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【新連載】元彼と友人の結婚式。懐かしいあのころの思い出が蘇ってきて……

響子はお父様と腕を組んで、
ゆっくりゆっくりと歩いていく。
シンプルなラインのウエディングドレスは、
響子にとても似合っていて、きれいだった。
彼女は幸せでとろけそうな笑顔なのに、
瞳はすでに涙ぐんでいる。
となりを歩くお父様の少し寂しそうな微笑みと、
星の瞬きのように周囲でたかれるフラッシュ。

そして新郎の宏太の前まで行くと、
響子とお父様、そして宏太は、
おたがいに一礼して響子は宏太の元へ渡る。

やがて牧師さんの朗々とした声が、
チャペルに響き渡った。
「新郎、矢羽宏太と新婦、斎藤響子は、
健やかなる時も、病める時も、
喜びの時も、悲しみの時も……」

あの頃。わたしも響子も、樹も宏太も、
こんな光景を想像しただろうか。
まだ全員が大学一年生だった頃、
わたしは宏太と付き合い、
響子は樹と付き合っていた。
その頃は当然、こんな日が来るなんて、
夢にも思っていなかったはずだ。

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