大人の試し行動とは? 試し行動をする大人の心理と対処法
試し行動とは、愛情を確認するためにわざと相手を困らせるような行動をすること。本来は子どもの行為を指すのに使われますが、大人になっても試し行動をする人がいます。では、その原因となる心理とは? 試し行動の例や恋愛への影響も併せて解説します。
自分が恋人や友達のことを大好きでも、相手はそうじゃないかもしれないと不安になる。
これは当たり前の感情ですが、自分に自信がない人や依存しがちな人は、愛されている実感が持てないと相手を試す行動を取ってしまうことがあります。
今回は、そんな試し行動とは何かについて解説します。自分とパートナーのことを想像しながら、心理や対処法を考えていきましょう。
試し行動とは? 大人になってもする人はいる?
試し行動とは、愛情を確認するために、わざと相手を困らせるような行動をすることを指す言葉です。
これは、子どもの行為として保育や幼児教育の現場で使われますが、自分に自信が持てないまま大人になってしまった場合にも同様の行動を見せることがあります。
相手から拒絶されないか試し、自分が愛されている存在なんだと確認するのです。
大人の試し行動の例
では、大人の試し行動としてはどのようなものがあるのでしょうか。以下にいくつか例を挙げます。
(1)突然音信不通になる
大人の試し行動として、突然音信不通になることが挙げられます。
自分からLINEや電話などの連絡を一切しなくなり、相手から連絡が来ても無視し続けます。
自分から連絡を断つことで、相手が連絡してくれるのを期待しているのでしょう。相手からの連絡が多ければ多いほど安心するようです。
(2)あからさまに不機嫌になる
試し行動をする人は、不満を言葉で相手に伝えるのが苦手です。何かあっても自分で伝えるのではなく、相手に察してほしいと思っている人が多いでしょう。
そして、不満を察してもらいたくてあからさまに不機嫌な態度を取る人も。
例えば、皆で食事をしている時に自分が話題の中心になれなかったことに腹を立て、黙り込んでしまう、といったことが考えられます。
(3)相手を否定する
試し行動をする大人は、相手の容姿や人格、趣味などを否定することもあります。
相手を否定すれば怒られる可能性があることは分かっており、「それでも許してくれた」という安心感がほしくてあえて否定を繰り返すようです。
相手が許してくれれば安心しますが、これは一時的なもの。またすぐ不安になって相手を否定し、その内容もエスカレートしていく傾向にあります。
(4)恋人にすぐ「別れる」と言う
恋愛の場面でよく見られる大人の試し行動です。ちょっとした行き違いやけんかの度に、すぐ「もう別れる!」と口にします。
本当に別れたいわけではなく、相手が「別れたくない」とすがってきてくれることを期待しているのでしょう。
また、別れをちらつかせて優位に立ち、自分の要求を通したいという心理が働いているケースもあります。
試し行動の恋愛への影響
大人の試し行動は、恋愛に以下のような影響を及ぼすことがあります。
(1)恋人との信頼関係が崩れる
恋人が試し行動に出たら、最初のうちは心配で相手を気にかけ、要求を飲んであげようとする人が少なくありません。
しかし、何度も試し行動を繰り返されると、だんだん疲れてきます。振り回されている気分になり、「またか」とうんざりするでしょう。
いったん試し行動が落ち着いても、「また繰り返すのではないか」と疑心暗鬼になり、なかなか信頼できません。
試し行動を繰り返すと恋人との信頼関係が崩れ、修復できなくなってしまう可能性があるのです。
(2)幸せな恋愛から遠ざかってしまう
本来、恋人に愛されている実感や信頼関係は、丁寧なコミュニケーションによって生まれるもの。試し行動による一時的な安心感は長続きしません。
試し行動をする人は、すぐ不安になり、また試し行動に出て、恋人からの信頼を失って……という負のループにはまりがち。
せっかく恋人ができても「試し行動のせいで関係がこじれる→別れる」の流れを繰り返し、幸せな恋愛から遠ざかってしまうことがあります。
大人になっても試し行動をする人の心理
では、なぜ大人になっても試し行動をするケースがあるのでしょうか。自分や、恋人の行動で思い当たるものがないか振り返ってみましょう。
(1)不満を察してほしい
試し行動をする人は、相手に自分の不満を理解してほしいという気持ちを強く持っています。 しかし、自分に自信がないので気持ちを言葉にすることは苦手。
不満を察してくれないのは愛されてないからだ、と極端に考えることもあるようです。
自分は相手の不満を察しようとしないのに、自分の不満には気づいてほしい。そんな残念な矛盾もあるかもしれません。
(2)相手からの連絡がないと安心できない
試し行動の代表的なものに、連絡の遮断があります。
この場合、何の理由もなく、電話もメールもSNSも自分からは全く発信しなくなります。
これは、相手が心配して連絡してくることを強く望む気持ちの表れ。自分が連絡しなくても、相手は構ってくれることに安心したいのです。
(3)自分優位でいたい
自分の方が愛されている、優位であるという感覚を得たい心理もあります。
この代表例が、「別れる」という発言の繰り返しです。
本気で別れたいわけではなく、相手が別れたくないと自分にすがってくれることを求めているのです。そして、自分>恋人という序列を確認したいのでしょう。
一度「別れる」といって相手を困らせることに成功すると、この発言を頻繁にくり返すようになるケースも考えられます。
(4)何をしても相手は離れないと思っている
何をしても相手が離れていかない、本気じゃないから、手加減しているから大丈夫。そんな甘えの心理も考えられます。
この場合、試し行動がエスカレートしていくかもしれません。
大人の試し行動に対する対処法
試し行動は、心地いい行為だとは言えません。試し行動を見せる相手と向き合うには、どう対処したらいいのでしょうか。
対処として、まずはこれらの行動を取ってみてください。
(1)愛情表現をする
まずは、相手への愛情表現をしましょう。「自分は愛されている」と実感してもらうことが重要です。
日頃から積極的に、言葉や態度で分かりやすく伝えるのがポイント。あなたからの愛情は本物であり、十分に愛されているという実感で安心させてあげましょう。
(2)逆効果だと伝える
愛情がゆえの行動であっても、試し行為、つまりわざと困らせるような言動のくり返しを好ましく思っていないスタンスは伝えましょう。
試し行動によって自分たちの関係が終わってしまう可能性や、気持ちが離れる可能性があることを分かってもらうのです。
(3)距離を置く
言葉で伝えても試し行為が直らない場合は、別れる覚悟で距離を置きましょう。
距離を取ることで、お互い冷静になり、自分と相手を見つめ直す機会が生まれます。
試し行動をするのは、気持ちがヒートアップしている状態。まずは、周りが見えなくなっている状況から一旦離すのです。
試し行動で愛情は生まれない
試し行動は、相手からの愛情を確認したい、相手の気持ちを確かめたいという気持ちがあってのこと。
依存してしまったり、自分に自信がなかったりする時の愛情表現ですが、そこから実際に愛情が生まれることはないと言っていいでしょう。
相手への愛情を伝えたい、気持ちを確かめたいのであれば、きちんと言葉で確認し合うことがコミュニケーションの基本。
試し行動をする側も、される側も心理を理解し、冷静に対処していきましょう。
(神戸梛来)
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※この記事は2022年11月21日に公開されたものです