仕事でも笑顔を大切にする「スマイルキャリ」。タイガー魔法瓶株式会社・林優紀さんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
取材・文:ミクニシオリ
撮影:稲垣佑季
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部
年齢とともに、どこからか湧いてくるキャリアへの不安。結婚、出産、引っ越しや実家へのUターンなど、まだ何か起こったわけじゃなくても「もしこうなったら、今の仕事は続けられないかも」なんて杞憂が止まらなくなる夜だってありますよね。
そんな不安を漏らしたら、大阪の老舗家庭用品メーカー・タイガー魔法瓶株式会社の東京支店で、広報として働く林優紀さんは「意外となんとかなるものですよ」と笑ってくれました。
双子を出産し、育休から復帰して2年になる林さん。結婚を機に東京への移住が決まり転職を考えていたものの、上司や先輩との交流がきっかけとなって、東京支店への異動が決まったそう。
自分のライフスタイルに合わせて、働き方を柔軟に変えている林さん。そんな彼女が働く上で一番大切にしていることは、自身が「笑顔になれる瞬間」でした。
風通しの良い会社で新卒から手を上げ続け、興味のあった広報宣伝チームへ


新卒でタイガー魔法瓶に入社して、今年で社会人10年目になります。入社時から3年は営業職としてお客様の声を直接聞くことができて良い経験を積むことが出来ましたが、当時からマーケティングや広報に関わる仕事がしたいと思っていました。
もともとインターネットやSNSが好きで、学生団体でも広報業務を担当していたので、いつかはその興味関心を仕事に活かしたいと思っていました。


そうです。1年目の時からずっと希望を出し続けて、4年目に広報宣伝の部署に異動することができました。
そんなことで部署異動できるのかな、と思ってはいたのですが、新卒時お世話になった先輩にも背中を押されて挙手し続けていたら、タイミングよく異動できたんです。


そうですよね。本社が大阪ということもあり、東京支店も関西の人が多いのですが、アットホームで風通しのいい職場です。社内の空気も明るく、コロナ前はみんなでスポーツ観戦やゴルフに行くことも多かったですね。
コロナ禍ではテレワークも導入され、状況に合わせて働けるようになりました。私自身、コロナ禍で産休・育休を取ったのですが、そういった制度も使いやすかったです。


もともと新卒の時に東京支店に営業で配属されていたのですが、広報宣伝チームに異動になって、大阪本社で働くことになったんです。その間に結婚したのですが、パートナーが東京で働くことになり、私も会社を辞めて東京で転職活動するしかないと思っていました。
しかし、そのことを上司に相談したところ、上司もちょうど「メディアの方が多い東京に広報が常駐できればより効率がよいのでは」と思い描いていたようで、タイミングよく、東京支店にも広報宣伝チームができることになって、転職せずに東京で働けることになりました。


本当にその通りで、私も会社にもチームメンバーにも感謝しています。相談しづらくて上司に言えていなかったら、転職して別の道を歩いていたかもしれません。
タイガー魔法瓶は知名度はあるのですが、実際は社員750名ほどの中小企業なんです。だからこそ社員同士の距離感も近く、気づけばいつも先輩や上司の後押しがあって、キャリアと人生のバランスを取りつつ働けています。
時短勤務でもチームメンバーとのコミュニケーションを大切に
















今年は会社が100周年を迎えたこともあり、広報の業務も繁忙期ではあったのですが、スマートフォンでできることなら移動中など時間を見つけてこなすようにしています。
また、夫がリモートで働ける日は家事や育児に時間を割きやすいので、パートナーとも出社日を調整し合って、出社日に関してはコミュニケーションをとって、どちらかが育児しやすい状態を作れるようにしています。
食に関わる仕事で生まれた「笑顔」が、キャリアの主軸に


風通しの良い社風もそうなのですが、自分にとっても身近な食に携わる仕事ならではの温かみを感じるところでしょうか。
タイガー魔法瓶の主力商品は、ポットや水筒、それに炊飯器など。新しい製品をPRする時には、営業メンバーや私もキッチンフロアに集まって実際に調理をしてみて、試食して商品の良いところを見つけていきます。
会社でも何回もお米を炊いているんですけど、そんな環境が社員同士の結束を深めているなとも感じます。自社の商品でおいしいご飯を食べながら、新入社員などまだ関わったことのない社員と話ができることもあります。








好きなことをやっているということがすごく大きいと思います。でも、働く中でも子育てする中でも「よく考えたら、大変かも」と思うことってたくさんあるんです。
でも、それと同じくらい楽しいと思える瞬間があるから、自分の中では楽しい方にフォーカスを当てているんだと思います。
一番のやりがいは、子どもが自分の関わる商品を知ってくれていることですね。自然と(タイガー魔法瓶の)虎のモチーフを好きになってくれたり、自社の子供向けの水筒をうれしそうに持っていたりする姿を見ていると、私も笑顔になれるんです。もしこれから先大変なことが起こっても、つらいという気持ちより「笑顔の時間」を大切にしていきたいと思っています。
※この記事は2023年06月22日に公開されたものです