「僭越ながら」の意味とは? 使い方・例文・類語
「僭越ながら」はどんな場面で使う?
「僭越ながら」の意味から考えると、次のような意味合いでクッション言葉のような形で使うことができます。
・出しゃばってしまいますが
・身の程知らずで厚かましくも
・自分の地位や立場をわきまえずに差し出がましくも
・出過ぎたことですが
「僭越ながら」を使うのにふさわしい場面にはどのようなものがあるでしょう。
大きく分けると2つの場面があります。
・大勢の人を前に挨拶する時
・目上の人に身分・地位を超えて何かを言う/する時
大勢の人を前に挨拶する時
祝賀会や結婚式などでは、さまざまな立場・年齢の人が大勢集まります。自分よりも役職や地位、年齢が上の人もたくさんいるはずですね。
そんな時、挨拶のスピーチや乾杯の音頭などを頼まれたら「僭越ながら」と前置きしてから始めるといいでしょう。
「他にもふさわしい方がたくさんいらっしゃるので、本当は私では分不相応ですが」というニュアンスで使います。
また、上司の代理で挨拶する場合にも、よく「僭越ながら」と前置きします。
「僭越ながら」の他に、「僭越ではございますが」「僭越に存じますが」なども使えます。「甚だ」「誠に」を加える場合もあります。
以下に例文を挙げます。
・「本日は開発部長の畑中がよんどころない事情にて欠席しておりますため、僭越ながら、代理の私近藤より皆様にご披露のご挨拶をさせていただきます」
・「ただいまご紹介にあずかりました斎藤と申します。僭越に存じますが、一言ご挨拶を申し上げます」
・「それではご指名を受けましたので、甚だ僭越ではございますが、乾杯の音頭を取らせていただきます」
・「それではご指名を受けましたので、誠に僭越ではございますが、乾杯の音頭を取らせていただきます」
目上の人に身分・地位を超えて何かを言う/する時
「僭越ながら」は、大勢の人の前(1対多数)だけでなく、目上の人がいる1対1、1対少数の場でも使えます。
自分より役職、地位などが上の人に対して、何かを進言したり、行ったりする場合の表現です。
主に「頼まれていないのに、立場的にも出しゃばった行為ですが」というニュアンスで謙遜する場合にも使えます。
また、普段なら直接話す機会があまりないような立場の相手から何かを尋ねられたり、意見を聞かれたりする場合の答え方でもあります。
以下に例文を挙げます。
・「僭越ながら、その計画にはまだ改善の余地があるように存じます」
・「僭越ながら、私から専務のお耳に入れたいお話がございます」
・「僭越ですが、先方様のおっしゃる内容にも確かに一理あると存じました」
・「T社との共同事業が始まると伺いましたので、僭越とは存じますが、参考資料をご用意いたしました」
・「僭越ではございますが、F社との面談に私も同席させていただくわけには参りませんでしょうか?」
なお、上記の場面はいずれも、上位にいる相手に有益だと思っての言論や行動です。