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「ジレンマ」の意味とは? 使い方と例文&類語・対義語

武田 麻希

「ジレンマ」を用いた用語

「ジレンマ」を使った表現として、会話や文章で使われる言い回しがいくつかありますので、覚えておきましょう。「ジレンマ」を用いた代表的な表現を紹介します。

「囚人のジレンマ」とは

囚人のジレンマ【しゅうじんのジレンマ】

ゲームの理論における重要な概念の一つ。個人が自らの利益のみを追求している限り、必ずしも全体の合理的な選択に結びつくわけではないことを示している。

(『デジタル大辞泉』小学館)

2人の容疑者が別室で尋問された場合、一方が黙秘し、もう一方が自白するのか、双方が黙秘あるいは自白するのかで、与えられる刑が異なる「ジレンマ」を表現した用語です。

例えば、2人ともが黙秘すると懲役2年ですが、2人とも自白すると懲役5年になる。一方、1人が自白し、もう1人が自白しない場合、自白した方は無罪・自白しない方は懲役7年になってしまう、など。

このように、それぞれが自分にとって最も魅力的な選択肢を選んだ場合、協力した時よりも悪い結果を招いてしまうのです。自分の利益だけを追求して選択すると、結果的に俯瞰では合理的な判断とならないことを指して使われます。

「安全保障のジレンマ」とは

自分の国の安全補償のために軍備増強や同盟締結などを行った結果、他国からは攻撃するための行動と受け取られてしまいかねません。

対抗措置を取られてしまい、結果的に双方の相対的な安全が低下してしまうことも。このような状況が「安全保障のジレンマ」です。

「イノベーションのジレンマ」とは

技術の進歩が市場の需要を上回ると、新しく革新的な技術でも市場のニーズに合わないことはあります。また、革新的な技術があっても、その技術を製品に採用することで製品の性能が逆に低下してしまうことがあるのです。

例えば、新しくデジタルカメラが登場したばかりの頃は、フィルムカメラよりも画質は粗く、デジタルカメラ市場への参入を見送っていたフィルムメーカーもありました。しかし現在はデジタルカメラが主流となっています。

このように、技術革新と市場のニーズが合わないことで起こるのが「イノベーションのジレンマ」。

また、業界トップになった企業が顧客の意見を聞いて、高品質な製品やサービスを提供していると、技術革新に遅れを取ることもジレンマとしてあります。

「ヤマアラシのジレンマ」とは

「ヤマアラシのジレンマ」とは、相手に近づきたいと思っても、傷つくのをおそれて一定の距離以上は近づけない心理のことです。

対人関係で人との適切な距離を見い出せない状態を、体に針があってお互いに近づけないヤマアラシにたとえて表現しています。

「デジタルジレンマ」とは

ストレージは維持管理にコストがかかります。情報をデジタルデータ化して保存することは、短期的な視点では効率化のメリットがあるものの、長期的にはアナログな保存方法よりもコストがかさんで非効率的になってしまう点を表現したのが「デジタルジレンマ」です。

また、アナログな物体保存に比べ、マスタデータが破損してしまうと二度と取り戻せないデメリット(確実性の低さ)もデジタルジレンマとしてとらえられています。

次ページ:「ジレンマ」の類語と対義語

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