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わたしたちのキャリアに潜むリスク。女性特有の健康問題を抱えながら働くということ

#ヘルシーニュース

大城戸 菜月

友人との最高の時間や、深く傷つく失恋、苦戦するプレゼンなど……生理でセンチメンタルな気分になりながらも、日々忙しく奮闘する女性たち。

そんな中でも、あの映画やドラマの主人公たちのように大胆に、しなやかに働きながら、プライベートも全力で、何もあきらめたくない。結婚をしたとしても、子どもが生まれたとしても、仕事としっかり両立させたい。そんなキャリアビジョンや将来の人生設計を描く方もいるかもしれません。

このようなキャリアプランとライフプランの調和に欠かせないのは、自分が元気な状態であること。今回はマイナビが実施した女性の働き方に関するさまざまな調査をもとに、女性のキャリアと女性特有の健康問題のつながりについてお伝えします。

20代・30代の働く女性たちのキャリアに対する考え方

マイナビ「働く未婚女性の理想のライフキャリアと悩みに関する調査」では、23歳-39歳の女性たちに結婚後の仕事に対する考え方について聞いたところ、全体の7割以上が「共働き」を希望している結果に。調査からも、結婚後もしっかり働きたいという人が多いことが分かります。

「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」より引用

「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」より引用

さらに、出産後のキャリアプランについても回答者全体の約7割が「出産後も正社員として働きたい」と回答していました。

また、キャリアアップへの関心について「管理職を経験したいと思うか」という質問をしたところ、回答者全体の30%弱が「経験したい」と回答しています。

「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」より引用

中でも、20代前半については44%が管理職を経験したいと回答していて、もっとも高い比率になっていました。管理職になりたい理由を聞いた回答の中で注目したいのが「女性管理職としてロールモデルになりたいから」という回答。

これは、30代に比べ20代からの回答が多く、キャリアを大事にしたい、経験を積んでいきたいという意欲が垣間見えます。

この調査からも「キャリアもプライベートもあきらめたくない!」「両立したい!」という思いを持つ女性たちが多いことが分かります。

令和のこの時代、上記の調査で提示している人生の形だけではなく、結婚しない選択、事実婚・パートナーシップ制度など結婚そのものの形、子どもを持たない選択、卵子凍結、選択的シングルマザー……など多様な選択肢があると思います。まわりのプレッシャーは感じるけれど、1度きりの人生、社会や他人の物差しで測られた幸せではなく、自分の幸せを追い求めたいもの。

ですが、いろんな自分なりの幸せを求めていく中で生物学的に女性たちが避けて通れないのが、女性ホルモンの影響による体調の変化や病気。例えば、PMS(月経前症候群)、生理・生理痛、更年期障害や、子宮内膜症・子宮頸がん・乳がんなど、女性ならではの症状や病気が挙げられます。

多くの人が経験あり? 生理痛や婦人科疾患のお悩み

実際に、マイナビ「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」で、「女性特有の症状に関する悩みがあるか」と聞いたところ、41.8%の人が具体的な症状の悩みがあると回答をしていました。

「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」より引用

悩みはさまざまですが、全体の中でもっとも回答が多い症状が、生理前に起こるPMSです(全体の21.2%)。

PMSの症状には個人差がありますが、情緒が不安定になったり、普段よりイライラしやすくなったりといった精神的な不調や、下腹部痛や腰痛、肌荒れなど身体的な不調が挙げられます。こういった症状が出ると、普段通りに生活をするのが難しいと感じる人も少なくありません。

その他、月経関連以外の更年期障害や子宮の病気、妊娠に関することなども挙げられており、女性たちが持つ悩みはかなり幅広いことが分かります。

突然断絶されるかもしれないわたしたちのキャリア

女性ならではのつらい症状や病気ですが、これらが原因であきらめたことがある人たちも少なからずいるようです。同調査「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」で「キャリアを築く上で女性特有の症状や疾患が原因で何かを諦めた経験」について質問したところ、回答者全体の21.4%の女性が諦めた経験があると回答していました。

「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」より引用

あきらめたことに関しては、「正社員として働くこと(37.3%)」や「希望する職種で働くこと(20.7%)」といった働き方に関することや、その他「昇進・昇格(19.8%)」「管理職になること(17.5%)」などキャリアプランを諦めざるを得なかった人たちも。

最初に、働く未婚女性のキャリア観について紹介した通り、正社員として働き続けたい、管理職になりたいという女性たちも多く、中でも20代前半においては管理職になりたい割合も半数近い結果でした。ですが上記の結果から、実際には、女性特有の症状や病気によって、自らが描くキャリアプランから離脱せざるを得ない状況をとなる人たちも一定数いることが分かります。

見逃してはいけない婦人科系症状

では、どうすれば女性たちが、PMSや月経、更年期障害などの健康課問題を抱えながらでも、自身の希望するキャリアを手放すことなく、もっと働きやすく、社会で存分に活躍していけるのでしょうか。

こちらも同調査の中で、「女性特有の症状や疾患を抱えながらキャリアを築くために必要と感じたサポート」について質問をしたところ、「受診や休暇が取りやすい制度設計」という回答が半数を超えていました。

次いで、「上司や部署内のサポート」「企業全体の業務分担や人員配置の考慮」と続いており、女性の健康への理解を企業全体に求めている人たちが多くいることも分かります。

「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」より引用

上位から4番目以降の回答については、相談できる窓口を求める回答が多くなっていました。

自分の身体に違和感を覚えても、「婦人科に行くほどでも……」と思い、放置して悪化してしまうケースも少なくありません。だからこそ、まずこれらの症状について相談できる先が勤務先に用意されていることで、これまで女性特有の健康問題が引き起こす不調を我慢しながら働いていた人たちが、症状とうまく付き合いながら働くためのヒントを見つける場になるかもしれません。

自分で言葉にしなくてもつらさを我慢している女性たちは意外と多いもの。だからこそ、手を差し伸べてもらえる制度があると安心して利用でき、相談もできそうですよね。

女性特有の健康問題を抱えながら働くということ

「正社員として働き続けたい」「キャリアアップを目指したい」という女性たちや、女性特有の健康課問題を引き起こす不調を抱えながらも日々奮闘しながら働いている人も多くいることをここまででお伝えしてきました。

そして、女性特有の健康問題が原因でキャリアを諦めざるを得ない人も一定数いることが明らかになりました。

今回のさまざまな調査データから、女性特有の健康問題に関することも女性たちのキャリアに影響を及ぼしていることが分かります。婦人科系の違和感(PMS・生理痛、子宮の痛みなど)を感じた場合は、婦人科の受診や、相談を積極的に行うことでキャリアへの影響を未然に防ぐことができ、不本意なキャリア離脱を避けられる能性があります。

そんな中で、企業と女性たちのお互いの歩み寄りや、女性自身のセルフヘルスケアのバックアップサポートがあることで、女性たちが諦めず、自身の思い描くキャリアを歩み、長く活躍し続けられる場となるかもしれません。

<参考資料>

1)株式会社マイナビ,“働く未婚女性の理想のライフキャリアと悩みに関する調査”2023年,https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2023/09/667a9c4ff9f76d2a162e870dfbdb2579-1.pdf

2)株式会社マイナビ,“企業と従業員の健康課題への認識に関する調査”2023年,https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2024/02/mynavi-welltowa-research230313.pdf

※この記事は2024年02月26日に公開されたものです

大城戸 菜月

2019年に株式会社マイナビに新卒で入社。
アルバイト事業本部にて、香川・徳島をメインに営業担当として企業の正規・非正規雇用の採用支援を行う。大学時代の専攻や留学経験から、ジェンダー平等やフェミニズムなどに関心があり、誰もが自信を持って生きられる社会の実現を志し、2023年4月よりメディカル事業本部で女性のヘルスケアや働く人々のメンタルヘルスケアを支援するサービス「welltowa」のマーケティングを担当しながら営業活動も行う。
「welltowa」公式サイト:https://saponet.mynavi.jp/pickup/welltowa/

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