
【File51】いい女を演じていたら5股された話
今振り返れば「イタいな、自分!」と思うけれど、あの時は全力だった恋愛。そんな“イタい恋の思い出”は誰にでもあるものですよね。今では恋の達人である恋愛コラムニストに過去のイタい恋を振り返ってもらい、そこから得た教訓を紹介してもらう連載です。今回はマミィさんのイタい恋。
嫌われたくないから言えない! が悲劇の始まり
彼は、私の好きな顔かつ大学時代の憧れの先輩でした。
大学時代は、お互い同級生の恋人がいたので、「何となくいいなあ」という感じだったのですが、関係が発展したのは、私が大学を卒業し上京してから。
私は大学を卒業し、大学時代の彼と別れ、舞台女優になる夢を持ち、東京でアルバイトを掛け持ちしながら劇団員として活動していました。一方、当時の彼は、東京で会社員として働いていました。
ある日、「飲まない?」と彼からの連絡で、2人で何回か飲むように……。
彼はイケメンなのに聞き上手、盛り上げ上手。
「こんなにイケメンで楽しい男性だから、モテているに違いないのに、彼女いないのかな? まだ大学時代の彼女と付き合っているのかな?」
と思っていることを聞けないまま、何となくのお付き合いが始まりました。
お付き合いが始まっても、連絡取れない状態が1週間続いた時もありました。それでも、本当は会いたいのに、それを伝えてしまうと嫌われるんじゃないかと我慢していました。
とにかく、自分が思っていること、感じていることを何も言えなかった。嫌われたくなかったから。
そうこうするうちに、一年の月日が経ち、お互いの賃貸契約更新のタイミングで、一緒に住む流れとなりました。
婚約者に5股され婚約破棄に……
「3カ月後にはお互いの両親に会いに行こう!」
そんな結婚に向けた具体的な話も出ていたのですが、一緒に住み始めて2週間経った時に事件は勃発。
明け方、緊急の用事で電話しなくてはならない時、自分の電話が使えない状態だったので、寝ている彼を起こし、携帯電話を貸してほしい旨を伝えました。
彼は寝ぼけながらも、快く私に携帯を貸してくれました。そして、私は電話での用事を済ませ、携帯を切ろうとした瞬間に、
「昨日は楽しかったね。腕枕もありがとう」
というメッセージが彼の携帯に入ったのです。
そういえば、昨日、彼が帰って来るのは遅かった、とザワザワする気持ちで彼のメール受信箱を開いたところ……。
何人かの女性とのやり取りを発見したのです。
もう、寝耳に水というか、頭の後ろをハンマーでガツンと叩かれたような感じ。一瞬にして私は地獄に落とされたような感覚でした。
まさか、まさか、まさか、私が浮気されるなんて。しかも少なくとも5人の女性とのやり取りだし。
しばらく、ボーッとしていた私から、起きた彼は携帯を奪い取りました。
「ごめん、メール見ちゃった」
という私の言葉で、
「ごめんなさい。もうしないです」
と頭を下げる彼。ずっと土下座していたのを覚えています。
都合のいい女、おかんのような女だった私
私がお付き合い初めに、ちゃんと彼に彼女の有無を確認しなかったこと、連絡が取れない時に「連絡貰えると嬉しいな」「早く会いたいな」と自分の本音を伝えられなかったことにより、彼にとって都合のいい女になっていた私。
どんなことをしても許してくれるおかんのような女に思われていたのかもしれません。
それから、夜遅くに帰らないという約束をしてくれたのにもかかわらず、何度も明け方頃に帰ってくる彼に対して、私はもう信用が無くなってしまい、半年後に私はその家を出ました。
イタい恋から得た教訓「“いい女”はやめて本音で向き合おう!」
今思えば、5股が発覚した時、本気で彼を怒ることが出来れば良かったのかもしれない。あんなつらい時でさえ、物分かりのいい女でいようとした。物分かりいい女でいれば、私だけを愛してくれると勘違いしていた。
男性に察してもらおうなんてのは、勘違い甚だしい。本気で伝えないと女性の気持ちなんて分かってもらえない。
だからこそ、今の夫が少しでも怪しい行動を取ると、
「我慢して爆発して家を突然出るなんてことをしたくないから伝えるんだけど、その行動は怪しいと思う」
と、ちゃんと自分が思っていることを相手に伝える。
「ずっと一緒に居たいから伝えるんだけど」
「すごく好きだから伝えるんだけど」
と枕詞をつけながら。
なぜ伝えようとしているのかが理解できると、男性も納得してちゃんと話を聞いてくれるから。今の私は、夫に対して腹の中に溜めていることは一切なし。全部伝えている。
5股男の経験を踏まえて、分かったことは、本音で伝えないと本音は返ってこないということ。
「会いたい」
「こうしてもらえたら嬉しい」
自分の奥底の気持ちを伝えるからこそ、相手も真摯に私に向き合ってくれる。
余談ですが、当時、婚約破棄になってしまった理由を母親に告げた時に、母が私に言ったセリフがあります。
「バカな男やったんやね。バカにつける薬はないけど、タレならある。バカタレ!」
母が私の代わりに5股男に叫んでくれたことは、一生忘れられない出来事です。
(文・マミィ、イラスト・菜々子)
※この記事は2022年05月22日に公開されたものです