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恋愛に口出しする人 #女子を困らせる人

#女子を困らせる人

アルテイシア

アラサー女子を困らせる人はこの世にたくさんいます。セクハラ、パワハラ、マウンティング、毒親……。「男は敷居を跨げば七人の敵あり」なんてことわざもありますが、女子のほうが敵多くない? そこでこの連載ではアルテイシアさんに、困らせてくる人々に立ち向かう知恵を授けてもらうことにしました!

「そんな男やめときなよ~」「30歳なのに結婚を考えないなんておかしい!」

他人の恋愛に口を出してくる人は多い。こんなとき、女子はどうしたらいいのか。

#女子を困らせる人、今回のテーマは「恋愛に口出しする人」。対処法について述べたいと思う。

恋愛に口出しする人には2タイプいる

恋愛に口出しする人には「本気で心配して意見してくる人」と「自分の意見を押しつけてくる人」の2種類がいる。

本気で心配して意見してくる人

このタイプは、明らかなだめんずと付き合う女子に「そんな男とは別れたほうがいいよ」と意見するケースが多い。

だめんず沼の渦中にいる女子には届かない場合が多いが、それでも私は言ったほうがいいと思っている。

たとえば前回のコラムに登場した、だめんず沼からスピ沼にドンハマりした友人。「彼のことが好きなの……彼といられるなら不幸になってもいい……」とうつろな目で話す彼女に「今が絶賛不幸中やないか」と思いつつ、私は「そんな男とは別れたほうがいいよ」と言い続けた。

彼女が欲しい言葉は「好きならしかたないよね」だったと思う。でも私は、大切な友達が踏みつけられるのが許せなかった。「今は何を言っても無駄、本人が気づくまで放っておこう」とは思えなかったのだ。

その後、だめんずと別れた彼女はこう話していた。

「別れたほうがいい、と頭ではわかってたのよ。でも当時は自尊心を削られすぎて、まともな判断ができなくなってた」

「でもこんなイカれた私を見捨てず、本気で心配してくれる友達がいる、自分は踏みつけられていい人間じゃない、私には帰れる場所がある……そう思えたから、別れる決心ができたの」

その言葉を聞いて「6万回ぐらい言い続けてよかった……」と涙した私。

人には傷つく権利も不幸になる自由もある。でもやっぱり私は、友達がボロボロになるのを黙って見ていられない。だから「お節介おばさんに、俺はなる!」とCV田中真弓で宣言している。

自分の意見を押しつけてくる人

一方で「自分の意見を押しつける人にはなるまい」と注意している。

なので仕事では読者の相談に答えているが、プライベートでは「求められない限り、アドバイスはしない」とJJ(熟女)べからず帖に刻んでいる。

たとえば「もっと男性を立てなきゃ」「自己主張の強い女はモテないよ」「男は浮気する生き物だから」といったクソバイスをしてくる人。

これ系の指南を書く恋愛コラムニストもいて、著書が23万部とか売れてるのを見ると羨ましい。

が、そこで提唱される「男に選ばれる女」は「単なる都合のいい女」であり、実践するとモラ男やヤリチンに狙われたり、セフレやセカンドにされるケースが多いもの。

「恋愛に口出しする人」6つの撃退法

「恋愛に口出しする人」6つの撃退法

自分の意見を押し付けて、他人の恋愛に口出しする人は、どのように撃退したらいいのか。

(1)プーチン顔+殺気

この手のクソバイスをされたら、プーチン顔をキメよう。「貴様のアドバイスなど求めておらぬ、殺されたいのか?」と殺気を出せば、相手は退散していくだろう。

(2)bot返し+スマホいじり

殺気を出せない場面では、bot返しがおすすめだ。「へ~○○さんはそういう考えなんですね」「へ~○○さんはそういう考えなんですか」と繰り返しつつ、よそ見をしたりスマホを見たりして「クソバイス、うぜえ」とアピールしよう。

(3)笑顔で皮肉返し

ちゃんと話を聞いてあげる女子が、面倒な人にからまれやすいもの。とはいえ相手が上司や客だったりすると、露骨に「うぜえ」という態度もとれない。

クソバイス系は「女は笑顔で愛想よくなきゃ」「仕事できる女はモテないぞ」「男なんてバカだから手のひらで転がせばいい」など、旧態依然なジェンダー観を押しつけてくる。

そんな相手には「すごーい、昭和!」「安土桃山生まれですか?」と笑顔で愛想よく返すといい。そして「それうちの100歳の祖父も言ってました、その祖父が危篤なので帰りますね」となるべく早く席を立とう。

(4)明菜返し

また、「余計なお世話ofお世話だぜyeah♪」と鼻フックをキメてもいいが、鼻くそが指につくとばっちい。そこで、明菜返しをお見舞いしよう。

「彼氏はいるの?」と聞かれたら「いろいろあって……」と小声&伏し目で返すといい。すると相手は「な、なんか悪いこと聞いちゃったな」と気まずいし、「この人に恋愛の話題は地雷だ」と今後は控えるだろう。

(5)不幸返し

会社員時代、客のおっさんに猫を飼ってると話したら「ヤバいね、猫飼ってる女性は婚期を逃すらしいよ(笑)」と言われて「よくもうちの猫チャンを愚弄したなーーー!!」と怒髪天をついた。

スーパーサイヤ人になって「クリリンのことかーーーー!!」と会社ごと爆破して荒野にしたかったが、なんせ相手は客である。

そこで「うちは母がアル中で父は借金を抱えてて、私も借金の保証人になってて、結婚を考えられる状況じゃなくて……」と不幸返しをキメたら「ご、ごめんね」と客に謝らせることができた。

「ハッハー! ザマーミロ!」と完全勝利である。毒親もたまには役に立つ。かつ「デリカシーのない発言は慎むべき」と学びを与えられたなら本望である。

(6)哲学返し

「結婚には妥協が必要」「30過ぎて高望みするな」など、上から説教してくる人も多い。「独身だと老後が寂しい」「きみは若いからわかってない」と老害仕草を見せつける輩は、ただ年が上なだけなのに「自分のほうが経験値が高くて偉い」と勘違いしているのだ。

そんな相手には「まさに老害、おまえキティGUY♪」とヒプマイ風(※)にラップで返してもいいが、ろくなライム(韻)は返ってこないだろう。なのでbot返しか明菜返し、もしくは哲学返しがおすすめだ。

(※)ヒプマイ/『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』。人気男性声優陣による音楽原作キャラクターラッププロジェクト。

「“結婚とは幻想を父とし、必要性を母として生まれるものである”とニーチェは語ってますが、どう思いますか?」

「アリストテレスは愛を“互恵性があり、相手の善を願って、それをお互いに知っていること”と定義してますが、それについてご意見は?」

このように返して「やばい、こいつかしこや!」とビビらせよう。「古代ギリシャの哲学者、ドチャシコアヌスは語ってますが」とテキトーに創作するもよし。それで「俺様が教えてやるぜ」という上から目線をへし折ってやろう。

多様性社会を成り立たせるには

多様性社会を成り立たせるには

恋愛・結婚・出産など、他人のプライベートに踏み込む人間がそもそもおかしいのだ。人には様々な事情や生き方やセクシャリティがあり、それを人に話したくない場合もあるだろう。

それに「好きな食べ物は?」「貴殿の推しは誰でござるか? 拙者は(略)」など、他に話題はいくらでもある。

にもかかわらず、アップデートできない族は「○○ちゃんは独身?」「彼氏はいるの?」と聞いてくる。それに対して「結婚したいけどモテなくて(笑)」と自虐で返してやる必要はない。

自虐は自己防衛であり、空気を壊さないための気づかいでもあるが、相手に「こいつは見下してもオッケー」とナメられがちだ。また「だったら努力しなきゃ、婚活とかしてるの?」と説教してくる輩もいる。

この手の老害族は、自分の頭で考えられないアホなのだ。「人数が多いほうが正しい」「みんな同じであるべき」と思考停止して、多様性のタの字も知らない。そんな人々の言葉を真に受ける必要はない。

世の中には恋愛やセックスに興味がない人もいる。その感覚を理解できなくても「自分は恋愛やセックスをしたいけど、したくない人もいるんだな」と頭で理解して、相手を否定しなければよい。

要するに「他人の生き方を邪魔しないこと」「余計な口出しをせず、ほっておくこと」で多様性社会が成り立つのだ。

けれども世の中には、自分と違う人間を見ると自分が否定されたように感じる人々がいて、己の意見を押しつけてくる。

「若いのにもったいない」「いい人に出会ってないだけ」「何事も経験しないとわからない」とか言うてくる説教おじさん&説教おばさんは「自分が若い頃はブイブイいわせてた」と武勇伝を語りたがる。

バブルの恋愛至上主義に洗脳されてる族は、若い子に語って聞かせるのが大好物。なので「力道山って人気だったんですか?」「ケネディ暗殺の時ってどうでした?」と無邪気に聞いてギャフンとさせよう。

「女の幸せ」というジェンダーの呪い

「女の幸せ」というジェンダーの呪い

いきなりの告知で恐縮だが、2月頭に『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』という新刊が出る。23万部ぐらい売れると嬉しいけど、多分そんなに売れないだろう。

この本は結婚をテーマにしたエッセイ集だが、前書きで次のように書いている。

本書は「結婚っていいよ!」とおすすめする一冊ではない。恋愛・結婚・出産は個人の自由であり、他人が口出しすることじゃない。私は「恋愛・結婚・出産が女の幸せ」という呪いを地獄の業火で燃やし尽くしてやる…! と中二病的な野望を抱いている

ちなみに解説は『幼少期から「結婚したい」とも「子どもが欲しい」とも思ったことがない』という金田淳子さん(BL研究家、社会学研究者)にお願いした。

「恋愛・結婚・出産が女の幸せ」というジェンダーの呪いに苦しむ女子は多い。

私はその手の呪いをばらまく人に出会うと「それはあなたの個人的意見であり全人類にあてはまる真実ではないですよね? なのになぜそう断言できるんですか? その根拠は? データは? ソースは?」とガン詰めして、君が泣くまで殴るのをやめないッ! 返しをお見舞いする。

そこまでボコボコにするのは可哀想……という心優しい女子は、哲学返しでぶん殴るといい。そこで「そんな小難しい話をするから結婚できない」と返されたら「えっ、難しいですか……?」と本物のアホを見る目で驚いてあげよう。

「結婚できない」と言われてムッとすると「そんなに怒りっぽいから結婚できない、女は笑顔で愛想よく」と説教されて、うっかり殺してしまうだろう。殺しても無罪になるべきだが、法改正が追いついていない。

なので「難しいですか……?」とアホを見る目で見て相手がムッとしたら「そんなに怒りっぽいと高血圧で死にますよ」と笑顔で返してあげよう。

女子は失礼な発言をされたら怒っていいし、何に怒るかを選ぶ権利は自分にある。ムカついたらグレッチでボコ殴りしてもオッケーだが、いつも手元にグレッチがあるとは限らない。

なので、笑顔で相手の息の根を止める技も知っておいてほしい。むしろその方が「お、鬼が笑っておる……!」と相手はビビって小便を漏らすだろう。

今年も女子を困らせる人への撃退法を考えていくので、2020年もどうぞよろしくお願いします。

(文:アルテイシア、イラスト:若林夏)

※次回の#女子を困らせる人は「子育て教の人々」。2/22(土)公開予定です!

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※この記事は2020年01月22日に公開されたものです

アルテイシア (コラムニスト)

作家。神戸生まれ。著書『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった 』『アルテイシアの夜の女子会』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『59番目のプロポーズ』ほか、多数。

●Twitter:@artesia59

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