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【○○な男#06】「今、いちばんダメかわいい男」岡田将生ロングインタビュー

落合由希

今もっとも旬な男の素顔に迫る連載「今、いちばん○○な男」。今回は、2018年1月12日(金)公開の映画『伊藤くんA to E』で、容姿端麗、自意識過剰、無神経で、女たちの運命を狂わせる超モンスター級の痛男・伊藤誠二郎を演じる岡田将生が登場。前代未聞の「痛い男」を怪演した彼の素顔は「ダメかわいい男」だった!?

毎日が刺激的で、お芝居ってやっぱり楽しいんだなぁって。

――『伊藤くんA to E』で「痛男」を演じるのは、どんな気持ちでしたか?

本当はもっと気持ち悪く演じてもよかったんですけど、今回は廣木(隆一)監督から「こんなヤツ、意外とどこかにいそう」というリアリティを求められていたので、あまり痛すぎてもダメだし、バランスが難しかったです。でも、案外ストッパーもなく楽しんで演じられました。撮影中は、僕自身もちょっと変だったかもしれないです。

――具体的には、どんなところが?

今までなら引っかかっていたことが、その時期だけはあまり気にならなかったり。伊藤は、傷つきたくないから人の言うことを聞き流すんですよね。僕は少しでも引っかかることを言われると、ずっと頭の中に残ってしまうタイプなんですけど。それがその時期はまったくなかったので、役にいい影響を受けているなぁと思いました。

――実は伊藤くんを演じていて楽しかったんですね。

そうですね、毎日刺激的でした。今までは勝手に自分の中で「ここから出ちゃダメだ」みたいなフィールドがあったんですけど、今回演じた伊藤は何をしても大丈夫というか、制限がないんですよね。どこまでも狂っていけるし、逆にどこまで抑えた芝居をしても伊藤だから、「今までそんなに固く考えなくてもよかったのかな」と思えるくらい自由にできて。「お芝居ってやっぱり楽しいんだなぁ」って改めて感じました。

自分が演じた役は、愛そうと思ってしまう。

――「超モンスター級の痛男」伊藤くんを、どういう人物だと思って演じたんですか?

最初は「本当にこんなクズみたいな人いるんだなぁ」と思いました。撮影はカメラを長回しすることが多かったので、感情が途切れることがないぶん、やりやすかったですね。流れのまま、感情の赴くままに伊藤というキャラクターを演じられたというか。相手の台詞をあえて聞かないようにするときもありました。伊藤は自分の世界を持っているから、台詞を聞かなくても成立するんです。撮影自体も、4人の女優さんに順番に会っては撮影するの繰り返し。午前はAで、午後はBだったり、とか。「あぁ、遊び人ってこういう男なんだな」って思いました(笑)。

――伊藤くんに対して最初は否定的だったのが、演じていくうちに肯定的に捉えられるようになったのには、どんな心境の変化が?

伊藤という人について考えれば考えるほど、逆に憧れる部分があるんです。この仕事ってどうしてもリングに上がらないといけないことが多いんですけど、今回は「こんなに(リングに)上がらなくていいんだ」って。伊藤みたいな考え方もあるんだな、たまには逃げてもいいのかなって思ったり。それに、自分が演じた役は愛そうと思ってしまうんですよね。

――私も映画を観て、原作の伊藤くんが岡田さんに憑依しているんじゃないかと思うほど、役にハマって見えました。それは岡田さんの愛があったからこそなのかもしれないですね。では、もし岡田さんがA~Eの女性の中で付き合うとしたら、誰を選びますか?

誰とも付き合いたくないです(笑)。でも、あえて選ぶとしたらDの実希ちゃんかな。純粋ですから。

――A~Eの女性たちが成長していく姿も、映画の見どころですよね。

結局そうなんです。伊藤と会うと、合わせ鏡みたいにその人のダメな部分が見えたりするので、いいカンフル剤だと思うんですよね。ラストに希望があるところもすごくいいですし。今作がヒットしたら「A to Z」までやりたいです!(笑)

姉と妹に「ちっちゃい」と言われて落ち込んだ。

――では、そんな「痛男」を演じた岡田さん自身が「あのころの自分、ちょっと痛かったな」と思うことはありますか?

そうですねぇ……。高校生のころ「金髪がかっこいい」と思っていて、やたら金髪にしてたことですね。

――学校は金髪OKだったんですか?

ダメでした。だから「仕事で金髪にしないといけないんです」って嘘ついて。映像作品には何も残っていないので、よくバレなかったなぁと思います。あと「教科書を持ってないのがかっこいい」とも思っていて、まわりの人に見せてもらったりしてましたね。それと……、今思うと本当ダサいんですけど、スクールバッグに枕を入れていました。授業中に寝られるようにと(笑)。

――その枕、本当に使っていたんですか!?

使っていました。仕事で本当に疲れていて、授業中に寝るしかなかったんですよね。そのときは「これが自分のスタイルだ!」って思ってやっていたんですけど、今考えると痛いなぁと思いますね。

――たしかにそれはちょっと痛いかも(笑)。まさか、伊藤くんと岡田さんに共通点なんてないですよね?

伊藤ってどこかさみしがり屋で、誰かにかまってほしいタイプなんですよね。ただ彼の場合、そのための言動がひどいんですけど。僕もさみしいときはありますし、かまってほしくて相手にちょっと嫌なことを言ってしまうこともあります。だからそういう気持ちはちょっとわかりますね。

――なるほど。では、伊藤くんのように女性からショックなことを言われたことは?

姉と妹に「ホントちっちぇーな」って言われたことがあるんですけど、それは本当にショックで落ち込みました(笑)。

――ちなみに、どんなことで「ちっちぇーな」って言われたんですか?

ひどい話だと思うんですけど、「あれ買ってよ、これ買ってよ」と言われて「そんなに全部買えないよ!」って(笑)。

――たしかに、それは理不尽な気がします……。ちなみに、連載タイトル「○○な男」にちなんで、岡田さんは今後どんな男を目指したいですか?

「ダメ」がつかない男になりたい(笑)。それに、もうかわいいって言われる年齢でもないですし。だってもう28歳ですよ?

――いくつになっても、かわいい人はかわいいですよ!

え、そうなんですか!? たしかに、遠藤憲一さんとか僕から見てもかわいいと思いますね。「忘れ物がない男」になりたい。いつも忘れ物ばっかりしてしまうから。

――(笑)。最近は何か忘れ物されたんですか?

知人の舞台を観に行ったとき、楽屋に挨拶をしたあとご飯を食べに行くことになったんですけど、その方の控え室に財布を忘れてしまって……。そのときも「ダメだなぁ」って言われたので、いつか「しっかりした男」になりたいです。

岡田将生の素顔は「今、いちばんダメかわいい男」

超モンスター級の痛男・伊藤誠二郎を、なぜか不思議なほど愛情を持って演じていた岡田将生。インタビューを通して、母性本能をくすぐるかわいらしい素顔も垣間見ることができた。役に向き合う姿勢や、その素顔こそが、彼がみんなから愛される理由なのかもしれない。

岡田将生(おかだまさき)プロフィール

1989年8月15日生まれ。東京都出身。2006年、俳優デビューし、2009年には『重力ピエロ』『ハルフウェイ』『ホノカアボーイ』などの作品に出演し、その年の映画賞の新人賞を総なめにする。主な出演作は、映画『天然コケッコー』『雷桜』『告白』『銀魂』『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』、ドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)『小さな巨人』(TBS系)『名刺ゲーム』(WOWOW)など。

(取材・文:落合由希、撮影:島田香、編集:高橋ちさと/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2018年01月10日に公開されたものです

落合由希

フリーライター、エディター。京都出身。『TV Bros.』(東京ニュース通信社)の編集を経て、『TV Taro』『GOOD☆COME』『マンスリーよしもと』などさまざまな雑誌の編集・執筆を担当。現在はおもにお笑い、映画、ドラマ関連の記事を手がける。音楽、お笑い、ファッション、グルメが大好物。

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