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「慈しむ」と「愛する」の違いとは? 意味と使い分け方を解説

さわだまい

「慈しむ」と「愛する」の言葉の違いをご存じでしょうか? それぞれの意味をきちんと理解し、使い分けることで、自分の気持ちを正確に伝えやすくなります。今回は、「慈しむ」と「愛する」の違いをひも解いていきましょう。

みなさんは「慈しむ」と「愛する」の違いが分かりますか?

文章を書く時や他人に何かを伝える際に、シーンによってどちらを使えば良いのか迷ってしまうことがあるかもしれません。

そこで今回は、「慈しむ」と「愛する」の意味と違い、使い分けのポイントを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

「慈しむ」と「愛する」の違いとは

「慈しむ」と「愛する」の違いは、意味の範囲にあります。

それぞれの言葉の意味について、より詳しく見ていきましょう。

「慈しむ」は「自分より弱いものに対し愛情を注ぎかわいがること」

「慈しむ」を辞書で調べてみると、次のような意味があります。

いつくしむ【慈しむ】

(弱いものを)かわいがり大切にする。いとおしむ。「—・み育てられた子」

(出典:『岩波 国語辞典 第八版』岩波書店)

「慈しむ」は、対象をかわいがり大切にすることを意味するとともに、その対象が「自分より弱いもの」「目下のもの」であることが大きな特徴です。

「愛する」は「好きだという気持ちを持つこと」

一方、「愛する」には次のような意味があります。

あいする【愛する】

それに対して愛をそそぐ。
(ア)かわいがり、いつくしむ。心から大切に思う。
(イ)(特に男女間で)相手を恋い慕う。「—・する人と結ばれる」
(ウ)物事を強く好む

(出典:『岩波 国語辞典 第八版』岩波書店)

「慈しむ」に代表されるような、かわいがり心から大切に思うという意味から、異性に抱く特別な感情、そして「山登りを愛する」というような「格別に好んでいる」状態を表すまで、比較的幅広い用途があります。

また、「愛する」にも「愛情を注いで、大切にする」という意味合いがあるので、「慈しむ」は「愛する」の中に含まれる1つの表現と捉えることができるでしょう。

使い分けのポイントは「対象が自分より弱いものかどうか」

「慈しむ」と「愛する」の使い分けのポイントは、大切に思う対象が自分より弱い立場のものか、目下のものかどうかです。

そのため、子どもやペットであれば「慈しむ」、恋人や自分より年齢が上の家族などに対しては「愛する」を用いるのが適切でしょう

また、「愛する」と表現できるもののうち、特に「かわいがる」という意味合いが強いシーンでは、「慈しむ」を使うとニュアンスがより伝わりやすくなるといえます。

どちらを使えば良いのか迷うシーンでは、幅広い意味合いを持つ「愛する」を使用しておけば間違いないでしょう

「慈しむ」の使い方【例文付き】

「慈しむ」は、対象をかわいがり、大切にしていることを伝える際に使用します。

「幼い頃の思い出を慈しむ」「故郷を慈しむ」など、人や動物、物以外にも使うこともできます。

ただし、「守る」「かわいがる」というニュアンスが含まれるため、目上の人や強い印象の人、物に対して使用する際は注意しましょう。例えば、「子どもが親を慈しむ」という表現は、多くの場合において違和感が生まれますよね。

例文を参考に正しい使い方を覚えておきましょう。

例文

・「老犬を慈しみ、散歩や遊びなどかけがえのない日々を共に過ごした」

・「養父は私をわが子のように慈しみ、大切に育ててくれた」

「愛する」の使い方【例文付き】

「愛する」には、「とりわけ好む」という意味から、「恋愛の対象として相手を慕う」「恋する」という意味まであり、幅広い場面で使うことができます。単に「好き」と述べるよりも、強い印象を与えることができるでしょう。

例えば、「本が好きな彼」というより、「本を愛する彼」と言った方が、より一層読書を好み、本に愛着を持っている様子が伝わります。

また、対象に対して特に好意を抱いていたり、大切にしたいと思っていたりするのであれば、恋人に対してはもちろん、家族や動物、物、景色、状態など、あらゆるものに使用可能です。

以下で例文を紹介します。

例文

愛する人に素直な気持ちを届けよう」

愛することが、全ての原動力となっている」

「酒を愛する店主が教える、珠玉の一杯」

「彼女のことを永遠に愛する

「慈しむ」の類語

ここからは、「慈しむ」の類語を紹介します。シーンによって適切な言葉を使い分けてみましょう。

(1)「かわいがる」

「かわいがる」には、慈しむと同様に「愛情をもって大切にする」という意味があります。そのため、「慈しむ」の言い換え表現として用いることができるでしょう。

ただし、「かわいがる」の対象は人や動物が一般的で、それ以外に使われることは少ないので、自然や現象について大切に思う気持ちを表現したい時は「慈しむ」を使用するのがおすすめです。

(2)「いとおしむ」

「いとおしむ」には、かわいいだけでなく惜しんで大切に思う気持ち、もしくは「かわいそうだ」という感情を含むことがあります。

気の毒な思いが含まれる場面では、「慈しむ」よりも「いとおしむ」を使うとよりニュアンスが伝わりやすくなるでしょう。

「愛する」の類語

次に「愛する」の類語について見ていきます。

(1)「愛でる」

「愛でる」は、愛して大切にする、賞美するという意味の言葉

ほれぼれしながら鑑賞することの意味合いで用いられることもありますが、古語に由来する文語的な表現のため、小説など文章の中で使われることが多いようです。

(2)「ほれる」

「ほれる」は、心奪われうっとりするさま、夢中になり他のことを忘れ去るさまを意味する言葉。

恋愛対象以外にも、「あの人の気性にほれた」など、感心して心惹かれるさまを指すこともあります。

(3)「好む」

「好む」は、気に入ったものを味わい楽しむこと。

「愛する」よりも、単に興味が強い、気に入っているということを表現したい場面では「好む」を使うと良いでしょう。

「慈しむ」は「自分より弱いものへの愛情」、「愛する」は「幅広いものへの愛情」

「慈しむ」と「愛する」には、どちらも「愛情を持って大切にする」という意味があります。

「愛する」には「慈しむ」よりも広い意味があり、「大切にする」「強く好む」「恋い慕う」などあらゆる場面で使用可能です。

また、「愛する」と表現できるもののうち、特に「自分より目下のもの、弱いものなどを大切にする」「かわいがり、いとおしむ」という場面では、「慈しむ」を使用すると良いでしょう。

2つの言葉の使い分けに悩むこともあるかもしれませんが、本記事を参考にしながら日常生活やビジネスシーンに役立ててくださいね。

(さわだまい)

※画像はイメージです

※この記事は2023年12月25日に公開されたものです

さわだまい

ライター。「資格好きの主婦」として、コラム執筆、ブログやSNSでも情報発信中。自身の婚活経験から、婚活・恋愛についても執筆しています。

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