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自然派&スピ信仰の人 #女子を困らせる人

#女子を困らせる人

アルテイシア

アラサー女子を困らせる人はこの世にたくさんいます。セクハラ、パワハラ、マウンティング、毒親……。「男は敷居を跨げば七人の敵あり」なんてことわざもありますが、女子のほうが敵多くない? そこでこの連載ではアルテイシアさんに、困らせてくる人々に立ち向かう知恵を授けてもらうことにしました!

連載 #女子を困らせる人、今回のテーマは「自然派&スピ信仰の人」。

自然療法をゴリ押ししてくる人やスピリチュアル信仰を押し付けてくる人たちへの対処法について書きたいと思う。

スピリチュアル&自然療法が盛り上がる背景

「子宮系女子」スピリチュアル&自然療法が盛り上がる背景

私は3年前に子宮全摘手術を受けたのだが、その時に「自分は自然派&スピ信仰の人じゃなくてよかったな」と心から思った。詳細は「子宮全摘シリーズ」としてコラムに綴ったので、興味のある方はググってほしい。

子宮系の病気はスピ&自然派信仰の温床

子宮筋腫がらみのネット記事や書籍には、玄米菜食・ヨガ・ベリーダンス・アロマ・ホメオパシー・冷えとり等が紹介されている。

それらで体調がよくなることはあっても、病巣を直接治すことはもちろんできない。「ヨガで虫歯が治る!」と言われたら「治らんやろ」と真顔で歯医者に行くだろう。

一方、子宮系の病気は「自然療法で治したい」と手術や治療を拒んだ結果、症状が悪化する患者さんも多いらしい。

スピリチュアル&自然療法は、コンソメ&パンチやTIGER & BUNNYのような名コンビだ。

子宮系の病気に関しては、なぜかこのコンビにとらわれてしまう人が多いという現状がある。

子宮系女子とは

古より「女は子宮で考える」的なキモい言葉があるが、近年は「子宮系女子」が話題になっている。

子宮系女子とは「子宮=女性性の象徴」と崇める信者のような人々で、「銀英伝の地球教か?」というぐらい熱狂的に臓器崇拝している。

「子宮の声を聞くと願いが叶って幸せになる」「病気になるのは子宮が怒りをためこんでいるから」

そんなトンデモワードを見ると、いっそ臓器を擬人化した乙女ゲーを作ったらどうかと思う。「胆のうは短気でキレやすく、すぐに短銃を出す」みたいな設定で。

「子宮=女」的な価値観の根底にあるもの

私が「子宮をとって体調良くなって最高ですよ!」と知り合いのおじさんに話したら「でも女性としてはつらいだろう」と言われた。

おじさんには「それ盲腸とった人にも言います?」と返した。

「子宮をとると女じゃなくなる」的な価値観の根っこには、「妊娠出産するのが女の価値」というジェンダーの呪いがある。

その手の呪いをばらまく人には「てめえは金玉とディベートでもしてろや」と金玉返しをキメるもよし。

それができない場面では「そういう呪いのせいで、手術や治療を拒んで命に関わる患者さんも多いそうですよ」と冷静に教えてあげるといいだろう。

トンデモ系には「肛門返し」と「布教返し」

肛門日光浴。トンデモ系には「肛門返し」と「布教返し」

トンデモ系から身を守るには、正しい医学知識を得ることが一番だ

私は医者の友人たちからのアドバイスに救われた。ツイッターで信頼できるお医者さんのアカウントをフォローするのも手だろう。

トンデモ系について検証した、山田ノジルさんの『呪われ女子に、なっていませんか?』もぜひ参考にしてほしい。

自然派&スピ信仰の人による被害報告

女性陣にヒアリングしたところ、様々な体験談が寄せられた。

「父親が自然派&スピ信仰の人で、予防接種も受けさせてもらえませんでした。インフルエンザで高熱を出した時も、謎のレメディ(ホメオパシーで使う砂糖玉)を飲まされたり、謎の温灸治療器をあてられたり。それで何度も死にかけて、私自身は医学の道に進みました」

「子どもの頃からアトピーで苦しんでいたのに、母親が“ステロイドは悪”信者でいろんな民間療法を試されました。謎の炭酸風呂につけられて、全身が腫れあがったり。大人になって皮膚科に通って治療したら、アトピーは改善しました」

謎の炭酸風呂につけられたら、男塾の富樫でも「いい湯だったぜ~」とは言えないだろう。などと冗談言ってる場合じゃなく、子どもに標準治療を受けさせないのは虐待である。

「母親が自然派のマルチ商法にハマって、周りに勧誘しまくるせいで、白い目で見られてつらかった」といった声も耳にする。「母はそれで友人が離れていって孤立化して、ますますハマってましたね」とのこと。

私も何度かマルチの勧誘を受けたが、相手が金儲け目的であれば「ところでこんな商品があるんだけど」とパンフレットを見せる「ネズミ返し」で対抗できる。

善意の信仰者には「肛門返し」がおすすめ

むしろ、純粋な善意で勧めてくる人の方が対処に困るものだ。

「友人が“砂糖は悪”信仰にハマって、私が妊娠中に『妊娠中の食事で子どもの性格や発達が決まるのよ!』と本を5冊も送ってきて。送り返すわけにもいかず、結局その彼女とは距離を置くことにしました」

お礼に和三盆を送るなどトンチで返してもマジギレされそうだし、「友達なくすし、やめたほうがいいよ」と助言して逆恨みされても困る。

なんとか本人が気づいてくれないものか……と一休さんポーズでポクポクしてひらめいた。「肛門返し」はどうだろう?

ネットで「肛門日光浴が海外のSNSで話題」という記事を読んだ。

太陽に向かって全裸でまんぐり返しポーズする欧米の人々のインスタが載っていたが、これができる時点で死ぬほど健康な気がする。

日光を浴びるとビタミンDが増えて骨粗しょう症の予防になり、セロトニンも分泌されるといわれている。そうはいっても、日焼けはしたくない。でも、陰部だったらまあいっかと思える。もともと黒ずんでいるし、誤差の範囲だろうと。

おまけに日光はタダである。けれども「どこでやるか?」が問題である。

マンションのベランダでやったら向かいのマンションの住人から通報されそうだし、肛門を目撃した側に健康被害が出るのは避けたい。

これは別荘やプールを所有する、セレブ限定の健康法なのか……と考えていると、タワマンの高層階に住む友人宅にお呼ばれして、ガラス張りのリビングで「肛門日光浴にピッタリだ!」と叫ぶと「近くを飛行中のヘリコプターが墜落するかもよ?」と返された。

だったら私はどこで肛門を出せばいいのか、やっぱり銭湯の露天風呂? でも出禁になったらイヤだなあ……と考え続ける日々である。

というわけで「肛門日光浴って知ってる?」と返して、ひたすら話し続けるといいだろう。

「今度試してFacebookに上げようと思うの」と言えば「友達なくすし、やめたほうがいいよ」と逆に相手が止めてくれるかもしれない。

「最近、肛門の声が聞こえるようになった」「肛門が叫びたがってるんだ」「俺のアナル・モノローグを聞いてくれ」とLINEすれば「私もこんな感じなのかな、ヤバいな」と正気に戻るかもしれない。

万一、相手が「イイネ! やってみよう」と実践しても、陰部が日焼けするぐらいで健康被害はほとんどないはずだ。え、肛門ってすごくない? 万能で偉大な存在じゃない? ひょっとして神……??

私が肛門教を布教し始めたら、全力で止めてほしいと思う。

オタ活最強! 「布教返し」で撃退しよう

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』「布教返し」で撃退

トンデモ沼にハマる人に「それって科学的根拠はあるの?」とマジレスしても、「あなたは科学万能主義に呪われている、それは子宮の声を聞かないから」と逆に布教されがちである。

そんな相手には「布教返し」がおすすめだ。

子宮の声云々と言われたら「あ、それ系が好きなんだ! だったら『ちんつぶ』(※)がおすすめ! 修学旅行のバスが珍古神社に突っ込んで、男子高校生の局部が入れ替わる話なんだけど、声優さんたちのちんこの演技が……」と早口でろくろを回せば、「こいつ人の話を聞かない奴だな」と相手は萎える。

※ちんつぶ/「男子高校生の局部が入れ替わる」という奇想天外な設定の人気BL作品。

人の話をちゃんと聞いてあげる女子が、面倒な人にからまれやすいもの。なので「冷えとりにハマってて」と言われたら「そうなんだ! 私はヒプマイ(※)にハマってて……(ろくろを回す)……今度CD貸そうか?」と布教しよう。

※ヒプマイ/『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』。人気男性声優陣による音楽原作キャラクターラッププロジェクト。

それで相手が新たな沼にハマれば、脱トンデモするかもしれないし、皆がハッピーになる策である。

オタクの女友達は「職場でオタクを公表したら、面倒な人にからまれなくなりました」と語る。

結婚は? 出産は? とウザいからみをされたら「それより推しに夢中なんで! これこの前のイベントの時の写真なんですけどヤバくないですか? うちの推しヤバすぎません?」と早口でしゃべりまくると、相手は「しまった」という顔をするらしい。

「私は推しの話ができて楽しいし、相手は二度とからんでこないし、いいことづくめです」という彼女。また「マルチの勧誘とかもされたことないんですよね。私が推しに課金しまくってオタ活が忙しいのを知ってるから、こいつはハマらないとスルーされるみたいです」とのこと。

オタク最強である。なによりオタク女子はハチャメチャに楽しそうなので、「つけいる隙がない」と思われるのかもしれない。

トンデモ系の自然派やスピリチュアルは、人の心の隙につけこむものだから。

スピ沼にハマった友人の話

スピ沼にハマった友人の話

昔「良縁を引き寄せるスピリチュアルBOOK」的な媒体から原稿依頼がきて「宛先を間違えたんじゃ?」と二度見した。

私がスピに否定的なのは、その危険性を実感しているからだ。「占いで彼が運命の人だと言われたの」と、だめんず沼にハマる女子などを多数見てきた。

20代の頃、北半球一のだめんずと付き合っていた友人は、スピ沼にずぶずぶとハマっていった。

怪しげな石や鈴や札に大枚をはたき、「身につけてないと悪いことが起こるから、忘れたら家に取りに戻るの、それでよく会社に遅刻しちゃうんだよね」とうつろな目で語る彼女を「相当ヤベえな」と心配していた私。

それでもスピトークをスピードラーニング方式で聞き流していたのは、彼女が強引に勧めてきたりはしなかったからだ。そして何より「今はつらい状況なんだな」とわかっていたから。

つらい状況にいる人は、何かにすがりたくなるもの。そんな人の弱みにつけこんで商売する奴が一番悪い。

そんな彼女も今では幸せな結婚をして二児の母となり、「あの石や鈴や札はどうしたの?」と聞くと「あーどこいったんだろ? 引っ越しの時に捨てたかも」と話していた。

友達が怪しげな沼にハマるとショックだし、距離を置くこともあるだろう。でも本人の状況が変わって正気に戻り、友情が復活することもある。

かくいう私も恋愛地獄沼にいた頃は、占い行脚にハマっていた。「どうすりゃ伴侶に出会えるの? 誰か正解をくれよ!」と切羽詰まっていたのだ。

だけど夫と出会った時は、占いに行こうという発想すら浮かばなかった。「この人でいいんでしょうか?」と赤の他人に聞かなくても、自分の決断を信じられたから。

依存は悪くない。依存先をちゃんと選ぶのが大事

スピや占いにハマるのは、心に不安がある時だ。そんな時は、その不安を真正面から見つめたほうがいい。そして占い師や謎の石や子宮の声を聞くんじゃなく、信頼できる友人に相談しよう。

人はみんな何かに依存して生きている。「真の自立とは、依存先を複数持つこと」ともいわれる。

タコ足配線でちょっとずつ誰かや何かに頼ることで、心のバランスを保っている、それが一番自然で健康的な状態なんじゃないか。

そして心のバランスが崩れることは誰だってある。そんな時には「心の杖」が必要で「依存先をちゃんと選ぶこと」が大切なのだろう。

私の母は酒に溺れて拒食症をこじらせて亡くなった。私自身も若い頃は酒やセックスに依存していた。そんな依存しがちな己を知っているから、薬物報道を見ると「他人事じゃねえな」と思う。

なのでまた心のバランスを崩しそうになったら、太陽に向かってまんぐり返しをキメたいと思う。

(文:アルテイシア、イラスト:若林夏)

アルテイシア

作家。神戸生まれ。著書『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった 』『アルテイシアの夜の女子会』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『59番目のプロポーズ』ほか、多数。

●Twitter:@artesia59

新刊『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』発売中!

オタク格闘家と友情結婚した後も、母の変死、父の自殺、弟の失踪、借金騒動、子宮摘出と波乱だらけ。でも変人だけどタフで優しい夫のおかげで、毒親の呪いから脱出。楽しく生きられるようになった著者による、不謹慎だけど大爆笑の人生賛歌エッセイ!

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