【医師監修】稽留流産後もつわりが続くことはある? 原因と対処法

【医師監修】稽留流産後もつわりが続くことはある? 原因と対処法

「稽留流産」は自覚症状のないことが多く、健診で病院に行ってはじめて発覚することが少なくありません。自覚症状がないということは、稽留流産になっても「つわり」は続くということなのでしょうか? ここでは、稽留流産が起こる理由とともに、つわりとの関係などを紹介します。


稽留流産とは

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いったん妊娠を確認できたものの、残念ながら早い段階で赤ちゃんの成長が止まってしまうことを「流産」といいます。流産はその進行具合や子宮の状態などによって、「進行流産」「不全流産」「完全流産」「化学的流産(生化学的妊娠)」など、いくつかの呼び名があります。

「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」も流産の状態をあらわす呼び名のひとつです。「成長の止まった赤ちゃんが子宮内にとどまる=稽留(けいりゅう)」してしまっている状態から、こう呼ばれています。

流産というと、ドラマなどで⾒るような「痛むお腹を押さえて倒れ込む」というイメージがあるかもしれませんが、これは「進行流産」の状況を描写しています。赤ちゃんや胎盤、へその緒などの組織が子宮から外に出て行っている、まさにその時の状況です。

一方、「稽留流産」とは、赤ちゃんの成長が止まっているにもかかわらず、子宮の中にとどまったままになっている状態を指します。⾃覚症状のないことが多く、健診などの際に超⾳波検査で異常が発⾒され、診断されます。

超音波検査がなかった時代には、妊娠初期にお腹の中で赤ちゃんの成長が止まってもそれを知ることはできませんでした。成長が止まった赤ちゃんなどの組織が、外に出てくるときになって初めて、成長が止まっていたことを知っていたのです。しかし、 超音波検査のある現代では、実際に流産が起こる前に、 赤ちゃんの成長が止まっていることがわかるようになりました。「稽留流産」とは、進行流産になる前の、子宮の中で赤ちゃんの心拍が止まっている状況を示す言葉です。

稽留流産の原因は? 予防はできる?

稽留流産の主な原因や予防できるのかどうかを知っておきましょう。

流産の多くが赤ちゃん自身の異常により起こる


稽留流産を含む流産の主な原因は、「赤ちゃん自身の染色体等の異常」です。つまり、着床した受精卵にもともと染色体異常があり、ある段階から成長できないことがあらかじめ決まっていたために流産となる場合が大半を占めるということです。悲しいことですが、一種の運命だったのでしょう。

「何かをしたから」「何かを食べたから」といったママの行動が流産の原因となることは、ほとんどありません。ですから、流産した女性は自分を責めてはいけません。また、パートナー含め、周囲の人も流産した女性に責任はないことをよく理解しておき、悲しみを分かち合うこと、心と体の回復を支えてあげることが大切です。

稽留流産を予防するのは難しい

さきほど紹介した通り、稽留流産を含む流産の原因の多くは、赤ちゃん自身にあります。ですから、流産をあらかじめ予防するのは困難です。

なお、流産を経験する女性は意外にたくさんいます。病院などの医療機関で確認された妊娠のうち約15%が、また妊娠女性の約40%が流産を経験しているとの報告もあるほど、じつは多くの女性が経験しているのです[*1]。つまり、流産は残念ながらよく起こることです。このことからも、女性が自分を責める必要はないことをよく理解しておくことが大切です。

稽留流産と診断されたら

さきほど紹介したとおり、稽留流産は超音波検査で赤ちゃんの成長に異常が見られた場合に診断されます。この異常とは、妊娠週数が進んでいるのに赤ちゃんの心臓の拍動が確認できない場合や、予想される大きさに対して赤ちゃんが小さく、成長が止まっていることが疑われる場合です。

稽留流産について、くわしくは下記の記事も参照してください。

【医師監修】稽留流産って何?予防法はあるの?流産の種類とその原因

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/7165

妊娠を待ち望んでいた人なら、妊娠検査薬で陽性反応が出たら、飛び上がるほどうれしい気持ちになることでしょう。しかし、妊娠初期は流産の可能性が高く、まだまだ油断できない状態です。流産には何種類かありますが、そのうちのひとつである「稽留(けいりゅう)流産」について、詳しく説明します。

さて稽留流産と診断されたら、どのような対処が必要になるのでしょう。

稽留流産と診断された場合は、最終的には赤ちゃんと胎盤などの付属物を子宮内から完全に排出させる必要があります。それらをそのまま子宮の中にとどめておくと、感染症の原因になることもあるからです。

排出の方法は大きく2通りあります。ひとつは自然に排出されるのを待つ方法、もうひとつは子宮内容除去術という手術を行う方法です。どちらを選ぶかは、個々の状態を考慮して判断されます。

なお、どちらの方法を選択してもその後の妊娠率に影響を与えることはないといわれています 。

稽留流産したら、つわりはどうなる?

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妊娠初期に起こる「つわり」。稽留流産をすると、それまであったつわりはなくなるのでしょうか。それともそのまま続くのでしょうか。

止まることもあれば続く可能性も

稽留流産によって、それまで感じていたつわりがなくなるのかどうかは、人それぞれなようです。逆に言えば、つわりの有無によって流産かどうかを判断することはできません。

そもそも、つわりの原因は正確にはわかっていませんが、妊娠に伴うホルモン分泌の変化やストレスなどによって起こるのではないかと考えられています。

とくに、妊娠すると分泌されるようになる「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)」というホルモンは、つわりの発症に深くかかわっているのではないかと推測されています。

つわりは、個人差は大きいのですが、だいたい妊娠5~6週ごろに始まり、8~10週ごろにピークとなって、それ以降徐々に治まっていくことが多いと言われています。この症状の推移がhCGの分泌量の高まる時期とほぼ一致していること、hCGの分泌が過剰だとつわりの症状がひどくなる傾向にあることがその理由です[*2]。

このhCGは、胎盤にある「合胞体栄養膜細胞」から分泌され、妊娠初期には妊婦さんの卵巣に働きかけて、妊娠の維持に必要な女性ホルモンの分泌を促すなどの重要な役割を担っています。

稽留流産になると、おなかの赤ちゃんの成長は止まってしまいます。それと同時に胎盤の働きがストップしてhCGが分泌されなくなることもあれば、胎盤の働きはある程度維持されたままでhCGが分泌され続けることもあります。そのため、稽留流産しているのにつわりが続く場合もあると考えられます。

稽留流産後、つわりが続くときの対処法は?

稽留流産と診断されたにもかかわらず、ひどいつわりが続いている場合は、自然排出を待たずに、早めに子宮内容除去術を行うことを担当医と話し合うのがよいかもしれません。つわりは子宮の内容物が排出されるまで続く可能性があります。

子宮内容除去手術と自然に排出されるのを待つ方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。個々の状態によってもベストな方法は異なるので、医師に相談してみましょう。

つわりがつらいときは、通常のつわりと同様の対処を行いましょう。食べられるものが限られている人は、食べたいときに食べられる量を口にする。脱水症状には注意して水分をこまめにとる。また環境を変えるなどして気分転換を図るなど、できる範囲で工夫をしましょう。ただし水も口にできないなど、日常生活に支障が生じるような場合は我慢せず、医師に相談してください。

つわりが続いているのに……本当に稽留流産なの?

稽留流産と診断されたのにつわりが続くことは、身体だけでなく心にも影響を与えることがあります。

「もしかしたら診断が間違っているのでは? 本当は流産していないのでは?」という望みを抱いたり、そこからさらに「間違った診断をするなんて、あの医者はひどい!」といった怒りの感情を覚えたりすることも少なくありません。

たとえ初期であっても、妊娠がわかった時点で気持ちの上ではすでに芽生えていた母親の感覚。それが不可抗力とはいえ、ある日突然失われてしまったわけですから、その喪失感をなんとかしようとするあまり、現実を受け止め切れなかったり、周囲に攻撃的な感情を持ったりしてしまうことは決しておかしなことではありません 。むしろ、ごく自然なことといえるでしょう。

しかし、そうした悲しみや怒りの気持ちを抱き続けるのは、つらいことです。つらい気持ちは一人で抱えず、信頼のおける親しい人に話したり、カウンセラーの力を借りたりしながら少しずつ整理していきましょう。時間はかかるかもしれませんが、つらかった心が徐々に変わっていくはずです。

「診断に納得できない場合には、手術を行わずに自然な経過を追っていくこともできます。合理的な理由がなければ、納得できないまま手術を急いで行う必要はありません。自身の状況を医師によく聞いて理解し、対処方法についても納得したうえで処置を受けるようにしましょう」(太田先生)

まとめ

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稽留流産を含めた妊娠初期の流産は、そのほとんどが思いがけない偶然の染色体異常によるもので、残念ながら予防法も治療法もありません。また自覚症状のないことが多いため、医師から突然に流産を告げられ、精神的に大きなダメージを受けることも少なくないでしょう。
しかし流産が起こるのは、誰のせいでもありません。流産の診断を受けた場合も決して自分を責めず、まずは心と体を休めることに専念しましょう。

この記事の監修ドクター
産婦人科医 太田寛先生
アルテミスウィメンズホスピタル産婦人科(東京都東久留米市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士

(文:山本尚恵/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]流産・切迫流産|公益社団法人 日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=4
[*2]妊娠悪阻にまつわる諸問題, 日産婦誌50巻6号, 1998.
http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/50/6/KJ00001745749.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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