「ワンチャン」の意味とは? 語源や使い方を解説【ネットスラング大辞典】
「ワンチャン」という言葉を耳にしたことはありますか? ここ最近、SNSや電子掲示板などでもよく見かけるという方も多いのではないでしょうか。このような俗語(スラング)も、言葉の意味や元ネタを調べると、思い掛けない発見があるかもしれません。今回はWebメディア評論家の落合正和さんに「ワンチャン」について解説してもらいました。
「ワンチャン」は、若者の間でよく使用されている俗語(スラング)で、SNSや電子掲示板などでもよく見かける言葉です。
インターネット起源の言葉ではないため、ネットスラングとは少し異なりますが、口語のみならずオンライン上でも頻繁に見かける言葉となっており、その意味が気になるという人も少なくないでしょう。
今回は、そんな「ワンチャン」の意味を紹介していきます。
「ワンチャン」の意味と対義語
まずは「ワンチャン」の言葉がどういう意味を持つのか、またその対義語について紹介します。
「ワンチャン」の意味は「まだ可能性がある」
「ワンチャン」は、「ワンチャンス(One Chance)」を略した言葉で、元々の意味は「1度のチャンス」、「可能性は低いけれども成功の余地がある」、「期待は薄いがまだわずかな可能性を残している」という意味で使用されていました。
言葉の浸透とともにその意味は少しずつ変化し、現在では、
・もしかしたら
・ひょっとしたら
・可能性がある
という意味を表す言葉として使われるようになっています。
大学生など比較的若い層により、さまざまな場面で幅広く使用されており、使用時の意味合いも発する人によって少し変わってきます。
なお、「ワンチャン」の使用範囲はオンライン・オフラインを問いません。
対義語は「ノーチャン(ノーチャンス)」
対義語として、「可能性がない」「もう機会が得られない」といった時に「ノーチャン(ノーチャンス)」という言葉が使われることもあります。
加えて、「ワンチャン」よりも可能性が高い、または2度の可能性や機会が生じている際、「ツーチャン(ツーチャンス)」、100%可能性があること、間違いないことを表す際に「フルチャン(フルチャンス)」という言葉使われています。
「ワンチャン」の元ネタや由来
元々「ワンチャン」は麻雀用語で、「1回のチャンスをつかめば逆転できる」という意味合いで使用されていました。
そこから、大学生などの若者を中心に次々と派生し、格闘ゲームなどの中でゲーム用語として使われたり、SNSや電子掲示板などでもよく使われたりする言葉となりました。
現在では一般層にも広がりを見せ、口語でも耳にする言葉となっています。
「ワンチャン」を使った例文
一般的な「ワンチャン」の使い方を見てみましょう。
・「期末試験、勉強不足だけど数学はワンチャンある」(期末試験、勉強不足だけど数学はもしかしたら点数を取れるかも)
・「あの先輩とワンチャン付き合えるかも!」(あの先輩とひょっとしたら付き合えるかも!)
・「次の大会はワンチャンレギュラー取れるかも」(次の大会はレギュラーを取れる可能性があるかも)
ワンチャンの類語
1度のチャンスや、今後チャンスが訪れるかもしれないと意味するワンチャン。1度きりのチャンスに備えたり、小さな可能性を意味したりといずれもチャンスに関係する用語です。
今では1度のチャンスを意味するワンチャンから派生し、チャンスの回数や度合い応じてさまざまな類語が誕生しています。
ここからはワンチャンの類語をいくつか紹介します。ぜひ、その時の状況や感情などから使い分けをしてみましょう。
フルチャン
フルチャンとはフルチャンスの略で、「可能性が高い」「大いに期待が持てる」を意味します。
主に格闘ゲーム会のプレイヤー同士で活用されていた言葉で、後にゲーム実況で使われてから瞬く間に広がったといわれています。
ワンチャンとは異なり、チャンスをモノにできると確信した言葉のため、ほとんど安心している状態ともいえるでしょう。
使い方の例として、「フルチャンでいける」「フルチャンで大丈夫です」など小さな期待や望みではなく、成功をほぼ確信しているから大丈夫いった意味合いで使われます。
ツーチャン
ツーチャンとは、チャンスが2回訪れることや、成功しやすい状態であること意味します。
ワンチャンより、さらに成功確率が高い意味として活用される言葉です。フルチャンより期待はできないが、ワンチャンより可能性が高いと解釈して問題ありません。
使い方の例として、「ワンチャンよりツーチャンでうまくいきそうな気がする」「猛練習したからワンチャンではなく、ツーチャンくる気がする」などの使い方ができます。
ノーチャン
ノーチャンとは、チャンスが限りなくゼロに近いことや、チャンスの機会に恵まれない状況を意味します。
ノーチャンスといった意味のため、「可能性がないから行動しても無駄になる」といった、あきらめの要素が強い言葉です。
使い方の例として、「あの人と付き合ってみたいが現状はノーチャンである」「すでにノーチャンとはいえ、最後まで手を抜いてはいけない」といったように、チャンスをモノにする可能性がなかったり、チャンスに恵まれなかったりする状況で使用される言葉です。
ネット上では、「すでにあきらめてしまい気力がない状態」として活用されます。
さまざまな使われ方をするからこそ注意が必要
言葉の意味に幅があり、さまざまな使われ方をされている「ワンチャン」。
中には特に全く意味を持たせることなく、ノリで使用しているケースもあります。
このように、「ワンチャン」は未だ明確な定義付けが難しく、使用方法や意味・解釈が現在進行形で揺らいでいる俗語なのです。今後さらに派生や枝分かれが起こり、変化を続ける言葉なのかもしれません。
そのような俗語であるために、この言葉を嫌う人、違和感を持つ人も少なくありません。使用する場合、特に年代が異なる人とのコミュニケーションの際には注意が必要ですね。
(落合正和)
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※この記事は2021年01月08日に公開されたものです