妊娠 妊娠
2022年06月09日 10:54 更新

【医師監修】胎嚢確認の時期はいつ?胎嚢や胎芽が見えない原因

妊娠検査薬で陽性が出たイコール妊娠した、ということではありません。陽性が出たあと、赤ちゃんを包み込む胎嚢や、赤ちゃんのもとになる胎芽、心拍などが確認されてはじめて、妊娠が確定します。これらを確認できるようになる時期や、見えなかった場合の原因などについて説明します。

胎嚢と胎芽を確認できる時期

胎嚢っていつから確認できる?エコー画像をイメージしながら考えている女性のイラスト
(イラスト:杉井亜希)

「胎嚢」は、おなかのなかで赤ちゃんを包んでいる袋、「胎芽」は受精後8週未満(妊娠10週未満)の胎児のことです。

妊娠検査薬で陽性が出たあと受診すると、正常な妊娠では、超音波検査でまず胎嚢と胎芽が子宮内に確認できるようになりますが、それぞれいつごろ確認できるようになるのでしょうか。

「胎嚢」は早ければ妊娠4週後半から

胎嚢は、早ければ「妊娠4週後半」から確認できるようになります。なお、妊娠4週は、妊娠していない場合の生理予定日の週です。

超音波検査の画像で見ると、胎嚢は「黒い円」のような形で、「周囲に白い縁取り(=絨毛膜)」があります。

妊娠5週前半になると、胎嚢の中にリング状 の「卵黄嚢」も見え始めます。卵黄嚢はこの時期の赤ちゃんの栄養が詰まった袋です。

「胎芽」は早ければ妊娠5週後半から

「妊娠5週後半~6週前半」になると、卵黄嚢の周囲に「胎芽」が見え、徐々に膨らんで、やがて心拍が点滅して確認できるようになります。

「心拍」は早ければ「妊娠5週後半、遅くとも妊娠6週末」には確認できるようになります。

胎芽はどんどん大きくなり、妊娠7週を過ぎると細長く見えます。やや頭側のほうが丸く、尾側の方が細く、その中心の透き通った部分が点滅し、心拍を刻みます。その後少しずつ、胎児の頭部と体幹の間にくびれができ、頭部と胴体が区別できるようになります。

胎嚢と胎芽を確認する方法

胎嚢の中に見える胎芽と卵黄嚢
胎嚢の中に見える胎芽と卵黄嚢

胎嚢と胎芽は産婦人科で確認してもらいます。どのような検査方法で確認するのでしょうか。

経腟超音波検査で確認する

妊娠初期の超音波検査は、腟の中に棒状のプローブ(超音波を発する装置)を入れて観察する「経腟超音波検査」で行われます。

経腟超音波検査では、腟に近い部分をくわしく確認することができます。妊娠中期になると、お腹の上からプローブを当てる「経腹超音波検査」が行われるようになります。

胎嚢と胎芽の⼤きさ

胎嚢を確認するために超音波検査を受ける女性
Lazy dummy

妊娠初期の赤ちゃんはまだかなり小さいです。胎嚢と胎芽はだいたいどのくらいの大きさなのでしょうか。

胎嚢や胎芽の大きさには個人差がありますが、だいたい以下のようなサイズが目安になります。

妊娠5週の胎嚢と胎芽

胎嚢:直径は5~15mmくらい
胎芽:約2~3mm(5週末ごろ)

妊娠6週の胎嚢と胎芽

胎嚢:直径は約10~25mmで10後半mm前後が平均です。
胎芽:6mm程度(6週末ごろ)

妊娠7週の胎嚢と胎芽

胎嚢:直径は15~35mm程度と個人差が大きくなり、平均約25mmです。
胎芽:10mmくらい

胎嚢と胎芽の成⻑速度は︖

胎嚢は早くて妊娠4週後半から確認されるようになりますが、最初は直径2~4mmほどです。その後、妊娠6週以降は、週におよそ1cmずつ成長するとされています。

胎芽は、妊娠9週までは1日に約1mmずつ成長するという報告があります。

胎嚢や胎芽、心拍が確認できないときの理由

胎嚢を確認するための超音波検査中の女性
Lazy dummy

妊娠検査薬で陽性が出たので産婦人科を受診したけれど、超音波検査を受けても胎嚢などが確認できないことがあります。その場合、どんな理由があるのでしょうか。

時期が早すぎた

胎嚢や胎芽はある程度の大きさにならないと、超音波検査の画像に映りません。そのため、妊娠前に最後にあった生理の開始日の勘違いや排卵日のずれにより、想定していた妊娠週数が実際と異なる場合は、超音波検査で確認できないことがあります。

例えば、妊娠5週(生理予定日の1週間後)と思っていたけれど、実はまだ妊娠4週であったりすると、検査時期が早すぎて超音波検査では胎嚢も見えないことがあります。

超音波検査で確認できない場合は、少し時間をおいてから再検査をします。

流産や異所性妊娠などの可能性

こうした可能性を除いて「もう見えてこなければおかしい」という時期になっても胎嚢や胎芽を確認できない場合は、流産子宮外妊娠(卵管など子宮以外のところに受精卵が着床してしまうこと。異所性妊娠とも言う)、胞状奇胎などの可能性もあります。この場合も、医師の指示に従って、適切な検査や治療を受けましょう。

胎嚢や心拍が確認できた後に流産することもあるの?

腹痛のある女性のイメージ
Lazy dummy

妊娠初期は流産のリスクが高い

妊娠22週未満におなかの中の赤ちゃんが亡くなってしまうことを「流産」と言います。流産は全妊娠の約15%に起こります。

中でも12週未満に起こる「早期流産」は、流産全体の8割以上を占めています。この原因は、染色体異常など赤ちゃんの側にある場合が多いです。

胎嚢が確認できたあとの流産

妊娠6週以降で胎嚢は見えているのに胎芽やその心拍が確認できなかったり、一度は確認できた心拍が消えてしまった場合には、稽留流産」の可能性があります。

稽留流産は、腹痛や性器出血といった流産の症状が出ていないにもかかわらず、おなかの中で赤ちゃんが死亡してしまっている状態のことです。

この場合、胎芽などの子宮内容物はやがて自然に排出されることも多いですが、状況によっては最初から手術で取り除く場合もあります。

⼼拍が確認できたあとの流産

正常な経過では、妊娠5週末~6週頃に赤ちゃんの心拍を確認できます。拍動数は1分間に90~100回で始まってだんだん増えていき、 9週中頃には170~180回のピークに達します。以後は少しずつ減って、16週には150回ほどに落ち着きます。

妊娠初期に流産する割合は全妊娠の13%程度とされていますが、8週頃にある程度の大きさまで成長し正常な回数の心拍が確認できれば、それ以降に流産が起きる確率はぐっと少なくなります。

流産を防ぐには︖

妊娠初期に多い「染色体異常など赤ちゃん側の原因」による流産は、受精の瞬間に流産になる運命が決定してしまったようなもの。つまりお母さんの妊娠初期の仕事や運動などが原因ではなく、防ぎようがない流産です。流産の進行を止める方法もありません。

もし流産になってしまったとしても、自分を責めないで、次の妊娠に向けてできるだけ気持ちを切り替えていくことが大切です。

まとめ

エコー写真と妊娠検査薬

超音波検査の画像で胎嚢と胎芽が見え、やがて妊娠5週末~6週に⼼拍が確認されれば、妊娠が確定します。

確認できなかったとしても、思っていたより早く超音波検査を受けている可能性もあるのであまり焦らないで。次回の検査まで、ゆったりとした気持ちで過ごすようにしましょう。

(文:熊谷わこ、監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-