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「女性の運転は危険!」はウソ? 2012年の人身事故は男性40万件、女性19万件

車に乗る女性よくインターネットで「女性は運転が下手」「女性には運転させない方がいい」などという男性の意見を目にします。では、そこまで言われているほど女性ドライバーの運転は危険なのでしょうか? 女性ドライバーの事故件数について、交通事故の総合的な調査分析を行っている交通事故総合分析センターに聞いてみました。

■データ上では女性ドライバーの事故はそこまで多くない

今回、お話を伺ったのは、交通事故総合分析センターの研究部・西田泰さんです。

――実際のところ女性ドライバーの事故は多いのでしょうか?

西田さん 現在、男性の免許保有者が約4,500万人で、女性の免許保有者も約3,600万人と非常に多く、増加傾向にあります。ですので、事故件数は増加しています。男女のドライバーによる年間の人身事故件数ですが、

●1995年
男性:49万5,899件
女性:16万9,274件

●2012年
男性:40万3,119件
女性:19万4,509件

という数字になっています。

――ということは、昔も今も、女性の人身事故件数は男性よりもかなり少ないのですね。

西田さん 死亡事故件数でも、男性は2012年が2,735件、女性が660件となっています。ただ、男性のほうが免許保有者が多いのも影響していると思います。

――免許保有者数の差もありますが、その割合から見ても男性のほうが死亡事故や人身事故の件数が多いのですね。

西田さん そうなります。ただ、女性の運転が危ないというのは昔から言われていたことです。かつては「一姫(女性)ニ虎(酔っ払い)三ダンプ(ダンプカー)」という危険なドライバーを表した言葉もあったくらいです。

――もしかしたらその名残などもあるのかもしれませんね。

西田さん 上手な運転よりも下手な運転のほうが印象に残りますからね。実際、女性の運転は男性に比べるとスピードが遅く無謀な運転が少ないため、大事故にはつながりにくいのです。男性のほうがスピードを出すため、死亡事故につながりやすいとわかっています。

 

■女性に多いのは「一時停止違反」

――女性ドライバーに多い違反や事故はどんなものがあるのでしょうか?

西田さん 四輪運転者の人身事故を法令違反別にまとめていますが、単純に件数が多いのは、安全不確認や脇見などの「安全運転義務違反」、交差点での安全確認を怠った「交差点安全進行義務違反」、そして「一時不停止」です。

――その中で女性ドライバーの割合が顕著なものはありますか?

西田さん 「一時不停止」ですね。2012年中は男性が1万4,385件、女性が9,444件で、女性の割合は39.6%です。事故を類型別にした場合は、女性は「出合い頭の事故」が多く見られます。

――一時不停止をした結果、出合い頭の事故が多いということですね。

西田さん あとは、女性の場合は「追突される事故」が多く見られます。

――先ほど女性ドライバーはあまりスピードを出さないということをおっしゃっていましたが、その影響もあるのでしょうか。

西田さん スピードだけでなく、たとえば交差点などで、男性と女性では曲がろうとするタイミングなどが微妙にちがったりするので、この微妙な差が事故につながってしまうケースもあると考えています。ですので、男性も女性も「前の車の動きをしっかり見る」「どういう動きをするのか予測する」といったことをしっかりするといいと思います。

――男女ともに「だろう運転」は大事ということですね。

女性ドライバーの事故件数について調査してみましたが、実際の件数は男性に比べるとかなり少ないものでした。そこまで言われているほど、事故につながるケースはないようです。ただ、それでも危険な運転をする人はいるものです。事故を起こさないよう、そして事故に遭遇しないよう、男性も女性も注意して運転するようにしましょう。

(貫井康徳@dcp)

※この記事は2013年11月23日に公開されたものです

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