寸志の意味とは? 言葉の使い方や金額・渡し方&受け取り方
「寸志」と似た表現
最後に、「寸志」と似た表現を押さえていきましょう。ほぼ同じ意味合いで使うこともできますが、細かな違いを理解していないと恥をかいてしまう場面も……。
いくつか代表的な例を紹介していきます。
「寸志」と「ボーナス」「賞与」の違い
「寸志」と聞いて、会社から支給される「ボーナス」や「賞与」を思い浮かべる人もいるでしょう。
一般的に「ボーナス」「賞与」は、給与とは別に払われる特別手当のこと。“給与とは別に”といったポイントが、「寸志」との共通点に感じる人もいるのでしょう。
しかし、その大きな違いは、まず相場感にあります。「寸志」とはわずかな気持ち。そのため、相場は1万円前後であることが多いと先述しました。社員に特別手当として渡される場合も、そのニュアンスを考えると1~10万円程度と考えるのが普通でしょう。
一方の「ボーナス」や「賞与」は年齢や役職にもよりますが、平均30万円前後とされています。
従って「寸志」は、入社して間もない社員などに「満額の賞与は渡せないけれど、頑張ってくれたお礼」といった意味合いで渡される場合があるようです。
「寸志」と「志」の違い
「志」と書いて、「こころざし」と読みます。「志」は元々厚意を指す言葉。好意や謝意を込めた贈り物のことを示し、故人に供える物としての意味合いも持ちます。
同じ「志」という漢字が使われるので混同しがちですが、一般的に葬式などの不祝儀として渡されるのが「志」。葬儀に参列した際に渡される香典返しの表書きとして、馴染みのある人も多いでしょう。
このように「寸志」と「志」が渡される場面の違いが分かっていないと、相手に不快な思いをさせてしまうことがあるので気をつけましょう。
「寸志」と「心付け」の違い
「心付け」は「こころづけ」と読み、感謝やお祝いとして渡すちょっとしたお金や物のことです。海外で一般的なチップのような意味合いとして紹介している辞書もあります。
結婚式でお世話になるスタッフに渡したり、自分を送迎してくれた運転手に渡したりする「心付け」。従って、「寸志」も「心付け」も基本的には同じような場面で使われる言葉です。
そのニュアンスの違いを辞書などからひも解くと、「寸志」には“へりくだった表現”という説明が添えられています。わずかばかりという気持ちが強い場合は、「寸志」とするなどの使い分けをするのもいいでしょう。
「寸志」と「金一封」の違い
「金一封」は「きんいっぷう」と読み、袋に包んで贈られる金銭のことです。「包み金」などとも言われ、一般的には金額を明らかにしたくない場面で「金一封」として渡します。
賞金や寄付金、礼金などを渡す際に使われる表現。金銭を渡すという意味では「寸志」との共通点がありますが、やはり「寸志」のほうがへりくだった印象を含む言葉でしょう。
そこに込められた思いや状況を鑑みて、言葉を選ぶと適切に使えるはずです。
■「寸志」は気持ちのやりとり
「寸志」において、物や金額のやり取りが重要なのではありません。相手の気持ちを受けること、そして自身の気持ちを贈ることが大切です。
その際に失礼のないよう、マナーを理解し、正しい寸志の意味や使い方を知る必要があるのです。
あなたも相手も気持ちのいいやり取りを目指し、周囲の人たちと良好な関係を築いていきましょうね。
(moeka)
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※この記事は2021年04月30日に公開されたものです