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女性に「性の自由」を。ワ―ママがセルフラブブランド『aib』を立ち上げた理由

#わたしが向き合う女性のカラダ

ミクニシオリ

すべての女性が自分らしく過ごすために、女性の健康や身体にまつわるサービスを展開するリーダーにインタビュー。女性としても、ビジネスパーソンとしても輝く彼女たちは、一体どんなことを考え、“女性のカラダ”と向き合っているのでしょうか?

取材・文:ミクニシオリ
撮影:大嶋千尋
編集:鈴木麻葉/マイナビウーマン編集部

セックスレス、浮気、不倫に寝取られ……最近話題のドラマや漫画は、夫婦生活やカップル関係における性の不一致がテーマなものばかり。みんなにとって関心の深いテーマでありながらも、なかなか解決できず悩むことが多いからこそ、フィクション作品が流行するのかもしれません。

でも、現実のレス問題や欲求不満問題ってもっとセンシティブで、そしてつらいもの。女性向けのセラピストサービスや大人向けのおもちゃでセルフケアするという選択肢もあるけれど「買い方が分からない」「怖い」という意見も聞きます。

今、日本はまさにウーマンヘルスケアの発展途上国。悩める女性の性の問題を解決するために「女性である私こそが」と頑張っている人がいます。

女性のためのセルフラブブランド『aib』を立ち上げたYUKIEさんは、2人の子どもを持ちながら起業家として活動するワーママです。

キャリア面でも人生面でも経験の豊富な彼女は「今こそ女性たちにセルフラブを広め、充実した生活を送って欲しい」と語ります。YUKIEさん自身、最初は興味がなかったというセルフラブは、彼女の人生にどんな影響を与えたのでしょうか。

波乱万丈な人生の中、たどり着いた「セルフラブ」

――YUKIEさんは、15歳~23歳まで女優をされていたそうですね。女優からエステティシャンを経て、セルフラブの業界に参入されたそうですが、今までの経歴を教えてください。

子どもの頃から映画が大好きで、小津安二郎監督や溝口健二監督など昔の日本映画をよく見ていました。自身も演劇スクールに通い、ホラー映画や戦争映画への出演を夢見て、憧れていた女優の所属する事務所に所属させてもらったのですが、なかなか仕事を掴むことができず……。

やってみたいことはなんでもすぐにチャレンジする性格のため、ポテンシャル採用で応募年齢より若いタイミングで所属したのですが、仕事が無いので毎日アルバイト生活で、理想と現実のギャップに苦悩していました。観劇とは別に、幼い頃は器械体操を7年ほど続けていた時期もあり、身体のケアにも興味があったので、エステティシャンに転職することにしました。

――行動力と決断力がすごいですね。やり始めるのも辞めるのも、勇気のいることだったと思います。

いつも「好き」という気持ちや「やってみたい」という好奇心が原動力で仕事を始めるので、環境の変化を不安に思ったことはあまりないかもしれません。エステティシャン時代も、韓国式コルギのベテランに弟子入りし、とにかく早く自立したい気持ちでやってきました。

しかし、働き方の壁にぶち当たり、だんだんと自分で起業したいと思うように。それが、起業家としての人生を始めたきっかけです。

――起業されてからは、どんなサービスに携わってこられたのですか?

最初は飲食事業から始めました。事業は時代の波に乗り、上手くいっていたのですが、キャリアが充実する反面、私生活は荒んでいきました。

従業員のシフト管理も私がこなし、休む子がいれば自分が出勤しましたし、その頃に子育ても始まりました。寝る時間も削って働く日々で、女優の頃は日々ていねいに行っていたセルフケアはこなせず、顔はむくみ、妊娠で太り、髪だっていつもプリン状態。時間に追われてイライラすることも増え、夫婦関係も悪くなっていきました。

――キャリアと私生活を両立して充実させるのは、やっぱり難しかったですか?

難しかったですね。いかにキャリアが充実していても自己肯定感が低下していて、そもそも慢性的に体調不良でしたし、その時に婦人科系の病気も見つかりました。病気になった時は「もう自分は女として終わってしまうのかな」と悲しくなったことを覚えています。

その頃、自身の身体の不調からフェムテック商品に興味を持ち、プレジャーグッズについて調べるように……。そのことがきっかけで、私の人生は一変します! 海外のかわいいプレジャーグッズを使うようになり、肯定感がとても高まったんです

嫌なことから開放されるような感覚を知り、周りにもやさしく接せるようになりました。精力的になり、友達にも会いたくなって、同じような悩みを持つ女友達に、プレジャーグッズを勧めるようになりました。

――周りの反応はいかがでしたか?

プレジャーグッズってセンシティブなイメージがあるかもしれませんが、私はキャラクター的にも性の話題に関してオープンなタイプだったからか、周りも自然に話を聞いてくれました。中には実際にグッズを使ってくれる子もいて、私と同じように、セルフラブをして肯定感が高まったと言ってくれることも。この感覚をもっと世間に広めたくて、セルフラブブランド『aib』を立ち上げる決心をしました。

「女性のセルフラブ」をもっと気軽に快適にするアイテム『Tulipa』

――キャリアと私生活の両立に悩む人は、YUKIEさんの周りにも多いですか?

かなり多いと思います。ママ友はセックスレスの人の方が多いくらいですが、だからと言って不倫をしたいというわけではないという女性がほとんどです。セルフラブには興味があるけれど、グッズをどう選んでいいか分からないという意見もあったので、女性に愛されるブランドを作ろうと『aib』を立ち上げました。

――『aib』のブランドコンセプトを教えてください。

今の日本女性はまだ、自身で自由に性をケアするという実感がない人も多いと思います。でも、女性も自分で愛を育んでほしい、自分をセルフラブする選択肢を持ってほしい。そんな思いを込めて、ブランドページも商品も、とにかく明るくポジティブに、自分を愛せる世界観を目指しました。

最初の商品としてローンチした『Tulipa』も、美顔器のようなかわいい見た目や静音性、衛生面にこだわっています。

――パッケージもかわいい! セルフラブグッズには見えませんね。

そうなんです。ネットで買って、家に届く時も恥ずかしくない、むしろうれしく思えるような女性らしさにこだわりました。

さわり心地も気持ちいいですし、吸引タイプなので、挿入に不安がある人でも使いやすいのが特長です。挿入タイプと比べると、吸引タイプは多くの女性がオーガズムを得ることができるとも言われているので、まだセルフラブで快感を覚えたことがないという人の一歩を踏み出すアイテムにもなってほしいなと思っています。

――実際の使用感は、どんなお声が届いていますか?

初めて使う方からのうれしいお声もいただいていて、一言で言えば「こんなの初めて!」という感想が多いです(笑)。快感も覚えていただけていますし、睡眠の質があがった方、周りにもやさしくなり笑顔が増えたという方、デザインがかわいいので同居人に見つかっても恥ずかしくないといった感想も。

また、性に対してタブーを感じてきたという方からは「こういうものがもっと広まってほしい」とのお声もいただいています。セルフラブのことは、個人がわざわざ人に発信することではないかもしれませんが「女性もセルフラブしていいという概念がもっと一般的になったら」という願いも感じました。

――『aib』のようなブランドが広まり、世間的にセルフラブが当たり前になっていくことで、女性も性に対して意見を発しやすくなりそうですね。

私自身も『aib』のブランドプロデューサーとして、性やセルフラブに関する発信をしていきたいなと思っています。それにママ友のコミュニティでも、私が『aib』のことを女子会で話すようになってから、セクシュアルな話がしやすくなったと言ってくださる方もいます。

女性だって、本当はそういった話を他者と共有したいと思っていることも分かったので、今後は女性のためのコミュニティも運営していきたいと考えています。

性に対して、女性も主体的に

――色々なご経験をされていると思いますが、セルフラブや『Tulipa』の開発は、YUKIEさんにどんな影響を与えましたか?

夫やパートナーと仲が良く、長年一緒にいてもセックスにおいて伝えづらいと感じる部分は誰しもあると思います。私自身もセルフプレジャーを通じて、自分の体についても知ることができ、相手に対してももっとこうしてほしいと自分が求めることを伝えられるようになりました

私の場合は、運動やマッサージだけでは改善しなかった、慢性的な体調不良も回復しました。一言で言えば、生きやすくなりましたね。セルフケアの大切さを実感しましたし、自分の悩みを友人に打ち明けるのが恥ずかしくなくなりました。

――『Tulipa』をどんな人に使ってほしいですか?

例えば、コンドームは男性につけてもらうものだと思っている方や、まだセルフラブの経験のない方などの性に受動的な女性に使ってほしいです。性に対して女性が主体的になるという感覚がまだない方には、さまざまな効果を発揮できると思います。

あとは、幸せをあまり感じないと思っている方。女優時代の恩師は「女が幸せじゃなきゃ、男も幸せにならない。ぼーっとしていたら、人生は寂しい」という言葉を教えてくれました。自分で幸せになれる女性は、周りも幸せにできる人です。その第一歩として『Tulipa』でのセルフラブを知ってもらいたいのです。

※この記事は2023年05月10日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

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