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インタビュー メイク

メイクも多様性の時代。海外コスメを愛する吉井さんの場合 #コスメ垢の履歴書

ひらりさ

コスメを偏愛する「コスメオタク」が増えている。中でもTwitterの「コスメ垢」は、よりディープな情報発信の場として話題。この連載では、ライターひらりささんがいま気になるTwitterコスメ垢にインタビュー。彼女たちのおすすめアイテムや美容愛、さらには人生までをも覗き見ます。

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、いま気になるTwitterコスメ垢の実態を探る連載【コスメ垢の履歴書】

今回は、海外コスメとネイルにくわしい吉井さん(@chocofuc)にインタビューしました。

「オリーブ少女」だった小学生時代

――吉井さんのTwitterアカウントの開設は2011年12月。最初からコスメについて発信していたんですか?

もともとは某コスメレビューサイトで口コミを書いていたんです。2011年は、ちょうどそのサイトにブログ機能も実装されたころですね。ユーザー間で交流を持てるようになり、フォローしていた口コミストさんの私生活も垣間見えて楽しかったのですが、使い勝手があまりよくなくて(笑)。コスメ好きさんたちともっと気軽にポンポンお話したいなあと思って、今のTwitterアカウントをつくりました。

――まだ「コスメアカウント」といった呼称もないころですよね。早い!

アカウント名もずっとこれでやってますね。ちなみにアイコンは、MIU MIUのショッパー&ボックスの色合いが元ネタです。すごく好きなピンク!

――コスメにハマったのはいつごろだったのでしょう。

小学生の時点でもう好きでしたね。ファッション・カルチャー雑誌を愛読していて、とくに『Olive(オリーブ)』が大好きだったんです。お金がたまるごとに、Oliveでも活躍されていたメイクアップアーティストの渡辺サブロオさんが立ち上げた「ケサランパサラン」のコスメを買っていました。貝殻みたいなマーブル模様のパッケージで、とにかく高級感があって、あこがれだったんです。

そして同じくらい思い入れがあるのが、今はお亡くなりになってしまったヘアメイクアーティスト・宮森隆行さんの手がけるメイクのページ。

よく覚えているのが、宮森さんが当時オリーブの看板モデルだった市川実日子さんをメイクするという企画です。「実日子ちゃんは唇の色がとても綺麗だから、それをそのまま活かすメイクにしました」と、すっぴんの唇を残すメイクを施していたんです。「化粧って、欠点を隠すものじゃないんだ」ということに、子どもながら衝撃を受けました。

――当時それを提案していたというのは、画期的ですね。

宮森さんのメイク哲学は、20年くらい先をいっていたなあと思います。そのうえで、ドリーミングかつ愛にあふれていて。

当時の私は中央線沿いのごちゃごちゃしたところに住んでいたので、「こんな世界もあるんだ!」とカルチャーショックを受けていました。

――そのまま、オリーブ少女として、大人になったんでしょうか?

いや、それがですね。中高から「流され期」が訪れまして……まわりにあわせて、ギャル化していきました。

――あ~、そういう時代でしたもんね。

同級生の女の子に「私たちは109に行くけど、あなたは?」と聞かれて、オリーブ少女を貫くのは難しかったですね。ギャルじゃないと彼氏もできないと思ってしまった。

でも、ギャル化した大学生時代に付き合っていた彼氏から「お前はギャル度が足りないから、日焼けサロンに行こう」と言われまして。それはイヤだなあと拒否していたら、結局「俺は面食いだから、お前が見た目をもっとがんばるなら付き合ってやったのに」というニュアンスのことを言われて振られました。

――うう、つらい。

当時はショックでしたね。その一件で大学にも行きたくなくなって……。整形するか、海外留学をしようと決意し、お金を貯めるため、友人と一緒に銀座のクラブでバイトをはじめました。でも、いわゆる「美人」に囲まれて働くなかで、華やかな美人だからといってままならないことはたくさんあるんだなと実感する出来事がいくつかあり。

「今は若いから、お姉さんたちがかわいがってくれて、楽しくお金がもらえる。でも、社会に出たら同じようには稼げない。このお金を有効に使うなら、手に職をつけたほうがいい」と考え、結局、整形はせずにヨーロッパに留学することに。そこでまた、価値観の変化がありまして。

――それはどんな?

「美人」の基準が全然ちがったんです。そもそも、みんなアジア人の顔の区別がろくについていないし、顔の好みもちがう。おしゃれしないわけじゃないけど、誰もヒールは履いてなくてスニーカー。「俺は面食いだから」と言う人がいない世界もあるんだなと悟りをひらき、自分の好きな服装やメイクができるようになりました。私の場合は、あそこで整形を選ばずに留学をして、本当によかったなと思います。

――長い「流され期」を経たからこそ、今の吉井さんがあるんですね。

全世界の人におすすめしたい「外国産コスメ」

――今は、月にどれくらいのコスメを買われるんですか?

2万円くらいですかね。外国産コスメを買うことが多いです。国産コスメが嫌いというわけではないのですが、外国産コスメのほうが夢あるなと思って。作り手がいろいろ思想を発信していて、消費者との距離が近いのもいいんです。コスメ好きにはいろんな宗派があるけれど、私は“夢”派なので、夢をさしはさんでいないコスメには食指が動かない(笑)。

外国産コスメは、公式通販やECサイト、海外コスメの転送サービスなどを利用して買っています。最近の推しブランドは「Grossier」「Fenty Beauty」「GUCCI」ですね。多様な美意識があってもいいんだよ、と謳っているブランドが好きです。Grossierは見た目がかわいくて、気が利いていて、どれを使ってもハズレがないので、いろんな人に使ってもらいたい!

――メイクポーチも見せていただいていいでしょうか。

普段は大したアイテムを持ち歩いてないんですよ。本当にちょっとです。

左上から右に
アーティス メイクアップブラシ エリート オーバル7
Glossier Stretch Concealer G12
This Works Deep Sleep ピロースプレー
uka nail oil 24:45
そのほか、綿棒・目薬・ヘアピン・ヘアゴムなど

左上から右に
シャネル レ ベージュ アーモニー プードゥル ルミエール ライト
ベネフィーク リンクルリセッター
Pat McGrath BLITZTRANCE™ LIPSTICK Nude Romantique
GUCCI Rouge à Lèvres Voile Lipstick 110
shiro ミントジンジャーリップバター 8A01
Glossier Boy Brow Blond
Glossier Brow Flick Brown
Kino巾着ポーチ(M)ネコとくしゃみ柄 フロスティグレー
ルアモ オールデイ プロテクト UVアクアヴェール

――身軽ですね! 家で使っているものも含めて、最近のおすすめアイテムを教えてください。

この夏気に入ってるのは、ナチュラルハウスで購入した日焼け止め「luamo all day protect UV aqua veil」です。従来の紫外線散乱剤よりもさらに肌にやさしい成分を使った、ナチュラルな日焼け止めで、つけ心地がとても気持ちよく、顔・肌両方に使っています。

全世界の人におすすめしたいのは、Glossierの眉マスカラ。皮膚につけようとしても、びっくりするくらい色がつかないのに、眉毛にあてると毛が自然に太くなって本当に優秀です。

ベネフィークのリンクルリセット(部分用ファンデーション)も、よく使ってますね。目の下の皮膚の薄い部分にコンシーラー代わりに使うと、顔の疲れがとれて見えます。

もうひとつ重宝してるのが、This WorksのDeep Sleepピロースプレー。「疲れたな〜」というときにハンカチタオルにしゅっしゅっとして匂いをかいで、癒されています。

――多彩なラインナップ! 吉井さんといえば、大のネイル好きとしても知られていますよね。ネイルはご自宅にどれくらいあるんでしょうか。

300本くらいかな。ネイルはアイシャドウとちがって、自分で見られるのがいいですよね。でも、ハマったのは遅いんですよ。

レビューサイト時代に知り合ったお友だちに、海外ネイルが好きな子がいて。海外って、個人が作っているインディーズブランドのネイルがたくさん売ってるんですね。そのキラキラさやおもしろさに魅了されて、集めるようになりました。仕事のときは控えめにしていて、週末に自分の好きな色を楽しんでいます。

人におすすめしたい海外ネイルブランドだと「deborah lippmann」でしょうか。色もかわいいし、質もいいし、使いはじめて時間が経ってもドロドロしないですよ。

吉井さんが所持している大量のネイルたち。

――ドロドロしないの、重要です。私もネイルを集めはじめたのですが、なかなか管理が難しい……。

時間が経つとドロドロして使いづらくなるネイルが多いですよね。そういうときは「撹拌用ステンレスボウル」が活躍します。100均でも売っているエナメルうすめ液といっしょにネイルの容器に投入して、シャーっと振ると、ドロドロが解消できますよ。

――吉井さんのツイートは、ときめくアイテムだけでなく、便利アイテムも紹介しているので、本当に参考にしてます。

自分が化粧品を買うのも楽しいですが、他人のメイク写真を見たり口コミを読んだりするのが三度の飯より好きなんですよ。Twitterをはじめた当初は、他人のお化粧についての主義主張を含めたいろいろを調べるのって、砂漠で砂金を探すような感覚でした。だから今、コスメアカウントが本当にたくさんあって、みんなが発信しているツイートを読めるのがとても尊いなと思ってます。

ただ、その一方で、口コミを探す手間が省けてしまったせいか、他人のレビューに対してのありがたみが減っている気もしますよね。だから簡単にdisったりできるのかな? と感じるときもあります。

――素敵なアカウントさんが、誹謗中傷に苦しめられたり、無断転載への対応で疲弊したりしているのを見るとつらくなります……。

化粧品の口コミって、意外と手間と時間がかかりますし、写真を撮るのだって、コツを掴むまで何度も試行錯誤を繰り返さなきゃならない。腕にスウォッチをしたあと落とすのも地味に面倒。でもそんな面倒なことをしてきた奇特な人たちの口コミに助けてもらったからこそ、恩返しをするような気持ちで、自分も投稿しています。

まあ、他人の口コミにムカつくときって、多分その人のメイクに対しての「信仰」から外れてしまった瞬間なんだとも思うんですよ。そういうときに、「この人は私とは別の宗派を持った人なんだ」と認めて、近づかずに、お互いの世界を侵さないように住み分けする努力が大事なんじゃないかな。

――長くコスメの口コミの世界を愛してきた吉井さんだからこそ、伝えられるメッセージだと思います。これからコスメとどう付き合っていきたいですか?

今が一番コスメを好きかというと、そうでもなくて。欲望のままになんでも買っていた時期のほうが楽しかったかもしれないです。今は自分が実際に使う化粧品の傾向がわかっているし、ろくに使わなかった化粧品を処分することになったときの虚しさも味わっているので、「かわいい!」だけじゃ買えなくなってしまって。

SNSで発信していると、新商品に対して「いいねをもらえるかも」という気持ちがよぎることもあるんです。でも、買ったことを後悔しないように、あくまでも生活の延長線上にあるものとして、自分の負担にならないように楽しんでいきたいなと思います。

――ありがとうございました!

コスメ垢「吉井」さんの履歴書

(取材・文:ひらりさ、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

※写真のコスメはすべて本人私物です

『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』劇団雌猫

劇団雌猫の大人気同人誌『悪友DX 美意識』のグレードアップバージョン。化粧、ダイエット、エステ、整形、ロリータ、パーソナルカラー診断、育乳……。さまざまなジャンルのおしゃれに心を奪われた女性たちが、ファッション・コスメへの思い入れや、自身の美意識をつまびらかに綴り、それぞれが「おしゃれする理由」を解き明かす匿名エッセイ集。

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