【FP解説】30代女性の平均貯金額は? 老後のためにいくら必要?
効率的にお金を増やす方法3つ
ここからは、初心者でも始めやすい投資の種類やメリット・デメリットを解説します。
つみたてNISA
つみたてNISAは、少額から、長期的に分散投資を行うための非課税制度ですです。年間40万円までの範囲で、毎月自分で決めた金額を投資できます。
つみたてNISAのメリット
つみたてNISAのメリットは、通常なら投資の運用利益などにかかる約20%の税金が非課税となることです。
投資できるのは年間40万円までで、20年間非課税になるため、最大で800万円までが非課税ということになります。
つみたてNISAのデメリット
つみたてNISAで投資ができるのは、金融庁が選定した投資信託だけ(2021年10月25日現在で201本)です。株などと比べると選択肢が少ないため、多くの銘柄から選びたい人にはあまり向いていません。
ただ、初心者の場合は「何を選んだら良いか分からない」という場合がほとんどだと思うので、これはむしろメリットともいえるかもしれません。
iDeCo
前段で年金の金額について紹介しましたが、この公的年金に加えて給付を受けられる私的年金制度の1つにiDeCoがあります。
iDeCoでは自分で毎月積み立てて運用した掛金を、60歳以降に一定期間ごとに分割で年金として、または一括で一時金として受け取ることができます。
iDeCoのメリット
iDeCoには、さまざまな税制上のメリットがあります。
まず、拠出した金額が全額所得控除(=所得から差し引かれる金額)となり、所得税と住民税が少なくなるという節税効果があります。
また、通常は投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoで得た利益には税金がかかりません。
そして一時金で受け取る場合は退職所得控除が、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用されるため、一定額まで税金がかかりません。
iDeCoのデメリット
デメリットとしては、60歳まで引き出せないということが挙げられます。
将来のために強制的に貯金をするという点ではメリットにもなりますが、「すぐにお金が必要」という時に崩すことはできないので、手元の生活資金は別で確保しておくようにしましょう。
またiDeCoは金融機関によって口座管理手数料の金額が異なります。掛金が少ない場合は手数料が割高になることもあるので、金融機関選定には注意が必要です。
企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業型DCもiDeCoと同じで、毎月一定の掛金を運用することで公的年金にプラスして受給できる私的年金制度の1つです。
企業型DCは全ての企業で利用できるわけではないので、まずは勤務先で企業型DCを導入しているか、担当者に確認してみましょう。
企業型DCのメリット
企業型DCは、iDeCoと同じで拠出した金額が全額所得控除となり所得税と住民税が少なくなる節税効果があります。
また、通常の資産運用で発生する利益への約20%の税金は非課税で、受け取る時にも控除が受けられるため一定額までは税金がかかりません。
また、選択制企業型DCの場合は社会保険料の負担を引き下げられる可能性もあります。
なぜなら選択制企業型DCの場合は拠出する分の金額が給料としてカウントされなくなり、社会保険料の基準になる標準月額報酬が下がることがあるからです。
企業型DCのデメリット
企業型DCデメリットは、60歳まで引き出せないことです(加入期間が10年未満だと受給開始は61~65歳)。
また、選択制企業型DCの場合は、先ほど説明した標準月額報酬変動の影響で老齢年金や障害年金など社会保険からの給付金額が減る可能性もあります。
65歳まで投資をしたらいくら貯まる?
35歳から65歳まで投資を続けたら、どれくらいお金が貯まるのでしょうか? 利回りが3%・5%・7%の場合のシミュレーションを確認してみましょう。
利回り3%の場合
毎月1万円積み立て | 毎月2万円積み立て | 毎月3万円積み立て | |
45歳時点 | 140万円 | 279万円 | 419万円 |
55歳時点 | 328万円 | 657万円 | 985万円 |
65歳時点 | 582万円 | 1,165万円 | 1,748万円 |
利回り5%の場合
毎月1万円積み立て | 毎月2万円積み立て | 毎月3万円積み立て | |
45歳時点 | 155万円 | 311万円 | 466万円 |
55歳時点 | 411万円 | 822万円 | 1,233万円 |
利回り7%の場合
毎月1万円積み立て | 毎月2万円積み立て | 毎月3万円積み立て | |
45歳時点 | 173万円 | 346万円 | 519万円 |
55歳時点 | 521万円 | 1,042万円 | 1,563万円 |
65歳時点 | 1,220万円 | 2,440万円 | 3,660万円 |
毎月3万円の積み立てでも、利回りが7%なら65歳までに3,000万円以上貯まります。投資をせずに毎月9万円を貯金した額よりも多くなる計算です。
ただし、高いリターンを求めようとするとリスクも上がります。自分がどの程度リスクを許容できるか考えてから、投資を始めましょう。
貯金の適正額を知るためにライフプランニングを
ここまで、30代から老後に向けた貯金額や、貯金方法について解説しました。
実際には、人それぞれ職業や年収、生活スタイルや価値観などが異なるので、「みんなと同じなら安心」ということはありません。
例えば結婚式や海外旅行など、どのタイミングでどれくらいの支出がありそうかライフプランニングを行ってシミュレーションをすることで、自分に合った貯金額や貯蓄方法を見つけましょう。
(FP Office 根本寛朗)
※画像はイメージです
※この記事は2021年11月30日に公開されたものです