闘う力が弱くなってしまうのです。また、女性ホルモンが著しく増加する妊娠中は、歯周病菌が増殖しやすくなります。

もうひとつの原因は、女性ホルモンの変化と、食べづわりなど“ちょこちょこ食べ”をすることによって、唾液の分泌量が少なくなるためです。分泌量が少ないと、虫歯になりやすくなります。

先ほど、「赤ちゃんに栄養が取られるから歯が抜けるわけではない」とは言いましたが、栄養が取られること自体は本当ですので、コメントにもあるように、妊娠中に不足しがちな「カルシウム」は、なるべく意識的に摂るようにしましょう。

お母さんの歯周病菌が原因で早産になったり、赤ちゃんに口移しで食べ物を与えると虫歯菌が移ってしまうこともわかってきています。ですから、口内環境は妊娠前からキレイに保つように心がけたいですね。

(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)

※次回の更新は1月21日(土)です。お楽しみに!

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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