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『そんな彼なら捨てちゃえば?』に学ぶ「ありのままの恋愛」 #愛されたい疲れに効く映画

あたそ

映画ライター、またの名を「Twitter界のニュー卑下アイドル」と名乗るあたそさんが、マイナビウーマンの【脱・愛されたい女特集】に緊急参戦! 男性に愛されたいがゆえに自分を繕ったり媚びたりして疲れてしまった、いわゆる“愛されたい疲れ”の女性たちに観てほしい映画をご紹介します。邦画編『百円の恋』に続く今回は、愛されたい主人公が恋に奮闘する『そんな彼なら捨てちゃえば?』をピックアップ!

私たちは、男性の「また連絡するね」に何度騙されてきた?

私は、いままで男性の「また連絡するね」というセリフに、いったい何回くらい騙されてきたんだろうか。騙された、というと語弊が生じるかもしれない。だって相手からしたら社交辞令のひとつだ。そんなことは、わかりきっている。就職でいえば、「本日は貴重なお話をありがとうございました」と同じ。実際は大して話を聞いていない。

いやいや、しかし。連絡先を聞いてきたのは向こうじゃないんですか。「今日はとても楽しかったです」とか「今度新宿でおすすめのイタリアンがあるので、食べに行きましょう」とか「仕事終わりに時間があれば飲みましょう。奢るんで!」とか「なんでほかの男の人と仲良くするの?」とか、調子よく言ってたのはおーまーえーじゃーん! という経験を、私は何度したんだろう。

でも、待って待って。冷静になって考えてみよう。私も私で彼らにはそんなに興味がなかった。もっと話したいとも、一緒に過ごしたいとも思わない。ただ、自分のことを気に入ってくれる人をなんとなく近くに置いておきたかったのと、プライドが許さなかっただけだ。そんなことを思いながら、時間の経過とともにいろいろな男の顔を忘れていく。

男性の本音を都合よく解釈してはダメ

『そんな彼なら捨てちゃえば?』の主人公、ジジもそうだ。いつも男性に期待し、デート後に連絡が来なかったことやスムーズな交際に発展しなかったことに対して不満を覚える。

電話が来ない?―忙しいのよ
結婚しない?―愛があれば関係ないわ
浮気してる?―正直に打ち明けてくれたの

彼は私に興味がないだけ。でも、女友だちに相談すれば、自分に都合のいいことばかりを言って励ましてくれる。そうそう、人って自分のことは棚に上げて他人の恋愛に関しては好き勝手言えるんだよなあ。特に女同士の会話においては都合のよい解釈で、事実を捻じ曲げてしまうことも多々ある気がする。他人の「恋人関係にまで至った経緯」が、自分と相手の関係にぴったり当てはまるはずなんてないのに。

常に恋愛をしたいと思っているジジ。しかし、ひとりの男性からいつまで経っても連絡が来ず、挙句の果てに何人かの男性とデートをするものの、誰からも連絡が来ない……となると普通は凹んだり、恋愛を一度休んでみたりしそうではあるけれど、そんな危機的状況のなかでもジジは決して諦めたりしない。最終的にハッピーエンドを迎えることになるのだけれど、それは彼女が常に前向きさと積極性を持ち合わせていたからだったように思う。

たくさんの男の人とうまくいかなかった。いっぱい傷ついたし恥ずかしい思いだってした。でも、諦めなかったから満足のいく恋ができたのだろう。そう思うと、自分のどんな過去だって少しは肯定してもいい気がする。

この映画の最後は、「幸せは“自分”にある」「彼から電話が来なくて傷ついても、サインを読みまちがえて失敗しても、どんなに恥をかいても。決して望みを捨てなかった」というセリフで締めくくられる。

恋愛はいつだって「例外」だ

ジジだけではなくて、恋愛にまつわる問題や不満を抱えていた登場人物たちが、少しずつでもいいから前進し、答えを見つけられたのは、決して望みを捨てることなく自分なりの幸せを考えることができたからだ。

恋愛をするうえで、相手によく思われたくて着飾ったり、かっこつけてみたり、相手の期待に応じ続けたり。それも人から愛されるには大切な要素なのだろう。

けれど、私はそんなことしたくない。あくまで自然体でいたいし、ありのままの自分を気に入ってほしい。わがままなのかもしれないけれど、そんなふうに思うことがよくある。モテテクとか恋愛における心理とかいままでの経験だとか、そりゃあある程度相手の気持ちを図ることは必要かもしれないけれど、やっぱりどうでもいい。

だって、恋愛に普遍はない。どんな関係性だって例外で異例で、ドラマがある。誰にも振りまわされないで幸せになるために、ほんの少しだけ背中を押してくれるような、そんな映画に出会うことができた。

映画『そんな彼なら捨てちゃえば?』(2009)

同じ会社に勤める仲良し3人組、ジジ(恋人募集中)とべス(同棲中)とジャニーン(既婚)はプライベートも相談しあう仲。何度失恋しても前向きなジジは、ジャニーンに紹介された男性にひと目惚れするものの、初デートのあとに連絡はナシ。一方、同棲中のべスは結婚を考えてくれない彼との別れを決意し、幸せな結婚生活を送っていたはずのジャニーンも夫の浮気が発覚……!? 勇気を出して男の本音と向き合った彼女たちに、見えてきた本当の幸せへの道。それぞれが選んだ、最高のパートナーとは?

(文:あたそ、イラスト:後藤恵)

※この記事は2018年08月31日に公開されたものです

あたそ

神奈川県出身。非モテや容姿に対する女子の悩みを爽快に代弁するツイートで人気を博し、WEB媒体を中心に現在複数のコラムを執筆。普段はTwitterを更新する傍ら会社員。好きなものはバンド、フェス参戦、音楽、旅、読書、映画。実家にはラブラドールが3匹。2018年7月に、自身初となるエッセイ『女を忘れるといいぞ』(KADOKAWA)を発売。

Twitter:https://twitter.com/ataso00
ブログ:http://ataso01.hatenablog.com/

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