人より早く悩んだ生理不順、不妊、更年期―mederi代表取締役が「おせっかい」でも伝えたいこと
夏が過ぎ、ようやく涼しくなってきた今日この頃。でも、「なんだかちょっとお疲れモード」……という人も多いのではないでしょうか。夏で疲れたココロとカラダを、一度リセットしませんか? 最新の検査・診断から、気軽にできるエクササイズまで、いまアラサー女子に知ってもらいたい“ココロとカラダの話”をお届けする本特集。今回はオンラインピル処方サービス「メデリピル」を展開するmederi株式会社の代表取締役・坂梨亜里咲さんに「生理」の話を聞きました。
取材・文:太田冴
撮影:洞澤佐智子
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部
「♪メデリで相談 メデリ メデリ〜」
フワちゃんの明るい歌声が印象的なテレビCMや広告トラックを見かけたことのある人も多いのではないでしょうか? あれ実は、オンラインピル処方サービス「メデリピル」の宣伝なんです。
今回お話を伺ったのは、そんなオンラインピル処方サービス「メデリピル」を展開するmederi株式会社の代表取締役・坂梨亜里咲さん。
真っ赤なワンピースという麗しい装いで取材陣を出迎えてくれた坂梨さん。今をときめくベンチャー企業の社長という肩書きも相まって、なんてキラキラした方なのだろうと思っていたのですが……その口から語られたのは「16歳で生理不順」「26歳で不妊発覚」「32歳で更年期症状を経験」と、あまりに切実な現実でした。
「人よりも早く、いろんなトラブルを経験してきた」と語る坂梨さんが、マイナビウーマン世代に伝えたいこととは? じっくり伺ってきました!
16歳から婦人科通いがスタートするも“おじいちゃん先生”。ピルには出会えず……
――現在オンラインピル処方サービス「メデリピル」を運営している坂梨さん。そもそも坂梨さん自身は、ずっとピルを飲んでいたのですか?
実は16歳から生理不順に悩んでいたんです。地元・宮崎で母親に連れられて、月に1回産婦人科に通う生活を送っていました。ただ、その時はまだピルに出会えていなくて……。
――え、そうだったんですか?
はい。田舎というのもあって、通っていた婦人科の先生がいわゆる“おじいちゃん先生”で……。ピルという選択肢を教えてもらえず、ホルモン剤による治療を受けていました。私も母も「もっとこういう方法は無いんですか?」と聞くほどの知識はありませんでしたし、結果的には大学入学と同時に上京して、東京で婦人科に通うようになって初めてピルという存在を知ったんです。
――婦人科に行くようになってからピルに出会うまでが、長かったんですね。
はい。ただ、その後もトラブルは続いて……。
――トラブル、というと?
27歳の時に結婚したのですが、婚約時のブライダルチェックで初めて自分が妊娠しにくい体だということが分かったんです。通常より早く閉経してしまう、いわゆる「早期閉経」という状態でした。約10年もの間、毎月婦人科に通っていたのに気づけなかった。もっと早く自分で知識を得ていれば……と強く後悔したのを覚えています。
全ての女性たちに後悔してほしくない。オンライン処方ピルサービスを立ち上げた理由
――生理不順・不妊をご自身で経験したうえで、どうしてオンライン処方ピルサービスを立ち上げようと思ったのですか?
起業当初は、不妊の経験から妊娠・出産を望む女性をサポートしたくて、葉酸サプリと妊孕性(妊娠するための力のこと)のチェックキットの事業を始めたんです。ただ、私の人生を改めて振り返ってみると、そもそも妊娠・出産をしたいという目の前の課題が無い人に対してどうやって情報を伝えていくか、が大事だと思いました。
私自身、上京するまでピルに出会えず、婚約するまで不妊にも気づけなかった。おせっかいかもしれないけど、女性の皆さんが後悔しないように、もっと自分の体のことに興味を持ってほしい、いろんな情報を知ってほしいと思ったんです。
そこで、今すぐに妊娠・出産という選択肢を取らない女性たちにとっても必要なものってなんだろう、と考えた結果、生理ケア事業にたどり着きました。
――いつかは妊娠・出産を望む人にとっても、低用量ピルは役立つものなんですか?
はい。ピルを飲むことによって、子宮内膜症などの疾患や不妊の予防になると言われているんです。逆に「ピルを飲むと不妊になる」というような噂もあるんですが、医学的根拠は無いんですよ。
――ピルに対する偏見って、やっぱりまだまだある気がします。
そうですね。私が大学時代にピルを服用していた時も、「なんでそんな卑猥なものを飲んでるの?」と言われることがありました。ただ、最近事業をしていて思うのは、低用量ピルに対する理解がかなりアップデートされてきたな、ということ。最近では、受験日と生理期間が重ならないように、塾がピルを勧めるケースもあるようなんです。
――そうなんですか!? 私、坂梨さんと同い年なのですが、低用量ピルに対する考え方がそこまで変わってきているとは、驚きました。
そうですよね。ただ、とはいえ住んでいる地域や親のリテラシーによって、まだまだ差があることも事実。だからこそ、オンライン処方という形で、どんな環境にいる人も手軽に低用量ピルという選択肢を持ってもらえるようにしたかったんです。
――婦人科ってどこかハードルを感じるし、ものすごく混雑していたり時間がかかったりと、通い続けることが本当に難しいと感じます。その点、オンラインは本当にありがたいですよね。
ピルの服用って、継続して初めて効果を得られるもの。それなのに、毎回交通費と時間をかけて病院に行くのが、ハードルが高い方もいると思うんです。コロナ禍でオンライン診療が可能になったので、この機会にぜひ忙しい女性の皆さんにもピルという選択肢を知ってほしいです。
おせっかいと言われてもいい! ピル同梱の「知識カード」に込めた意味
――そもそも、どうして最近、低用量ピルが注目されるようになったのでしょう?
実は、生理トラブルって現代女性にこそ起きがちだと言われているんです。昔の女性に比べて妊娠・出産の回数が少なくなっているので、その分、生涯に経験する月経の数が大幅に増加しているというデータが出ています。でも、当然ながら女性の生物学的な機能はアップデートされていません。現代女性のからだにかかる負担は大きくなっていると言えます。
――だからこそ、生理ケアは必要なんですね。
みんな、仕事でもプライベートでもやりたいことがたくさんあるじゃないですか。その時間を生理、ひいては女性ホルモンに邪魔されるんじゃなくて、ご機嫌に過ごしてほしい。そのためにはやっぱり、低用量ピルの存在はもちろん、いろんな情報を持っておく必要があると思うんです。
▲提供写真
「メデリピル」では、毎月のピルと一緒に「知識カード」というものを同梱しています。ポストカードサイズで気軽に読みやすく、説教臭くならないようにデザインにもこだわっているんです。
――ほんとだ、かわいい! しかも、月1であれば読むのもしんどくならず、ちょうどいいペースですね。どんな内容が書かれているんですか?
日々できる生理ケアや妊娠・出産についての知識、年代別に受けた方がいい検査項目まで内容はさまざま。ちらっと目に触れるだけだとしても、何も知らないよりずっといいと思うんです。
――まさに過去の坂梨さんが知りたかった情報が詰まっているんですね。
そうなんです。やっぱり必要に迫られるまでは、自ら調べようとしないじゃないですか。だからこそ、おせっかいかもしれないけど「これは知っておいてほしい!」と思う情報をお届けしています。
32歳にして更年期に。女性の人生は「女性ホルモン」に支配されている
――今後はどんなビジネスを展開していく予定なんですか?
今一番関心を持って調べているのが、更年期のこと。実は私、32歳にして更年期症状に悩まされているんです。すでにホットフラッシュと呼ばれる火照りの症状や、苛立ちなどの精神的な症状も感じています。
――そうなのですね。まだ30代となると、その症状を「更年期だ」と気づくのも難しそうです。
私の場合は自分が「早期閉経」の状態だと知っていたので「更年期かも」と気づくことができましたが、そうでなかったら気づけないかもしれませんね。でも、更年期同様の症状も実は早い人では20代後半から始まると言われています。マイナビウーマン世代の女性にとっても、遠い話ではないんです。
――そう考えると、生理だけでなくたくさんの課題がありますね。
私たち女性の人生って、ずっと女性ホルモンに支配されているんですよね。私自身が生理不順、不妊、更年期と、人より早くさまざまな課題を経験してきたからこそ、サービスを通じて女性たちの人生のサポートをしたいんです。
――経験にもとづいた坂梨さんの言葉、すごく説得力があります。最後に、マイナビウーマン世代に伝えたいメッセージを聞かせてください!
まずはやっぱり、婦人科検診を定期的に受けてほしいと思います。そして、仕事を頑張っている人が多いと思いますから、仕事と自分のケアを両立できるよう、ぜひ会社の制度も利用してほしいです。
最近では、福利厚生の一環として低用量ピルサービスを導入する企業も増えてきましたが、そういった取り組みの多くは女性従業員の声から実現していることもあります。毎月のピル代約3,000円も結構な負担だと思いますから、会社に補助を頼るのもアリ。ぜひ「言ったもん勝ち」精神で、仕事もセルフケアも充実させてほしいと思います!
Information
メデリピル
いつでもスマホから簡単に受診できる、「誠実」と「続けやすい」を大事にしたオンラインピル診療サービス。初月ピル代無料、診療代はずっと無料。オンライン診療は待ち時間無く受診でき、診療代が無料だからこそ、服用中のちょっとした悩みも産婦人科医に相談できます。
※この記事は2022年09月09日に公開されたものです