お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。
トレンド 結婚

鈴木おさむが「愛されたい女」と結婚しなかった理由

マイナビウーマン編集部

私は、男性を前にすると途端におもしろくない女になるらしい。

金曜日。食事に誘われた夜は、伊勢丹で買ったワンピースを着て5,000円のトリートメントを施した髪を巻く。で、これまた伊勢丹で仕入れたハイヒールを履く。ランニングの話を楽しそうにする男性が相手なら、笑ってジムに行くのが趣味だと合わせる。本当は休みの日、家から一歩も出ないでNetflix見てるけど。

こんな「とにかく男性に愛されたい願望」をむき出しにした私と話すとき、彼らはまんざらでもなさそうな顔をしていると思う。だけど、心から笑っていないのも実は知ってる。

そして、日曜日。イッテQを見ながら思う。温泉同好会の大島さん、めちゃくちゃおもしろいなあって。それで鈴木おさむさんとの結婚話を思い出した。もしかして、私が知りたかった答えはここにあるんじゃないか、なんてね。

女性の基準はとにかく顔。だから、顔です

「結婚する前ですか? 女性を選ぶ基準は、とにかく顔でしたよ。綺麗でエロいことが重要。最後に付き合っていたのは、身長180cmのショーモデルでした。すっごい美人な子だったなぁ」

そのモデルさんのどこが好きだったかなんて愚問を投げれば「だから、顔です」と食い気味に返答が。そうそう、私もそれが男性の本音だと思うんです。さあ、もっと続けてください。

「デートを重ねて性格を好きになる、なんて段階は踏まない。なんとなくビジュアルに惚れてアタックしていました。で、付き合うってパターン。当時は仕事が順調になって、自信を持ちはじめたころで、同年代の友人に比べたらお金もあったから遊びまくりの毎日でした。綺麗な女性をさらに綺麗な女性で上書きしていく、みたいな。男としては最低でした」

なるほど、綺麗って理由で交際遍歴をロンダリングしていくのは、鈴木さんにとって最低なことなのか。年収とか学歴とか、相手のスペックばかり気にしてきた“最低な私”は何も言えず、とたんに共感者をなくした気分になる。

「もちろん、本気で好きになった人もいました。1年かけて口説いて、結局あっさりフラれちゃいましたけど。いま思えば、やっぱりビジュアルと雰囲気が好きで自分が背伸びしたくなるような女性を選んでいたんです。結局は『好きである』という行為に恋していたんですよね」

なぜ「美人でいい子」じゃダメなのか

鈴木さんは、一を聞けば十を返してくれる天才だ。名だたる番組を数多手がけてきただけあって、アウトプットが死ぬほどうまい。インタビュー中、そんな彼が言葉を詰まらせた瞬間があった。それは「容姿で選んだ女性たちの中身に惹かれなかったのか」という単純な質問。

「いや、みんないい子でしたよ? でもな、うーん」

しばらく間をおいて紡がれる鈴木さんの説明は妙にリアルで、私のねじ曲がった本質を突く。

「美人でいい子なんだけど、それが一緒にいて楽しいかって言ったら別なんです。想像するに、自分はどんな女性と結婚しても絶対2年で離婚するだろうなって思っていました。それまでの恋愛はだいたい2年で終わっていたので。パターン化した結末が自分のなかで見えていたんですよ。だって、どんなにビジュアルを好きになったってそんなのは飽きがくるから」

選んだのは「裸で笑いをとるシンデレラ」

2002年、鈴木さんと森三中・大島美幸さんが「交際0日婚」をしたと騒がれた。それは当時小学生だった私の記憶にも残っていて、毎週火曜日『ブスの瞳に恋してる』を母親と真剣に観ていたのが懐かしい。めちゃくちゃ好きやっちゅうねん、のあれ。私にとって、いちばんのシンデレラストーリーだった。

「当時の僕は、仕事がどんなものよりも大事な優先順位1位だったんです。あれは『人にやさしく』ではじめて連続ドラマの脚本を書いた29歳のときのこと。表面的には結果を残せたように見えるけど、自分の中では全然うまくいってなかった。しごかれて、自分の力が通じないって痛感した瞬間ですね。言いようのない挫折感を味わって、もう一度ゼロから仕事をしていこうと思ったタイミングでした。そんな時期に、ふとテレビで大島を見かけたんです」

大島さんの名前を口にしたその顔がほころぶもんだから、こちらもなんだかくすぐったい気分になる。そして、彼女を見つけたときの衝撃をうれしそうに話してくれた。

「それはもう革命的でしたよ。女の人が裸になって笑いをとるなんてできなかった時代に、彼女はそれをやっていた。『すっごいおもしろい女芸人だな』って、めちゃくちゃ刺激を受けたんです」

プロポーズは実験だった、なんてよくインタビューで語る彼だけど。本当にそうなのか疑わしいくらい、その出会いに愛が溢れていると感じるのは気のせいか。

「大島みたいな芸風の人って実は真面目だったりするもの。で、実際会ってみたら予想通りの女性だった。その瞬間、彼女と一緒に暮らしたらどうなるんだろうって突然頭に浮かんだんです。それで会った初日に『結婚しよう』ってプロポーズしました。こんなこと言ったら、きっと彼女は笑ってくれるだろうと思ったから」

同じ背骨を持つ彼女は、江頭2:50を見て笑う

自分の知らないところで見初められて、会った瞬間にプロポーズ。もうそれがネタでもなんでもいい。とにかく誰かと結婚したい病にかかっている私にとって、それは夢のような話だ。大島さんがうらやましいったらありゃしない。

ところで、見た目ですべてを判断してきた彼は大島さんのどこに惹かれたのか。それを問えば、私には少々偏差値の高い答えが返ってきた。

「リアクション芸をやる彼女と、お笑い番組を作る僕。『おもしろいものを作る』っていう背骨が一緒だと思いません?」

ピンとこない「背骨」というワードが、頭のなかをぐるぐるまわる。それはきっと、私がまだ出会っていない感覚なんだとその先を聞いて悟った。

「仕事が優先順位の1位になっている僕の背骨は、おもしろいものを作ること。見ればわかると思うけど、大島だって絶対それが背骨のはずなんです。たとえば、歴代の彼女だったら一緒にテレビで江頭2:50さんを見ても笑わないわけですよ。でも、大島はちがう。僕がすごくおもしろいと思っているものに対して、同じ感覚で笑ってくれる。僕にとっては、洒落た映画を『おもしろい』なんて言い合うことはどうでもいい。だって、それは人生の背骨じゃないから。だけど、テレビのなかの江頭2:50さんがおもしろいと思うことはゆずれない背骨の部分なんです」

そして、最後に鈴木さんは最高に愛あるひと言をつけ足した。「大島に出会うまでは、そんなことが大事だなんて思ってもみなかった」と。

>後編「私たちは『大島美幸』になれなくてもいい」に続く

(取材・文:井田愛莉寿/マイナビウーマン編集部、撮影:前田立)

INFORMATION

鈴木おさむ著『ママにはなれないパパ』(マガジンハウス)

息子 笑福(えふ)の誕生からの3年間を描く、父親目線の育児奮闘記。

・男がまったくわからない、「乳首痛い」問題。
・妻の不在で、一気に深まる父子の関係。
・なりたいのは「イクメン」ではなく、「父親」。
・「添い乳」の威力を思い知り、途方にくれる。
・母親を守ろうとする、息子の必死さにショック。

など全53話のエッセイと「父の気づき」を描いた一冊。

お役立ち情報[PR]