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ナンパ男が失った「大事なもの」#素人の恋愛

マイナビウーマン編集部

こんにちは、マイナビウーマン編集部のさちこです。11-12月の特集「いろんな恋のカタチ」では、LGBTやノンセク男子、ポリアモリーなど、さまざまな恋愛事情を紹介していきます。が、もっと身近な恋愛も知りたくないですか? 有名人や美人、イケメンだけじゃなくて、普通の社会人ってどんな恋愛してるんだろうって。みんな何食わぬ顔で毎日やり過ごしているけど、絶対いろいろ爆弾を抱えているじゃないですか。

ということで、今回は街頭インタビューを決行。友だちでも知り合いでもない街ですれちがった人の恋愛話を聞いてきました。みなさん、想像以上に壮絶な恋をしているようです。

10月のとある金曜日。編集部のあーりんと都内屈指のナンパスポット・銀座のコリドー街へ繰り出した。ここに行けば、誰かしら声をかけてくれるだろうと見越して。声をかけてもらったら、今回の企画意図を説明しておしゃべりをしようという算段だ。そしてその相手がハイスペックだったら、こっそり仲よくなりたい。そんな乙女の職権乱用心もひそかに抱えて、恋と欲望の取材は幕を開けた。

20時もまわり、コリドー街は出会いを求める男女で溢れかえっている。

そして、ナンパはされない。全然されない。一瞬のうちに男性から上から下まで舐め回すように見られたあと、結局声をかけられなかったときの切なさ。「あ、落選したのね」と察せざるを得ない。男女ともに残酷な見定めに耐えられる鋼のメンタル。それがここでは必要だと痛感した。すぐ近くでは、2人組のかわいい女の子をめぐって男たちが取り合いをしているというのに。キレイな巻き髪にサテンのワンピースを身にまとった編集部イチの男ウケ女子・あーりんの視線が痛い。うん、あーりん。足引っ張ってごめんね。

待てど暮らせど一向に男性から声をかけられない。明けない夜はあるが、取れ高ゼロの私たちに来る明日はない。そんなことを考えていると、いかにも遊んでいそうな男性が目に入った。喫煙所でひとり暇そうにタバコを吸っている。サイドは刈り上げ、ウェーブのかかった髪にはたっぷりの整髪料、そして細身のスーツ。実にチャラい。ヒールで足が限界に達し早く帰りたくて仕方ないあーりんが低い声でボソっとつぶやく。

「行ってこい」

群馬出身の元ヤンの片鱗を感じたさちこは、体育会系出身者のオート返信で「へいっ!!」とひと言、刈り上げ男の元へ走ったのだった。

素人1:不動産勤務・Tさん(31)

さちこ:すみません。

Tさん:もしや逆ナンですか?

あーりん:ごめんなさい、そういうんじゃないんです。ひと言で言うと取材なんです。だからあなたのLINEの画面見せてもらえますか?

Tさん:いいよ! はい、どうぞ。

さちこ:かるっ! でもいい人! タイプじゃないけど。それにしても画面いっぱいに女の子の名前がある……。見た目どおりの遊び人だった。

Tさん:みんな飲み屋で出会った子だね。男女の関係になった子もちらほらいるよ。

あーりん:会って数秒でよくそんなプライバシーさらけ出せますね。ありがたいけど。最近のお気に入りの子は?

Tさん:いないね。基本的にみんなワンナイトだから。2回目も会いたいって思ったら、それは好きってことだよ。

あーりん:ワンナイトした女の子と付き合う可能性ってある?

Tさん:あるよ。ちょっと前だけど、バーで仲よくなった3時間後に持ち帰った。で、3年付き合った。

さちこ:3時間が3年の時に化けた。全国の順番をまちがえた女の子たちに伝えたいわ。
これは夢物語ではなく、現実に起きるということを。みんな、諦めないで!

あーりん: でも、よく知らない子と男女の関係になるのって怖くないですか?

Tさん:俺、体の相性を確かめてからじゃないと、その先をイメージできないんだよね。でもこの間、びっくりするような事件が起きたわ!

さちこ:そういう話を待っていた。

Tさん:クライアントと一緒にガールズバーに行ったんだよね。で、かわいい女子大生がいたんだけど、例に漏れずお持ち帰りしたの。

あーりん:クライアントと行ったのにお持ち帰りなんて強者すぎ。

Tさん:その日は2人で楽しい夜を過ごしたよ。でもね、朝起きたら俺の時計がなくなってたの。

さちこ:まさか?

Tさん:そのまさかで、女の子が持って帰ったみたい。連絡してもガン無視。でもその子の素性も知ってたから、「返してくれないなら、キミが通ってる大学に通報するよ」って言ったの。そしたらソッコーで返信きた。

あーりん:ちょろすぎ。

Tさん:その子は医学部に通ってたんだけど、これから国家試験も控えてるから、警察のお世話になるわけにはいかないって(笑)。

さちこ:それ以前にガールズバーで働いてる場合じゃなくない? 勉強しろ???

あーりん:実家の援助なしで医学部に通ってるのかもよ。

Tさん:いや、実家はお金持ちみたい。仕送りが月20万円だって。

さちこ:社会人のお給料じゃん。世の中不公平だよ。大学に通報していい?

Tさん:それでも足りないんだって。理想の生活はプラス20万円必要だから、ガールズーバーで働いてるらしい。そんで俺の時計も質屋で売ったって(笑)。4万円にしかならなかったみたいだけどね。

さちこ:金の亡者かよ。

あーりん:たった4万円のために犯罪者になるなんてコスパ悪すぎ。その頭の悪さで医者になれるのか? で、結局どうしたの?

Tさん:「5年前の円高のときに30万円で買ったから、今は40万円くらいするんだよ。だから、売った時計と同じものを買うか、30万円の別の時計を買うか。どっちがいい?」って選ばせたの。そして俺は30万円の時計を手に入れた。

さちこ:因果応報ですね。

Tさん:ここだけの話、本当は12万円で買った。ラッキーだよね。

さちこ:女は泥棒で、男は詐欺師……。どっちもどっち。この街怖いわ、会社帰りたい。

あーりん:遊んでばっかりですけど、結婚願望はないんですか?

Tさん:めちゃくちゃあるよ。どうでもいい子にお金使うより、彼女に使ったほうがよっぽど有意義だし。

さちこ:そしたらどうでもいい子大量に抱えてる場合じゃないよ……。

Tさん:今は彼女がいないから自由にやってもよくない? 浮気してるわけじゃないんだし。

あーりん:ってことは、付き合ったら真面目なんですか?

Tさん:そうだよ。過去には結婚を考えた彼女もいたし。

さちこ:その話くわしく。

Tさん:今年のはじめ、4歳下の弁護士の女の子と付き合ってたんだよね。お互い本当に好きだった。で、付き合って2カ月目に彼女の実家に行って、相手のお父さんともお寿司を食べながら結婚について語ったわけ。3カ月目にはカルティエのおそろいの時計がほしいって言うから、プレゼントもした。

さちこ:Tさんと付き合うとカルティエ買ってもらえるの!? ありだわ。

Tさん:俺はなしだけどね。でもプレゼントした1週間後に浮気された。俺よりはるかにハイスペックの男性と。

あーりん:その浮気相手の男性と知り合いたい!

Tさん:彼女に「浮気相手はあなたと1歳しか変わらないけど、年収は1,200万円。あなたは1,000万円稼げるの?」って言われて。朝6時に出社して終電まで働けば、1,000万はいけるかもって反論したんだ。そしたら「浮気相手は朝9時に出社して、19時すぎには帰宅するよ?」って返された。

さちこ:一度は愛した男に吐く台詞じゃないわ……。

Tさん:しかも「こっちも選ぶ権利がある。結婚相手としてよりハイスペックな男性を選ぶのは当たり前じゃない?」って言うんだよ。

あーりん:まあ、彼女の言ってることもわかるけどね。

Tさん:しまいには「確かに浮気したことは申し訳ない。だけど、別に結婚してるわけじゃないから、民事的には何も悪くない」って。やっぱ法学部出てる人はちがうって感心したよね。

さちこ:追撃がすごい。完全に息の根を止めにきてる。

Tさん:かなりショックだったけど、次の彼女ができるまで遊びまくろうって決めたわ!

あーりん:それより仕事がんばってくださいよ……。

こんなところでナンパしているくらいだから、真剣な恋愛をして今すぐ結婚したい私とあーりんにとってTさんは敵でしかないと思っていた。そもそもサイドの髪の毛を意図的に刈り上げている男を基本的に信用していない。だけど、意外と彼女に対しては誠実らしい。すぐに人を見かけで判断する私は猛省した。私の元カレはパーマなんてできないくらい薄毛で虫も殺せないような外見だったし、ちゃんと交際の順番も守ってくれたけど、蓋を開けたらとんでもない浮気男だった。見た目も恋のはじまり方も、決まった型はないのかもしれない。ヘアカタログに無数のヘアスタイルがあるように。

>次回は「100万円の婚約指輪を買ったのに、彼女と結婚できなかった男の話」です。

(文:マイナビウーマン編集部/イラスト:須山奈津希)

※この記事は2018年11月01日に公開されたものです

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