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既婚者差別と、独身差別。結婚と離婚を経てわかった婚活地獄の脱し方

トイアンナ

こんにちは、トイアンナです。27歳で結婚して、30歳で離婚。まる3年を経てふたたび独身へ戻ってまいりました。バツイチなんて今さら珍しくもありませんが、それでも婚活を人生で2回経験できたのはおいしいな、と思います。


そして2回やったからこそ、婚活の地獄もまた味わい深いものでした。

「旦那さんが稼いでるんだからいいじゃん」の言葉

私が結婚していたとき、一番つらかったのは「旦那さんが稼いでるんだからいいじゃん」という言葉でした。私の家は共働きで、収入はトントンくらい。同居時も家賃からインフラまで折半しており、経済的なメリットはそんなにありませんでした。


しかし結婚したことで、友だちからふとした拍子に「でも旦那さんが稼いでるからいいじゃん」と言われることが増えました。確かに、私の職歴は外資マーケターからライターと、いずれもいつ無職になるかわからないフワフワしたお仕事。対して彼は、堅実な日系企業勤務で、安定感があるように見えたかもしれません。

だけどどんなに安定している会社に勤めていたって、体を壊せば無職です。たとえ彼の実家が裕福だって、私にとっては義実家です。お金目当てで結婚したわけでもないし、私が連帯保証人になる変な借金さえなければいいよ、くらいのスタンスでおりました。

でも、世間はそう見てくれない。彼の肩書きや年収は、ときに「なんでまだ仕事辞めないの? 旦那さんが稼いでいるのに」と降り注ぐ刃にもなりました。彼は1ミリも悪くありません。ただ鈍感な私ですら気づかされる「既婚女性へのキャリア撤退プレッシャー」があっただけです。

年収、年収、そして年収の婚活地獄

かつては単純に「同じくらい稼いでいる人と結婚したいな、だって可処分所得2倍になるじゃん」と思っていました。しかし結婚後は、同じくらい稼いでいると「男がいるから安心だね」とキャリアにブレーキをかけられうる、ということを学んだのです。


離婚を経てふたたび婚活をしたら、「年収で周囲からなんやかんや言われない、自由業や主夫志望の男性も楽でいいな」と思うようになりました。

ただ、そうすると今度は「もっといい(年収や肩書きの)男がいるのに、なんでそんなので妥協するの?」「もっと釣り合う相手を選びなよ」と、パンチのある差別を浴びることにもなるわけで、楽になる道はないのです。ああ、年収と肩書きに振り回される婚活地獄のはじまりです。

こうして独身に戻ると、「男って年収で差別されるんだな」とひしひし痛感します。マッチングアプリを開いても男性は年収を書かないと相手にもされず、されとて年収が低すぎると「いいね!」が返ってくる率は明らかに低い。

さらには両親まで「お前と同じくらい稼いでいる男はいないのか」と、世迷いごとを言いだす始末。“バリキャリの女が! 同じ年収以上で! まともな性格の同年代男を望むなんて無理ゲーなんだよ!”

自分がいかに「年収なんて気にしない……肩書きなんてどうでもいい……」と思おうが、いやおうなしに周囲からそれを求められる。途中から、わざわざ抗うのが面倒にすらなってくる。そしてついには「結婚相手の年収は〇〇〇万円くらいないと」と周囲の求める年収を内面化してしまう……。そうやってウッカリ年収や肩書きを見そうになり「いかんいかん」と首を振ったことが何度もありました。

既婚者になって見えた「年収だけ高い相手」の地獄

なぜここまでして私が年収でのフィルタリングから逃れたがるか。その理由は、既婚者時代の経験にありました。


大学時代、私のまわりにはいいところのお嬢さんがたくさんいました。多くは母子が仲よしで「ママが反対するから彼とは別れる」と、相手を選ぶくらい母親を信頼している子たちです。そしてみな、母親が許可した相手と結婚していきました。多くは年収があり、肩書きがありました。

ただ、普通の男と同じく高年収の男にも一定割合で地雷がいるものです。ほどなくしていくつかの家庭から悲鳴が上がりました。その内容たるや人格攻撃、DV、浮気と、どれも超ド級。といっても、高年収の男性が悪いのではありません。普通の年収の男性にだって一定の割合でこういう人がいます。ただ、年収と肩書きがあると「この人、難アリかも。でも年収が高いし、肩書きがあるし」と目が節穴になりやすいのです。

それは親御さんも同じで、「やさしいだけの子より、有望な彼にしなさい」などと高年収の男性を娘へプッシュしてしまいます。そして専業主婦になって、離婚はしたいが世間体から離婚もできない……と、涙ながらの相談を聞いていました。

婚活地獄は、節穴になった目から始まる

年収、こわい。節穴になる自分の目が怖い。おかげで2回目の婚活から、肩書きがしっかりした未婚男子には「節穴になってないか!?」とアラートが鳴るようになりました。おかげで地雷男子には何名もぶつかりましたが、スレスレでかわせている……と信じたいです。

婚活が地獄になるのは、自分の目が結婚すべき相手を見極められないから。そう気づいてから、友だちへ遠慮なく相談するようになりました。人は自分の恋愛には節穴でも、他人のことなら見通せるものです。

「その男、絶対モラハラだから」などと友人に男性をジャッジしてもらい、ときには「それって自分のせいじゃない?」「あんた、好きなタイプの相手には警戒センサーがユルユルになっちゃうでしょ」と厳しい言葉をもらい……。おかげで今、居心地のいい相手を見つけられた気がします。

私は全然、人生の先輩なんかじゃありません。ただ人様より無防備に地雷に突っ込んでは爆発させてきただけです。しかし、私が目の前で吹っ飛ぶことで「ああはなりたくない」と反面教師にしていただけたら、なんぼか吹っ飛びがいもあるもので。あなた「は」いい婚活ができますように。そして年収や肩書きに振り回されず、一緒にいてフィットする相手が見つかりますよう、強く強く願っています。

(文:トイアンナ、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は2018年09月05日に公開されたものです

トイアンナ (コラムニスト)

慶應義塾大卒。P&Gジャパン、LVMHグループで合わせて約4年間マーケティングを担当。その後は独立し、主にキャリアや恋愛に関するライターや、マーケターとして活動。著書に『就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定』や『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』などがある。

●ブログ「トイアンナのぐだぐだ」
http://toianna.hatenablog.com/

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●公式サイト
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