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変態レベルで「好き」を極める。速水もこみちのストイックな“料理愛”

太田 冴

マイナビウーマンのコア読者は“28歳”の働く未婚女性。今後のキャリア、これからどうしよう。結婚、出産は? 30歳を目前にして一番悩みが深まる年齢。そんな28歳の女性たちに向けて、さまざまな人生を歩む28人にインタビュー。取材を通していろんな「人生の選択肢」を届ける特集です。

2002年のデビュー以来、俳優業のみならず、料理家としても活動の幅を広げる速水もこみちさん(35歳)。

朝の情報番組『ZIP!』での料理コーナー『MOCO’sキッチン』は大きな話題を呼び、8年間続く大人気コーナーとなった。

現在はドラマ『この男は人生最大の過ちです』で主演を務めながら、昨年9月に開設したYouTubeチャンネル『M’s TABLE』にてオリジナリティ溢れるレシピを多数紹介している。

俳優・料理家として順風満帆にも見えるそのキャリアの背景には、どのような想いがあるのだろうか。

料理の仕事は「挑戦」だった

今から遡ること17年前。18歳で俳優としてデビューした速水さん。

「アルバイトもしたことのない状態で飛び込んだ世界。ドラマで役を演じていく中で、仕事をすることの楽しさというものを感じました。よくわからないなりにも、スタッフみんなで一生懸命になってひとつの作品を作り上げていく、ということがとても新鮮で、素直に楽しいな、と思いましたね」

料理番組への出演やレシピ本の出版など、料理の仕事をはじめたのは、25歳だった。幼いころから料理が大好きだったという速水さんにとって、料理を仕事にする、ということは大きな挑戦だったという。

「20代前半のときは、日頃から自分が作っているレシピを紹介するのは、正直抵抗があったんです。自分が大切に作ってきたレシピをとられてしまうんじゃないか、という気持ちがあった。

ただ、ある程度仕事をしてきて、気持ちの余裕が生まれ、番組をやりたいなと思いはじめたタイミングで『MOCO’sキッチン』のオファーをいただけたご縁もあり、それまで無限に考えてきた自分のレシピを紹介してみよう、と挑戦する気持ちになったんです」

大好きな「料理」を仕事にする。番組作りへのこだわりは、並々ならぬものだったという。

「ちょうど番組自体が切り替わるタイミングだったのもあって、コーナーのフォーマットからすべて自分で考えました。やるからには責任を持って、おいしいものを作っていこう、と徹底してこだわって作ったコーナーなので、3年は続くだろうなという確信はありました。でも、まさか8年もやらせていただけるとは。

『MOCO‘sキッチン』では1896品のレシピを紹介しましたが、それでもまだ視聴者からのレシピの要望メールが7万通くらい残っていたんです。本当に視聴者の方に盛り上げて支えていただいたコーナーだと思います」

ベースにあるのは「料理って楽しい」という気持ち

料理家としての仕事をはじめたことで、俳優業とはまたちがったやりがいを感じられたと、速水さんは語る。

「どこに行っても、料理の話が上がるようになったんですよ。街を歩いていても、『僕、好きな子にあのレシピ作ってあげたんですよ!』って親指立てて笑顔で報告してくれる男の子がいたり、スーパーで食材を買っている最中にも『今晩、私なに作ればいいかしら?』って話しかけてくださるマダムの方もいらっしゃったり(笑)。

食を通してのコミュニケーションの輪が広がったことが、とてもうれしいです。俳優業では『ドラマ、おもしろいです』って言ってくださる方が多いけれど、料理だとより深い会話に繋がる。料理という、生活に寄り添っているものだからこそ生まれるコミュニケーションだと思いますね」

テレビでの活躍のみならず、20冊を超えるレシピ本の発売、オリジナルキッチンブランドの立ち上げを経て、現在はYouTubeチャンネル『M’s TABLE』を開設するなど、活動は多岐にわたる。料理家としての仕事への向き合い方に、変化はあったのだろうか。

「僕は昔から、海外に行ったら料理の写真を撮って『これ、どうやって作ったんですか?』って聞いてまわるような人間なんです。ベースにある『料理って楽しい!』と思う気持ちは、ずっと変わらないですね。もちろん、番組作りへの責任感やコミットは強くなっていきました」

『M’s TABLE』では、速水さんが考案したレシピが多数紹介されている。その映像のカットワーク、色彩の美しさ、食欲をそそる音は、まるでひとつのショーを見ているような感覚だ。

「料理に関しては、僕は変態なんですよ(笑)。レシピはもちろん自分で考えたものですし、画作りや編集、ナレーションも含めて責任を持って関わっています。

料理番組はたくさん観てきましたが、ほかと同じことをやってもおもしろくない。せっかくだったら、自分で感じてきたこと、研究してきたことを発信していきたいと思ってやっています。あくまでも料理が主役ですからね。料理をとにかく美しく見せてあげる、というのを第一に番組を作っています」

傷つくことで、考える頭が働く

マイナビウーマンのコアターゲット読者“28歳の働く女性たち”に伝えたいメッセージは?

そう聞くと、「偉そうなことは言えないですけど」と笑いながらも、熱のこもった言葉をくれた。

「とにかくチャレンジする、っていうことですね。僕もデビューしてから、つらいことや悔しい経験もしてきたし、やりたくないと思うこともあった。でも、そうやって自分が傷つくことによって、考える頭が働くんですよ。

だから、まずはやってみることが大事。芽が出るのに何十年もかかる人もいれば、潔く切り替えて別のことをやっていく人もいるけれど、それも人生なんじゃないかな」

「あとは」とつけ加えてくれたのは、俳優業で出会った先輩たちへの感謝だった。

「人に興味を持つことって大切だな、と思います。俳優業をやっていると、たくさんの人生の先輩に出会います。先輩方の築いてきた仕事のやり方や姿勢を見ているだけでも、僕にとってはプラスになっていますから」

今回、YouTubeチャンネルの撮影現場でお話を聞かせてもらったが、速水さんが最後の最後までレシピの細かい部分を調整したり、ナレーションを考えたりしながらチームの中心として動いている姿を見て、そのストイックさに胸を動かされた。

「実はまだ、僕の中でのとっておきのレシピは、世に出していないんですよ」と言う速水さん。

とっておきのレシピは、いつ登場するのだろうか。これから彼が紡ぐ物語が、ますます楽しみになった。

速水もこみちさんの「人生を変えた出会い」

女優・倍賞美津子さんに言われた「心でキャッチボールをしましょう」という言葉。

『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』というドラマで親子役を演じさせていただいたとき、生意気だった当時の僕の目を覚ましてくれた言葉です。生きる上で、人と人との心のかけあいが何より大事だと気づき、気持ちの部分で大きな変化がありました。

INFORMATION

速水もこみちさん 公式YouTubeチャンネル

M’s TABLE by Mocomichi Hayami

これまで2,000品を超える料理を披露してきた速水もこみちさんが新たなスタートのひとつとして、世界各国のさまざまなレシピをお届けし、食の奥深さやおもしろさ、食に対する興味関心を惹きたてる料理動画コンテンツを続々と配信中。

INFORMATION

速水もこみちさん主演ドラマ『この男は人生最大の過ちです』

・ABCテレビ(関西):毎週日曜夜11時35分~
・テレビ朝日(関東):毎週土曜深夜2時30分~

※地上波放送終了後にTVer・GYAO!にて配信中
https://www.asahi.co.jp/konodan/

(取材・文:太田冴、撮影:佐々木康太、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2020年02月29日に公開されたものです

太田 冴

ライター/平成元年生まれ。舞台、韓国ドラマ、俳優、アイドルグループ、コスメなどを幅広く愛する雑食オタク。ジェンダー・ダイバーシティマネジメント・メンタルヘルスなどの社会問題にも関心あり。30歳で大学院に入学し、学び直しをしました。

●note:https://note.com/sae8320

●Twitter:https://twitter.com/sae8320

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