飲み込みが早い人、遅い人。仕事をする上で有利なのは、やはり「飲み込みが早い人」ですよね。
“ できる人”に多い「飲み込みの早い人」とはどんな人なのでしょうか。また、どうすれば飲み込みが早い人になれるのでしょうか。
心理コーディネーターの織田隼人さんに教えてもらいました。
■飲み込みが早いとは?
「飲み込みが早い」の類語を調べてみると、「物分かりのいい」、「飲み込みのいい」、「お利口な」、「理解の早い」、「勘の鋭い」、などの語句が出てきます。つまり、「飲み込みが早い人」とは、人の話や物事の理解が早い人のこと。
あなたのまわりにも、教えたことをすぐに理解し実行できる人、一教えただけで十まで理解するような人がいると思います。こうした人は「飲み込みが早い人」といえるでしょう。
飲み込みが遅い人との一番の違いは、「聞いたまま理解しようとする(=飲み込みの遅い人)」か、それとも「聞いたことを何度も脳内でシミュレーションして自分の使える引き出しにしようとする(=飲み込みの早い人)」かでしょう。
飲み込みの遅い人は「聞いたまま」「そのまま」で理解しようとする傾向が強いのです。
また、理解するまでじっくり考え、手を出すまでに時間がかかることも多く、その結果飲み込みが遅いと判断されてしまうのです。
■飲み込みが早い人に共通する特徴
飲み込みが早い人とは、具体的にどのような人を指すのでしょうか。また、実際に飲み込みが早い人の特徴も気になるところです。その特徴を3つご紹介します。
◇(1)話を聞きながら周辺のことまで考慮している
飲み込みが早い人は、やり方などを聞いているとき、説明を聞きつつも「説明で省かれている部分はどんなところだろう?」とか「これをやったらどうなるかな?」「あれをやると問題が起きるかも」というように、周辺のことまで脳内でシミュレーションを行います。
説明されたことを何度も検討しているので、問題などの洗い出しができるのです。さらに、 シミュレーションも数回以上繰り返しているため、普通の人が一度聞いたとき以上の理解を示すことができます。
◇(3)人の観察をするのが上手
ほかの人の作業などを観察して「それを自分ならどうやるだろう」と想像するのが得意なのが、飲み込みが早い人。ただじっと見るのではなく、「自分ならどうやるのか」と考えているため理解が進みます。
ただ見るだけの人は他人事だと思っているので理解が薄くなるのに対して、飲み込みの早い人は自分事として想像しながら観察をするため、真剣さが増して理解も深くなります。
◇(3)作業に手をつけるのが早い
失敗をしても、それを反省して改善をすると、人はどんどん上達するものです。そのため、とにかく手をつけて失敗してみることが重要。
飲み込み上手な人は、手をつけるのが早く、早めに失敗をしてすぐに改善をしていくので、いろいろなことに対してすぐに上達していく傾向があります。
■飲み込みが早い人の長所と短所って?
飲み込みが早い人は、脳内でさまざまなシミュレーションを行って、他人の行動もしっかり観察できており、さらに仕事をサクサクこなしていけるという特徴がありました。
そのような人は仕事をする上でどのようなメリットがあるのか、また逆に陥りやすい問題点はどのようなことなのか、長所と短所をまとめました。
◇飲み込みが早い人の長所
学習にかける時間が短くて済み、その結果すぐに「使える人材」になることです。
新しいことにチャレンジするのは大変ですが、飲み込みの早い人であれば、新しいことをやっても短い時間でそこそこのレベルになるため、さまざまなスキルが身につきます。
ジェネラリスト(多方面に知識やスキルを持つ人)に向いていると言えるでしょう。
◇飲み込みが早い人の短所
スキルを身につけるのが得意なので、仕事を「当たり前」にこなしてしまいます。そうすると、誰かに教えるのが下手になってしまう傾向があるのです。
教える専門家の場合はさすがに「教え方」というスキルを身につけますが、そうでない人の場合は“自分を基準に”教える場合が多くなるため、伝えるときに情報を省略しがち。
その結果「上手に伝えられない」ケースも。身内に教える場合には、特に情報を省略してしまう傾向がありますので、より注意が必要です。
■飲み込みが早い人になるには
少しの短所はあるものの、仕事をする上で「飲み込みの早さ」は重要な能力。少し意識を高めるだけで、あなたも「飲み込みの早い人」になれるでしょう。
そのためのいくつかのポイントをお伝えします。
◇(1)話を聞くときに自分が実行している 姿をイメージする
話を聞く際や、何かを教えてもらう際に、実際に自分が実行しているイメージをして聞きましょう。
手順そのものを覚えるよりも、自分が行っているイメージをしながら聞くと理解は早まります。人間は言葉や文字で覚えようとすると、あまり情報が頭に定着しません。
しかし自分が実際に行っている(使っている)イメージを作り、それらを脳内に保存するとすぐに自分のものにすることができます。
◇(2)わからないときには、調べる癖と人に聞く癖を身につける
わからないときには調べる癖をつけましょう。そして調べてもわからないときには人に聞くことです。
何でもかんでも聞きに行くと面倒がられてしまいますが、調べてわからないときに聞きに行くことは、時間を短縮する上で効果的な方法です。
調べる際には、「10分調べて情報を見つけられないときには人に聞く」、というような取り決めを自分の中に作っておくとよいでしょう。
「わからないこと」を「わかる状態に切り替えていくこと」。これが飲み込みを早くする効果的な方法なのです。わからないことを放置したり、いつまでも調べ続けたりしていると、いつまでも何も飲み込めずじまいですよ。
◇(3)自分に置き換えて考える
特に人の観察をするときには、「自分ならどうするのか?」と考えながら相手を観察するとよいでしょう。自分の脳内で相手と同じように自分が動いている姿を想像すると、相手のスキルをより早く身につけることができます。
飲み込みが早い人は、普段からいろいろな人を観察したり真似をしたりして自分に取り入れています。
日常生活の中でも、「観察」と「自分ならどうするのか」という考えを張り巡らせて、たくさんのスキルを身につけていきましょう。
■飲み込みが早い人は仕事ができる
飲み込みが早い人になれれば、今より仕事の幅も広がり、周りの評価も上がることでしょう。
そのためにもまずは、自分の普段の考え方や行動を変えていくことが必要なようです。上記を参考に、あなたも「飲み込みが早い人」を目指してみてはいかがでしょうか。
(文:織田隼人、構成:おぜきめぐみ)
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