男性だけじゃない、実は女性もわかっていない。「働く女性の生理トラブル」を産業医が解説
「今日は生理だから仕事がつらい……」。なかなか職場に伝えづらいですし、理解もしてもらいにくい問題です。ほとんどの女性が感じたことのある悩みではないでしょうか。
生理快適プロジェクトは、「企業や職場は、働く女性の生理トラブルにどう向き合えばいい?」をテーマに、産婦人科の産業医によるオンライン・メディアセミナーを実施(協賛:あすか製薬/バイエル薬品/富士製薬工業)。女性の健康支援や職場づくりの観点で重要なテーマを、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室講師であり、大企業の産業医としても従事する産婦人科医・飯田美穂先生が解説しました。
生理快適プロジェクトとは?
現代の働く女性たちは、整理関連で多くの不調や将来の健康リスクを抱えていますが、それらの問題について、女性自身も対策を正しく知らず、また企業や社会から十分な理解も得られていません。
生理快適プロジェクトは、女性たちが自身のカラダのリズムを適切にマネジメントすることが、自分の健康向上と仕事のパフォーマンス向上と日常生活の快適につながるという事実の啓発と、そうした女性を企業や社会が支援することの必要性を発信していくことを目的としています。
男性・女性ともに管理職の「生理」への理解が低い
セミナーの冒頭では、日経BP総合研究所が調査を行った「働く女性と管理職約1000人の生理についての意識調査」について報告がありました。
10~40代の働く女性624人と、40代以下の女性社員を評価・指導する立場にある管理職389人(男性220人、女性169人)に、「女性特有の健康課題」についての意識調査を実施。その結果、働く女性と管理職の間に、女性活躍を阻害しかねない大きなギャップが存在することが明らかになったといいます。
例えば、「女性管理職の4人に1人は「症状がひどくないのに生理休暇を利用している女性がいる」と感じている」というもの。同じ女性にもかかわらず、生理休暇への理解が得られていないという結果には驚きました。
また他にも、「男性管理職は生理の影響がある女性に対して『どのようにサポートすればいいかわからない』が約4割、『スキルアップは難しい』と感じている人も1割弱」、「生理の不快な症状をサポートする制度の職場への導入意向は、男性管理職が際立って低い」など、男性の理解の低さも露呈する結果となりました。
女性の社会進出やジェンダーギャップの解消が唱えられている昨今ですが、まだまだ不都合な壁が存在していることがわかります。
企業や職場は、働く女性の月経トラブルにどう向き合えばいい?
次いで、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室講師であり、大企業の産業医としても従事する産婦人科医・飯田美穂先生が講師として登壇。「企業や職場は、働く女性の月経トラブルにどう向き合えばいい?」をテーマに、講演を行いました。
飯田先生は、大学講師だけでなく女性の健康課題支援に力を入れるポーラオルビスグループの産業医としても活躍されていることから、企業で働く女性たちが抱えるリアルな生理の悩みやトラブルの実情、またその解決策・支援策について解説しました。
大勢の女性たちが活躍する現代社会において生理トラブルを放置することの問題点から、逆に職場改革など企業が積極的にそれらの問題解決に取り組むことでのメリットまで、具体例を織り交ぜたお話は実に有意義な内容でした。
まだまだ社会的にも企業にも課題の多い「生理トラブル」。それには職場環境や自身のマネジメントなどさまざまな取り組みが必要ですが、何より男女ともにもっともっと?理解?が必要だと感じました。こういった啓もう活動を通じて、女性たちがより健やかに快適に働ける職場環境になっていくことを願います。
(マイナビウーマン編集部)
※この記事は2022年12月20日に公開されたものです