ひどい手荒れ、これってなに? 皮膚の炎症「手湿疹」の症状とその対策
手湿疹を治す方法
手湿疹を治すにはどうしたらいいのでしょうか。根本的な解決法から手のケアの方法、市販薬の選択などについて見てみましょう。
手への刺激を避ける。手袋によるケアも有効
手湿疹を治すために最も重要なことは、原因となる刺激を避けることです。まずは自分の日常生活の中に刺激になっていそうな行為について思い起こしてみましょう。
例えば水仕事が多い方には、作業時にゴム製/ポリ塩化ビニル製の手袋を着用して手を保護するのがおすすめです。ただし、ゴムなどの手袋を長時間着用するのも、汗をかきやすく刺激となりやすいので要注意。手袋の下にもう1つ綿の手袋をはめたり、長時間の連続着用を避けたりすることが効果的です。
手は日常生活で最も使う部位なので、手への刺激を完全になくすことはできません。自分の生活の中で何が手に刺激・負担となっているかを考えて、できる範囲での負担を減らすようにしてみましょう。
ハンドクリームなど保湿剤も手湿疹対策になり得る
ハンドクリームなど、皮膚の保湿剤も手湿疹対策として考えられます。手湿疹の最も大きな要因の一つは乾燥です。ハンドクリームで頻回に保湿する習慣は手湿疹の再発予防に効果的です。
手荒れは薬剤による治療の対象だが最初は市販薬も選択肢の一つ
本来は、症状があればすぐに皮膚科に行くのが最善ですが、手がかゆいだけで皮膚科を受診するのは時間的に難しいことも。
そんな時にはまず市販薬を試してみるのも手です。手湿疹に有効と考えられる市販薬にはステロイド外用薬(塗り薬)と抗ヒスタミン薬(飲み薬)の2種類があります。ステロイド外用薬は炎症や過剰な免疫反応を抑える薬です。
また、かゆみがひどい場合には、炎症反応を起こす神経伝達物質の働きを抑える抗ヒスタミン薬により少し和らぐこともあります。ただし、抗ヒスタミン薬の飲み薬に荒れた皮膚自体を治す効果はありません。
ステロイド外用薬だけに限らず薬は適切ではない使用によって望まない症状が出る可能性があります。数日使用してみても改善しない場合はなんとなく使い続けず、早めに皮膚科を受診しましょう。その際、「これを〇〇日くらい塗ってみたんだけど……」と塗っていた市販薬を持参すると治療の助けとなることがあります。
わざわざ持っていかなくても、スマートフォンでお薬の写真を撮って皮膚科の医師に見せるのもいいですね。
原因がわからない、なかなか治らない時には皮膚科へ
手湿疹はとてもありふれた皮膚疾患で、誰もが発症する可能性があります。
軽い状態なら、手への刺激になっていることをできるだけ減らして、保湿をしっかり行うだけでも改善することがあります。しかし、これらの対処では改善せず、さらに市販薬を試しても改善しないような場合には早めに皮膚科の医師へ相談してください。
手湿疹は誰でも、いつでも、何度でもなります。軽い段階で治療した方が、早く元気な皮膚を取り戻すことができます。
手湿疹にならないための適切な予防・対策をとることはもちろんですが、手湿疹がすでに起きている状態であっても「どうせ繰り返すから」と放置せずにしっかり対処しましょう。
(文・構成:株式会社ジーエムジェイ、監修:横井彩先生)
※画像はイメージです
参考
日本皮膚科学会ほか〔編〕:手湿疹診療ガイドライン.日本皮膚科学会雑誌128(3):367-386,2018.
(https://doi.org/10.14924/dermatol.128.367)
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(https://doi.org/10.14924/dermatol.130.523)
清水宏:あたらしい皮膚科学 第3版.中山書房,2018.
武村俊之:ファルマシア28(1):61-65,1992.
(https://doi.org/10.14894/faruawpsj.28.1_61)
※この記事は2020年11月11日に公開されたものです