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【新連載】元彼と友人の結婚式。懐かしいあのころの思い出が蘇ってきて……

Story2 ★恋は友情より重く

結婚式が終わった後、
わたしは目元や鼻にハンカチを当てながら、
チャペルの裏手にある披露宴の会場に向かった。

響子と宏太の指輪の交換や誓いのキスを目にして、
思わず涙ぐんでしまい、
今もその感動が冷めやらない。
よかった。サークルの知人たちと別で。
ひとりで座っていたからこそ、
この喜びを、じゅうぶんに噛みしめることが、
できたのだと思う。

「よっ!」
披露宴会場のレストランに向かう途中で、
樹がうしろから声をかけてきた。
さっきと逆だ。わたしはあわてて、
まぶたに強めにハンカチを当て
「なあに」と、樹に微笑みかけた。

「いい式だったな」
「うん、すごく感動した」
「ああ、長い夢を見ているみたいだった」
短い会話だったけれど、
樹がわたしと同じ気持ちなことが伝わった。
そしてわたしたちはバラのアーチをくぐって、
披露宴会場のレストランの庭に入る。

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