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浮気していないのに性病になったら。彼氏への伝え方や対処法は?

宋美玄(産婦人科医・医学博士)

主な性病の種類と症状

最後に、20代~30代がかかりやすいとされる主な性感染症と、その症状を解説します。症状が出にくいものや、症状が収まったと思ったらぶり返してくるものもあり、注意が必要です。

クラミジア感染症

日本で最も多い性感染症です[*1]。感染すると男性は軽い排尿痛を感じることもあります。女性は無症状の場合が多いです。そのため気付かないうちに進行し、卵管炎、腹膜炎、子宮外妊娠を引き起こしたり、不妊の原因になったりすることがあります。

オーラルセックスやアナルセックスで喉や肛門にも感染します。女性の場合、感染後、1~3週間で発症します [*2]。

梅毒

近年、患者数が急増し、とくに若い女性の感染が増えている性感染症です。感染力が強く、粘膜や皮膚の小さな傷からでも感染することがあります。

発症は感染の約1カ月後。性器や肛門、口にしこりができたり、全身に発疹が現れたりします。痛くない口内炎や原因不明の皮膚の発疹などがあると要注意です。

しかし、しばらくするとそれらの自覚症状がなくなるため、治ったと思い込み、放置しがちです。発見が遅れると脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。妊娠中に感染した場合は、赤ちゃんに障害が出ることがあります。

淋病(淋菌感染症)

感染力が非常に強く、性器のほかに喉、直腸にも感染します。男性にはすぐにはっきりした症状(ペニスから粘液や黄色の膿が出るなど)が現れますが、女性は無症状のことが多く、進行して初めて感染に気付くことがあります。

女性でも症状がある場合は、男性同様、性器周辺から緑黄色の濃いおりものや膿が出ます。放置すると不妊の原因になることも。感染後、2~7日で発症します。

腟トリコモナス症

一般的に男性よりも女性に強い症状が出る性感染症です。男性は無症状のことが多く、あっても軽い排尿痛や頻尿程度ですが、女性は強い悪臭がする白や黄色っぽい泡状のおりものが大量に出てきたり、デリケートゾーンにかゆみや痛みが生じたりします。

なかには女性でも症状がない場合もありますが、症状がない場合でも他人に感染させることはあります。感染から発症までは1~3週間です。

尖圭コンジローマ

性器周辺に小さな尖ったイボができる病気です。できたイボが集まると小さなカリフラワー状になります。ただし、イボができないケースもあり、痛みやかゆみなどの自覚症状もほとんどないので、感染に気付かないことが少なくありません。

子宮頸がんを引き起こすことで知られるHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが原因ですが、子宮頸がんを発症させるHPVとは型が異なります。数週間~3カ月間という長い潜伏期間を経て発症します。

なお、子宮頸がんワクチンのうち、4価(4種類のHPV感染を予防できる)と9価(9種類のHPV感染を予防できる)のワクチンには尖圭コンジローマの予防効果もあります。尖圭コンジローマは出産時、赤ちゃんに感染してトラブルを引き起こすこともあるので、可能であればワクチンを接種しておくと安心です。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスに感染することで発症します。無症状のことが多いですが、性器に小さな水ぶくれやただれができることがあり、なかには激痛で排尿困難や歩行困難を生じる人もいます。

一度感染すると、治療してもウイルスを体から完全に除去することはできないため、疲労などにより体の免疫が低下すると何度でも再発します。初回の発症は感染後3~7日で起こります。

なお、よく間違われるのですが、腟カンジダ症は性感染症ではありません。腟カンジダ症は腟の常在菌であるカンジダというカビの一種が、体力が低下したり抗生剤を飲んだりすると活発になって不快な症状が現われる病気のことです。

原因は腟の常在菌ですので、性行為によって感染するわけではありません。腟カンジダ症になると、外性器に強いかゆみが生じたり、クリーム色の濁ったおりものやカスのように固まったおりものが出たりすることがあります。

こうした症状がある場合は病院で診てもらい、必要に応じて治療を受けましょう。

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