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「落としどころ」の意味とは? ビジネスフレーズとしての使い方や例文・類語・言い換え表現

にほんご倶楽部

ビジネスシーンでも見聞きする「落としどころ」という言葉。その意味や使い方を正しく理解できていますか? 今回は「落としどころ」の意味や使い方、例文、類語・言い換え表現を紹介します。

「落としどころ」は、お互いが譲り合って意見を一致させることなどの意味を持っています。

ビジネスシーンでも、仕事でお互いの意見が合わなかった時や予算の都合で想定の計画とは違う内容になってしまう時に、妥協する部分を意味する言葉として使います。

そんな「落としどころ」を使う上で、覚えておきたい意味と使い方を紹介します。また、言い換え表現や類語を紹介するため、ぜひ参考にしてください。

「落としどころ」の意味とは?

まず「落としどころ」を辞書で引くと、次の記載があります。

おとしどころ【落としどころ】
当事者どうしが受け入れられる現実的で適切な決着点。
(三省堂『大辞林 第四版』)

つまり「落としどころ」の意味は、取引している相手と自分が納得できる条件や状態のことです。

交渉や取引をする時には、お互いの考えや希望が一致するとは限りません。しかし、取引を成立させるにはどちらかが妥協するか、両方が譲り合ってお互いに納得のできる状態にしなければビジネスが進みません。

そんな時にお互いが納得できる状態である決着点(=落としどころ)を見つけることで、話し合いや交渉を終えられるのです。

「落としどころ」は、「お互いの条件が合うところ」という意味で使われることが多いですが、ほかにも相談などの話し合いや、出来事の終了そのものを表現することもあります。

「落としどころ」はビジネスフレーズとして使える?

「落としどころ」はビジネスフレーズとしてよく使われています。例えば、取引先との交渉の際にお互いが納得できる条件を見つけることを「落としどころを見つける」と表現します。

交渉は片方が納得するだけでなく、お互いに譲れるところは譲り合うことで不満を解消できます。一方的に条件を押し付ける結果にならないよう、話し合いを重ねることがその後のビジネスの発展につながっていくのです。

そのため、ビジネスシーンでも「今回の落としどころとしまして、○○の件は貴社のお考えを採用し、○○の部分は弊社の提案を受け入れていただけませんでしょうか?」などといった使い方ができます。

「落としどころ」の使い方(例文付き)

「落としどころ」は会議や取引先との話し合いをする時に使うことが多いです。

使い方として気をつけたいのは、相手によっては「落としどころ」という表現が「妥協」だと思われてしまい、不快な気持ちになる可能性があるということ。

特に上司やお客さまなど目上の人に対して「落としどころ」を使う時には、相手に失礼にあたらないように前後でしっかりと敬語表現を使う、安易な妥協を迫っているわけではないなど、相手の立場も敬っていることが伝わるような内容を心掛けましょう。

例文

「落としどころ」は社内でも社外でも使うフレーズです。

ちなみにプライベートでも、感情面で気持ちの整理をつける時に「今回のトラブルでの気持ちの落としどころを見つける」といった言い回しができます。

・この件について、お互いに落としどころを考えていきましょう。

・解決策を提示してもらいましたが、まだ当方の気持ちの落としどころが見つかっていません。

「落としどころ」の類語・言い換え表現

「落としどころ」と似た意味を持った言い換え表現を紹介します。別の表現にすることで、よりフォーマルな場面でも使いやすくなります。

「折衷案」

「折衷案」とは、「それぞれの意見の中でいいポイントをまとめた案」^を意味する言葉です。

「和洋折衷」という言葉があるように、それぞれの特徴や良さをまとめるという意味で、「折る」は「中心で折ることでどちらにも偏ることなくバランスのいい状態」を表します。

つまり、お互いの意見で良いところをまとめて、新しい案を生み出したり納得のいく内容に変えたりすることを表しています。良いところを取り入れるという表現のため、譲り合う意見であってもポジティブな印象があります。

「譲歩案」

「譲歩」とは、お互いに譲り合って結果を決めた案のことです。お互いに希望がある中で、相手に譲っても問題ないところは、譲り合うことで意見をまとめていけます。

ビジネスシーンでは譲り合って相手の立場を敬う姿勢が求められます。「落としどころ」と意味はとても近いですが、「譲歩案」と言い換えることでフォーマルな印象になります。

「妥協点」

「妥協点」は「妥協点を決める」や「妥協点を探る」などの言い回しが定番です。そもそも「妥協」には、「対立している双方(または一方)が折れ合って一致点を見出し、事をまとめること」という意味があります。

「落としどころ」だとカジュアルなイメージがある言葉も、「妥協点」と表現することでややフォーマルな印象に変えられるため、ビジネスシーンで役立てられます。

しかし「妥協」は、相手もしくは自分が我慢をして折れている、というニュアンスを感じさせかねない言葉なので、「双方の希望を取捨選択して互いに納得した状態」を表現するなら、「落としどころ」の方がより適しているかもしれません。

「落としどころ」はお互いに納得できる結果を決めるフレーズ

「落としどころ」は、取引先や上司、同僚など幅広い相手に対して、希望を伝えた上でどのような着地にするのか最終的な結果を決める時に使える言葉です。

「落としどころを決める」と表現することが多く、ビジネスシーンでもお互いに譲り合えるところは譲った上で、良い結果になるよう努力する姿勢が求められます。

相手によってはネガティブな印象を持たれてしまうこともあるため、時と場合に合わせて言い換え表現も使いつつ、ビジネスシーンに役立てていきましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年08月25日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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