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ひどい手荒れ、これってなに? 皮膚の炎症「手湿疹」の症状とその対策

横井彩(皮膚科学会認定専門医・医学博士)

手湿疹の症状

手湿疹では、皮膚の赤みや水疱などさまざまな皮疹(ひしん)※が混在して起こります。ヒリヒリする痛い感覚やかゆみを伴うことも多く、最初は刺激を受けやすい利き手の指先や手のひらから始まることが多いです。そして、対策をしないまま炎症が長期間続いてしまうと、皮膚が硬くごわついた慢性湿疹の状態になることもあります。

湿疹という言葉はよく聞きますが、具体的にどういう状態を指すのでしょうか。湿疹の症状と進行過程をまとめた「湿疹三角」という図(下図)があるので、これをもとに主要な症状を見てみましょう。発症初期(急性期)には紅斑やびらんなどの症状(図中のグリーン部)が混在して現れ、それが慢性化してくると苔癬化、色素沈着のような症状(図中のオレンジ部)も現れるようになります。

つまり、湿疹は、赤い・ブツブツ・水ぶくれ、ジュクジュク、これらのどれか一つの皮疹を指しているのではなく、これら全部またはいくつかの皮疹が一緒に存在している状態を指しています。

※皮疹:皮膚に現れる病変の総称

手湿疹の典型的な症状

紅斑(こうはん)

炎症による血管の拡張・充血で皮膚に赤みが出た状態

丘疹(きゅうしん)

半球状や扁平な形に小さく隆起した状態

小水疱(しょうすいほう)

無色の水様性の液が中に入った皮膚隆起。いわゆる水ぶくれ

膿疱(のうほう)

水疱の内容が膿であるもの。白色〜黄色

びらん

水疱や膿疱が破れた後にできることが多い、赤くジュクジュクと湿った状態

痂皮(かひ)

びらんから滲み出た液や血液と角質が皮膚の表面に固着したもの

落屑(らくせつ)

角層が皮膚表面に溜まって厚くなり鱗状に剥けて脱落する状態。正常な皮膚の状態では目に見えない

苔癬化(たいせんか)

炎症が慢性的に続いた結果、皮膚が厚くなり硬くなった状態。ゴワゴワ、デコボコした状態

色素沈着(しきそちんちゃく)

炎症が繰り返された結果、その箇所の皮膚が黒ずんでいる状態

手湿疹が悪化した場合はこんな症状も

さらに手湿疹が悪化すると、眠れないほどの強いかゆみや、熱を持ったように感じ、亀裂(ひび割れ・あかぎれ)による出血など、日常生活に支障をきたす症状が現れることがあります。

次ページ:手湿疹のさまざまな要因

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