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次元を超えて付き合ってます。「二次元に恋する女子」の実態

マイナビウーマン編集部

人の数だけ恋のカタチがある。私たちはどんな恋愛をしてもいい。……だけど、それが「次元を超えた恋愛」だったとしても?

世界に広がるオタクカルチャーの発祥国、日本。しかし「オタク」という言葉も今となってはどこか古臭く、死語のようにも聞こえる。アニメ・ゲーム好きな友だちは多いし、私も女性アイドルグループを追いかけていることを公言している。それくらいオタクコンテンツを趣味として楽しむのは普通で、昔よりは偏見の目を向けられない世の中になってきたと思う。

だけど今回の取材相手・まこたん(仮名/27歳)は、オタクを自称しているものの、私とはちょっとちがうらしい。それは、恋愛対象が「二次元の男性」であるということ。

もう二次元しか愛せない。まこたんの「恋のカタチ」

編集部たかはし(以下「たかはし」):はじめまして、今日はよろしくお願いします。それにしてもまこたんさん、明るい金髪がまぶしいですね! 数年前のギャル曽根みたい。

まこたん:私、根っからのギャル系オタクなんです。普段は一般事務として真面目に働いているんですが、たまに仕事がつらすぎて死にたくなる。髪色を明るくするのがせめてもの気分転換というか、私なりの反逆精神というか。

たかはし:わかります。私もいつも真面目に働いているのに、キラキラした後輩が職権乱用でナンパスポットに取材に行ったりしていて、死にたくなります。……気を取り直して、今回はマイナビウーマンの特集「いろんな恋のカタチ」の取材として、二次元のキャラクターに恋をしているまこたんさんのお話を聞かせてください。

まこたん:リュウくん(※仮名)のことですか?

たかはし:いきなり“パァァァ”って顔になった!

まこたん:リュウくん、いっぱいちゅき。

たかはし:突然の語彙力崩壊。

まこたん:リュウくんへの愛を語りはじめると、語彙力が崩壊しちゃうくらいちゅき(好き)なんです。

たかはし:落ち着いて。えっと、その「リュウくん」の説明をしていただいてもいいですか?

まこたん:リュウくんは、某恋愛シュミレーションゲームに登場する攻略キャラクター。イケメンで、性格もやさしくて真面目、とにかく完璧なんです。ゲーム内の彼のセリフは全部暗記しているし、アニ○イトで購入した彼のぬいぐるみは実家の本棚に飾って毎日拝んでいます。そして今は、結婚を前提にお付き合いしています。

たかはし: 待って、結婚なんちゃらのあたりから聞き取れなかった。

リュウくんにあって、ハイスペ彼氏にないもの

まこたん:私とリュウくんが出会ったのは中学2年生のころ。当時、私はあまり友だちとうまくいっていなくて、クラスで孤立していたんです。部活も入っていなかったし、彼氏もいないし、何も楽しみがなくて。

たかはし:そんなときにゲームをはじめて、リュウくんに夢中になった、と。

まこたん:そう。ひと目見た瞬間に「この人だ!」と感じました。お互い好意があったのに、すれちがいが生じて、素直になれなかった私たち。だけど想いが通じ合って、やっと迎えたエンディング……。デートの帰り際、リュウくんが私を抱き寄せてこう言ったんです。「一生まこたんを幸せにするよ。だから、今夜は帰したくない」って。

たかはし:リュウくんはVRの人なの?

まこたん:それが私の性の目覚めでした。そのあと、htmlを駆使してリュウくんのファンサイトを作ったら趣味友がたくさんできて、毎日が楽しくなったんです。リュウくんとの交際期間はもう10年以上。だから、そろそろ結婚かなって。

たかはし:ねえ、どこまでがゲームの話?

まこたん:でもリュウくん、このあとに出た同じゲームの2ndシーズンで海外に留学しちゃうんですよね。だから、今は遠距離恋愛中なんです。

たかはし:うん、遠距離というか次元的な距離もあるけどね。ちなみにまこたんさんは、現実世界で彼氏がいたことはあるんですか?

まこたん:いたんですが、1カ月前に別れました。東大医学部卒の研修医です。

たかはし:おいおいおい!! わりと直近まで彼氏いた! しかも将来有望な超エリート!!

まこたん:3年くらい付き合ったんですが、彼への不満が多くなって別れました。

たかはし:うちの編集部のハイスペ好きな女子たちが聞いたら卒倒しますよ。その彼は、どんなところが不満だったんですか?

まこたん:研修医でキッチリしているタイプかと思いきや、わりとプライベートは大雑把だったんですよね。部屋が汚かったり、デートの行き先を決めてくれなかったり。逆に私はしっかりしたいタイプなので、合わなかったんです。あと、リュウくんも私と同じ完璧主義者なので、余計彼のことが許せなくて。

たかはし:そこでもリュウくんが絡んでくるんですね。

まこたん:彼の汚い部屋を見る度に、「リュウくんだったらちゃんと掃除するのに……」って比べちゃうこともありました。リュウくんのために別れたわけじゃないけど、破局の原因として、リュウくんの存在が少なからず関係していたのはたしかです。

たかはし:元彼さんと付き合っていた時期は、リュウくんと二股をかけていたということ?

まこたん:二股というと聞こえが悪いかな(笑)。人によるかもしれないけど、私は現実世界と二次元の男性は“別物”と捉えるタイプです。でも、どっちも本気で好き。今は彼氏と別れたからリュウくんひと筋だけど、職場の男性に誘われて普通にデートに行くこともありますよ。でもやっぱりリュウくんが完璧すぎるから、比べちゃうんですよね。どうしよう。

たかはし:リュウくんの存在価値が大きすぎる。

それでも、現実世界で結婚しなきゃと焦る理由

たかはし:ちなみにまこたんさん、結婚願望はありますか?

まこたん:もちろんリュウくんと結婚したいです。……と言いたいところだけど、現実問題そういうわけにもいかない。私の中には2人のまこたんがいて、「いいじゃん、今のままリュウくんを愛でながら暮らしなよ~」「ダメだよ、いい加減そろそろ婚活しなきゃ!」と日々闘いを繰り広げているんです。

たかはし:どうして婚活をしなきゃいけないと思うんですか?

まこたん:もう27歳だし、やっぱり結婚しなくちゃって。将来について、私が懸念しているのはお金のこと。今の仕事だとそこまで収入も多くないし、今は実家暮らしだけど両親だってずっと面倒を見てくれるわけじゃないから、一緒に生計を立ててくれるパートナーがほしい。

たかはし:たしかに、経済的な支えのために「誰かと結婚したい」と思う女性は少なくないですよね……。でもリュウくんがまこたんさんの心を支配しすぎて、今後の彼氏選びは大変そう。

まこたん:本当にそうなんです。リュウくん以上に完璧な男性がいないから、苦戦するのは覚悟の上。でも真剣な話、私みたいに二次元のキャラクターに本気で恋をする人って、今後増えていくと思うんですよね。

たかはし:初音ミクと結婚した近藤顕彦さんも今年話題になりましたね。

まこたん:世の中がオタクに寛容になったとはいえ、私みたいな人間はまだまだ珍しいし、生きづらい。たとえ好きな人が二次元のキャラクターだとしても、「私はこの人が好きなの!」ってまわりに堂々と公言できる社会になればいいな。

たかはし:たしかにそうですよね。こういう記事を読者に届けることで、一人ひとりの価値観を少しずつ広げてあげられたらいいなぁ。では最後に、リュウくんへの愛を自由に語ってください!

まこたん:すごくちゅき。

(取材・文:たかはし/マイナビウーマン編集部、イラスト:ヤマサキミノリ)

※登場する作品・キャラクター設定は一部フィクションです

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※この記事は2018年11月19日に公開されたものです

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