「身の回り」と「身の周り」の違いとは? 使い分けのポイントを解説【例文付き】
「身の回り」と「身の周り」は同じ意味の言葉ですが、細かなニュアンスは異なります。どのように使い分けたら良いのでしょうか? 本記事では、「身の回り」と「身の周り」の違いと使い方を例文付きで解説します。
「身の回り」と「身の周り」は、基本的な意味は同じですが、細かなニュアンスが異なります。そのため、必要に応じて使い分けることができれば、誤解のないコミュニケーションに役立つかもしれません。
今回は、「身の回り」と「身の周り」の意味の違いを解説します。また、使い方のポイントや類語も紹介するため、ぜひ参考にしてくださいね。
「身の回り」と「身の周り」の違いとは?
「身のまわり」とは、主に自分の身辺のことを意味する言葉ですが、「身の回り」と「身の周り」と表記する場合でどのような違いがあるのでしょうか。
まずは、「回」と「周」の漢字の意味から見ていきましょう。
「回」は「方向を変えながら回ること」
「回」を辞書で調べてみると、次のような意味があります。
【回】
(1)ぐるりとまわる。「回転・回避/迂回・周回・巡回・旋回・転回」
(出典:『デジタル大辞泉』小学館)
「回」は「迂回」「旋回」のように方向を変えながら回ることを表し、「線」としてのイメージが強い言葉です。
「周」は「広範囲を指す言葉」
一方、「周」には以下のような意味があります。
【周】
(1)すみずみまで行き渡る。あまねく。「周知・周到・周密」
(2)まわる。まわり。「周囲・周回・周期・周年・周辺・周遊/一周・円周・外周・半周」
(出典:『デジタル大辞泉』小学館)
「周」は「周囲」「周辺」のように広がりや「面」をイメージさせる言葉であり、広範囲を表します。
使い分けのポイントは「範囲」
「身の回り」と「身の周り」の具体的な使い分けは、国語辞典でもはっきりと区別されていないため、そこまで厳密に使い分ける必要はないといえます。
しかし、ニュアンスには若干の違いがあるため、もし使い分けるならば「範囲」に注目してみましょう。
例えば、「身の回り」は自分の手が届くくらいの身近な範囲や体にまつわることを表す時におすすめです。
一方、自分から見て比較的遠い位置や広範囲にある物事まで含めて表現したい場合は「身の周り」を用いると良いでしょう。
「身の回り」の使い方【例文付き】
「身の回り」は、直訳すれば「自分の体の回り」を意味する言葉です。そのため、体にまつわることや、自分の手に届く範囲の物事に対して使うと良いでしょう。
例文
・「身の回りの貴重品は各自で保管してください」
・「身の回りの世話をする」
「身の周り」の使い方【例文付き】
「身の周り」は、自分自身だけでなく周囲にいる人々や自分を取り巻く環境など、比較的広い範囲を表す時に使います。
特に位置や空間のことを強調したいシーンで用いるのがおすすめです。
例文
・「〇〇さんの身の周りにはユニークな人が多いですね」
・「身の周りを整理整頓したいが、忙しくてなかなか進まない」
「身の回り」の類語
ここからは、「身の回り」の代わりに使える類語を紹介します。
(1)「身辺」
「身の回り」は、「身辺」という言葉に言い換えることが可能です。「身辺整理」という言葉があるように、自分の近くにあるものを端的に表したい時に便利です。
(2)「手の届く範囲」
「手の届く範囲」とは、まさに自分の身の回りそのものを意味します。例えば、「手の届く範囲で行います」といった形で用いると良いでしょう。
「身の周り」の類語
ここからは、「身の周り」の類語を紹介します。
(1)「周辺」
「身の周り」を分かりやすく言い換えるなら、「周辺」という言葉が最適です。
自分自身のことだけでなく、少し離れた場所や人など広範囲にわたる物事まで含めて表現したい場合に広く使用できるでしょう。
(2)「日常」
「身の周り」とは、自分の生活を取り巻く範囲のことです。そのため、状況によっては「日常」と言い換えても相手に意味が伝わるでしょう。
例えば、「日常でトラブルが起きた」「私の日常ではいつものことです」といった言い回しができます。
「身の回り」は自分の手に届く範囲、「身の周り」は広範囲を表す言葉
「身の回り」と「身の周り」という表現は、とても似ている言葉です。
もし使い分けるならば、自分の手の届く範囲は「回り」、自分から見て比較的遠い位置まで含む場合は「周り」といった形で判断するのがポイントです。
ささいな違いのためあまり気にしない人も多いですが、知っておくといざという場面で役立つかもしれませんよ。
(にほんご倶楽部)
※画像はイメージです
※この記事は2024年04月15日に公開されたものです