お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

日本版・恋愛革命史。世の恋愛観を変えた3人の女たち #生きていけ、私

生きていけ、私

仁科友里

女性がタフに明るく生き抜いていくために、世の中の出来事をどう見たらいいのか。ライターの仁科友里さんが贈るコラム連載「生きていけ、私」。今回はマイナビウーマン12月~1月の特集「恋愛革命2020」に絡めたテーマでお届けします。

こんにちは、ライターの仁科友里です。

今回はマイナビウーマン2019年12月~2020年1月の特集「恋愛革命2020」に絡めて、一般女性の恋愛観を変えた“恋愛革命家”ともいうべき女性芸能人を挙げよ、と編集部よりお達しがありましたので、さっそく考えてみましょう。

(1)山口百恵

昭和の超人気アイドル、山口百恵さん。結婚を機にきっぱり引退したので、マイナビウーマン読者世代のみなさんが百恵さんを目にしたことはないと思いますが、複雑な家庭に育ったようです。

200万部を超える大ベストセラーとなった自叙伝『蒼い時』(集英社文庫)によると、百恵さんのお父さんは、別に家庭があったそう。お父さんは百恵さんと妹さんを認知こそしたものの、生活費はいっさい入れず。お母さんが内職をかけ持ちして、必死に働いて育ててくれたそうです。

オーディション番組『スター誕生!』(日本テレビ系)でデビューし、売れっ子アイドルになると、お父さんは百恵さんをカネになると踏んだようで、週刊誌に「出生の秘密」を売ったり、百恵さんを移籍させるなどと嘘をついて、プロダクションからお金をだまし取ったりもしていたとか。

百恵さんはお父さんに“手切れ金”を払うことで、決別したそうです。

百恵さんはデビュー直後に製菓会社のCMで共演し、その後ゴールデンコンビと呼ばれるようになった俳優・三浦友和と恋に落ち、プロポーズされます。当初は仕事を続けようとも思っていた百恵さんですが、人気絶頂時の21歳で引退して専業主婦になることを選びます。

「女性の自立」が叫ばれつつあった時代に、人気スターが家庭に入ることについて、「女性の社会進出を後戻りさせた」という批判の声もありました。

しかし百恵さんは同書の中で、女性の自立について「生きている中で、何が大切なのかをよく知っている女性。それが仕事であっても、家庭であっても、恋人であってもいいと思う」とはっきり書いています。

百恵さんの所属事務所社長によると、当時の百恵さんの年収は1億あったそうですが、百恵さんは大切な人のために、芸能界と高い年収を捨てたのでした。

(2)広末涼子

清純派としてデビューした広末ですが、あまりにストレス過多だったのでしょうか。10代の後半から、清純派らしからぬ行動が週刊誌で報道されるようになります。

恋愛相手はころころ変わり、推薦で入学した早稲田大学も中退。朝までクラブで遊び、ドラマの撮影現場である千葉までタクシーで行ったはいいけれど、無賃乗車だったと『FRIDAY』(講談社)に報じられたこともあります。

10代のころから伊勢谷友介、村田充などモデルと交際してきた広末が、できちゃった結婚をした相手もモデルの岡沢高宏。売れっ子女優・広末と収入格差があることから、うまくいかないのではないかと危ぶむ声もありましたが、実際に離婚しています。

離婚の2年後に、できちゃった再婚。夫となったCandle JUNE氏の飾り気のない風貌とキャンドルアーティストという職業に驚かされましたが、JUNE氏のすごさはそこではありませんでした。

JUNE氏はかつて女優・井上晴美と交際していたそうですが、その際に家事をすべて担当していたそうです。女優業で忙しい広末にとっても、家事に向いている、家事をやった実績がある男性ほど、ありがたいものはないでしょう。

忙しい広末の代わりに、JUNE氏が家事・育児を積極的にこなし、広末もこの少子化の時代に3人の子どもを産みながら、トップ女優としての地位を固めています。

自分に必要な人をきちんと選ぶあたりが、さすがです。

(3)MALIA.

ちょっと目を離すと、いつのまにか結婚して離婚している。それがモデルのMALIA.です。

4回結婚して4回離婚し、4児の母。妊娠・出産・育児はもちろん、結婚や離婚は精神的なエネルギーを必要とします。あの細い体のどこにそんなバイタリティーが隠されているのでしょうか。

父親の違う子がどんどん生まれることについて、いろいろな意見があったでしょう。しかし、MALIA.がどんなお母さんであるかを決めることができるのは、MALIA.の子どもたちだけですから、外野は黙っておくべきです。

『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)の司会、明石家さんまによると、さんまが広尾のコンビニの前できれいな女性を見かけて、あらゆるツテを使ってMALIA.にたどりつき、子どもも一緒でいいからとオーストラリアの別荘に誘ったそう。男性を一瞬で魅了する美貌の持ち主なのでしょう。

MALIA.のおもしろい点は、元夫たちが全員アスリートだということ(初婚の相手は元日本代表のサッカー選手、再婚相手は格闘家、3度目の結婚相手はJリーガー、4度目の結婚相手も元Jリーガーです)。

アスリートは、現役時代は華やかでも、引退後に仕事が安定しないと聞くことがあります。しかしMALIA.はモデルのほかに、ブラジリアンワックス脱毛サロンを経営したり、アパレルブランドを持ったりするなど、実業家としての顔を持っています。

男性から見れば、美しいわ、経済的に自立しているわで、非常にラクな女性ではないでしょうか。

恋愛革命は「フツウを疑うこと」から

今回、3人の女性を挙げてみましたが、私はみなさんに専業主婦になれとか、子どもを3人産めとか、何度も結婚しろと言いたいわけではないのです。

みなさんのお母さん世代の女性は、結婚して家庭に入ることが“フツウ”だったでしょうし、それが生活の安定を意味したと思います。

しかし、現代は経済状況が悪化していますから、結婚しても食べていけるとは限りません。男女平等教育が浸透して、男性が働かない女性を敬遠するようにもなっています。

また、モラハラ離婚や不倫などの報道が増え、結婚が幸せに直結しないことに、女性たちが気づいてしまいました。

こういう時代を生き抜いていくためには、当たり前のことですが、「自分で考えて、自分で人生を決める」必要があります。

上記3人の女性たちの決断は方向性が違うように見えるかもしれませんが、「自分に合ったもの」を追求したという意味では、同じではないでしょうか。

自分の人生を決断するために必要なものは、健康と仕事(お金)と考える力です。「それがフツウだから」と安易なほうに流されず、自分はどう思うのか、だめだったときはどうリカバリーするのかを考えてみてください。

恋愛革命とは、フツウを疑うことからはじまるのかもしれません。

(仁科友里)

※画像はイメージです

※この記事は2019年12月21日に公開されたものです

仁科友里 (コラムニスト)

1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。OL生活を綴ったブログが注目を集め、2006年に『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。『サイゾーウーマン』『週刊女性』『週刊ポスト』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む女性たちの相談にも答えている。
Twitterアカウント @_nishinayuri

この著者の記事一覧 

SHARE